「物件は決まった、リノベもした、あとは届出だけと思ったら消防署でストップした」
こういう話、けっこう聞きます。
民泊を始めようとしている方の多くが「ハードルは物件探し」だと思っています。
でも実際のところ、許認可の手続き、特に消防法の設備要件で挫折する人が一番多い印象です。
消防設備って、何が必要か事前に分からないんです。
物件の用途・面積・構造・家主が同居するかしないかで要件が全然変わって、しかも地域の消防署によって運用も微妙に違う。
「これで大丈夫ですよね?」と聞いても、図面を持ってきてくださいと言われる。
今回は「民泊を始めたい方が実際にどんな手続きを経るのか」「どこで詰まることが多いか」「新潟で民泊をやる場合の特有の注意点」を整理します。
清新ハウスは建築・設計を担当し、民泊の申請・運営管理まで対応しています。
「どこに頼めばいいか分からない」という方はまずご相談ください。

民泊の法律は「住宅宿泊事業法(民泊新法)」
2018年6月に施行された住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)が、現在の民泊の基本的な法律です。
これ以前は「Airbnbで貸している」という状態がグレーゾーンで運営されていましたが、この法律の施行で「届出をすれば合法的に民泊ができる」という制度が整備されました。
住宅宿泊事業法の基本ルール
- 年間180日を超えない範囲で宿泊者を受け入れられる
- 事前に都道府県知事(または保健所設置市の長)へ届出が必要
- 一定の設備基準・衛生基準を満たす必要がある
- 自分で管理しない場合は「住宅宿泊管理業者」への委託が必須
住宅宿泊事業は、年間180日以内の範囲で住宅に宿泊させる事業です。
新潟市では保健所環境衛生課(025-212-8266)が届出の受付窓口で、届出住宅が施設基準を満たしているか確認を行ってもらえます。
住宅の平面図を持参して事前確認することが手順となっています。
届出の流れは思ったより工程が多い
「届出」と聞くと書類を出せば終わりのようなイメージがありますが、実際の手順はもう少し複雑です。
STEP 1:事前確認(消防署・保健所・市役所)
届出前に複数の窓口に確認が必要です。
- 消防署:消防法上の設備要件の確認(後述)
- 保健所(新潟市は環境衛生課):施設基準の確認
- 市役所の関係部署:建築基準法・用途変更の要否確認・近隣説明義務の確認
市役所関係部署へ相談と確認を行ってください。
施設準備(建物・付属設備の修理・修繕等)、近隣住民への説明を行ってください。
また、外国語対応、清掃方法、寝具類の管理方法、廃棄物処理方法、宿泊者受付方法など運営体制を整備してください。
STEP 2:消防設備の整備
消防署の事前確認を踏まえて、必要な消防設備を設置します。
これが一番費用と時間がかかる部分です。
STEP 3:近隣住民への説明
新潟県条例では、住宅宿泊事業を営もうとする者は、あらかじめ、住宅宿泊事業を営もうとする住宅の周辺地域の住民に対して説明するよう努めなければならないと定めています。
「義務」ではなく「努力義務」ですが、近隣トラブルを防ぐという意味でも実施しておいた方がいいです。
STEP 4:届出書類の準備・提出
住宅の平面図・登記事項証明書・マンションの場合は管理規約の確認書類など、複数の添付書類が必要です。
STEP 5:民泊制度運営システムへのオンライン申請
国が運営する「民泊制度運営システム」を使ってオンラインで届出を行います。
書類が揃っていれば手続き自体はシンプルですが、STEP1〜4が整っていないと進めません。

消防設備の問題…ここで詰まる人が一番多い
民泊の許可取得で最も壁になりやすいのが消防設備です。
私が「挫折する人が一番多い」と感じているのも、ここです。
なぜ消防設備が難しいかというと
① 物件の状態によって必要な設備が全然違う
消防法令上、民泊(住宅宿泊事業)は普通の住宅ではなく、消防法令別表第1の「(5)項イ」(旅館・ホテル、宿泊所など)の防火対象物になります。
つまり、住まいのときより厳しい防火の基準がかかります。
家主が同居するかどうか(家主居住型・家主不在型)、宿泊室の床面積の合計が50㎡を超えるかどうか、建物の延べ面積が300㎡を超えるかどうか、これらの条件によって必要な設備が変わります。
② 主な必要設備の例
主に必要となる消防用設備の例:自動火災報知設備(延べ面積300㎡未満は特定小規模施設用〔無線式〕でも可、300㎡以上は有線式)・誘導灯(避難口や通路を示す表示灯)・避難器具(階数・収容人員に応じて)・防炎物品(カーテン・じゅうたんなど)
消火器は必ず「業務用」を使用し、家庭用では消防検査に通りません。
「家にある火災報知器をつけておけばいいか」というわけにいかない。
業務用の設備が必要で、設置後に消防署の検査を受ける必要があります。
③ 設置免除・緩和措置もある
2025年1月の住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)改正により、小規模な民泊施設(延べ面積が200㎡以下)における消防設備の要件が一部緩和されました。
ただし、自治体によって追加要件がある場合があるため、必ず所轄の消防署に確認してください。
家主居住型(宿泊室床面積合計50㎡以下)の場合は設置義務はありませんが、設置推奨です(任意設置)。
緩和措置があるかどうかは物件の状態と消防署の判断による部分が大きい。
④ 消防署ごとに運用が微妙に違う
法律・省令の解釈・運用は、理論上は統一されていますが、担当する消防署によって細かい部分の解釈が違うことがあります。
最優先すべきは「所轄消防署への事前相談」です。
2025年現在、法令解釈や条例は地域ごとに細かく運用されています。
ここで「特定小規模施設の特例」が適用できると判断されれば、費用も工期も大幅に圧縮できます。
これから民泊を始めるオーナー様は、物件の図面を用意し、まずは相談の予約を入れるところから始めましょう。
消防設備の整備にかかる費用は、物件の規模・状態・必要な設備の種類によって大きく変わります。
数万円で済む場合もあれば、100万円以上かかる場合もある。
「物件を決めてからリノベして届出」という流れで進めると、消防設備の費用が想定外になることがあります。
「消防署に図面を持っていく」をリノベ前にやるのが正解です。
消防設備の要件が分かってからリノベーション計画を立てると、無駄な工事が減ります。

「建築確認・用途変更」の問題
消防とは別に、建築基準法上の「用途変更」が必要になるケースがあります。
普通の住宅を宿泊施設として使う場合、一定規模を超えると建築基準法上の「用途変更」申請が必要になります。
戸建住宅で床面積200㎡以下の規模であれば、用途変更の確認申請は不要なケースが多いです。
ただし200㎡を超える場合や、既存建物の用途によっては必要になります。
これも「自分の物件は必要か」を建築士に確認してもらうのが確実です。
弊社でも確認の対応ができます。
新潟での民泊、地域ルールのポイント
新潟県・新潟市の条例で設けられているルールを確認します。
営業日数制限
新潟県は学校周辺100mのみ制限。
それ以外は制限なし。
法定上限の年間180日まで営業可能。
東京の一部区のように「特定曜日・期間しか営業できない」という制限はなく、新潟は比較的緩やかです。
学校周辺100m以内の制限
知事が指定する学校から100m以内の物件で、家主が不在になる「家主不在型」の民泊は、授業がある日は営業できません。
自分の物件が学校の近くにある場合は確認が必要です。
新潟県住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例により、住宅宿泊事業の実施を制限する対象となる学校の指定を令和7年4月1日付けで改正しています。
最新の指定リストは新潟県のウェブサイトで確認できます。
標識の掲示義務
新潟県では標識掲出義務が必要とされています。
届出番号を記載した標識を物件の見やすい場所に掲示する義務があります。
マンションの場合は管理規約の確認
分譲マンションなどでも住宅宿泊事業を営むことができますが、マンション管理規約に住宅宿泊事業を営むことを禁止する旨の定めがないことを証明する書類が必要になります。
届出に当たっては、管理規約を確認するとともに、管理組合の理事会や総会で民泊を禁止する旨の方針が決議されていないか管理組合によく確認してください。
マンションで民泊をやろうとしている場合、管理組合の同意が実質的に必要になります。
管理規約を確認して、民泊を禁止する規定がないかを先に調べてください。
宿泊者1人あたりの最低面積
最低面積/人:3.3m²
1人あたり3.3㎡以上の床面積が必要です。
部屋の広さによって受け入れられる人数の上限が決まります。

「家主居住型」と「家主不在型」の違い
民泊には大きく2種類あります。この違いによって、消防設備の要件・管理業者委託の要否が変わります。
家主居住型:自分(家主)が住んでいる家の一部を貸す形。同居している状態で宿泊者を受け入れる。
家主居住型のメリットは、消防設備の要件が緩くなるケースがある点と、管理業者への委託が必須ではない点です。「自宅の空き部屋を貸したい」というケースに向いています。
家主不在型:自分は別の場所に住んでいて、物件全体を宿泊者に貸す形。
家主不在型のデメリットは、消防設備の要件が厳しくなる点と、住宅宿泊管理業者への委託が必須になる点です。
SATは住宅宿泊管理業者として登録しており、家主不在型の委託管理に対応しています。清掃・鍵の受け渡し・緊急時対応・Airbnbなどの掲載管理まで、運営全般をサポートします。
「コレをやっておけ」チェックリスト
民泊を始めようとしている方が、最初にやるべきことをリスト化します。
1. 物件が「民泊に使えるか」を先に調べる
マンションなら管理規約の確認が最初です。管理組合が禁止している場合、そこで終わりです。
戸建なら建築基準法・消防法の観点から専門家に確認してもらうことをおすすめします。
2. 所轄の消防署に図面を持って相談に行く
物件の図面(平面図)を持って、消防署の予防課に事前相談を予約します。
「民泊をやりたいのですが、必要な消防設備を教えてほしい」という相談です。
この結果によって設備費用の概算が出るので、事業としての採算計算ができます。
3. 採算計算をする
消防設備費・リノベーション費・管理委託費・清掃費・プラットフォーム手数料(Airbnb等は15〜20%程度)
これらを引いて、年間の利益がどのくらいになるかを計算します。
「やってみてから考える」ではなく、先に採算を確認することをおすすめします。
4. 近隣への説明
届出前に、近隣の方に「民泊を始める予定です」という説明をしておくことで、後のトラブルを防ぎやすくなります。
5. 届出書類の準備・申請
消防・保健所・市役所の確認が取れてから、届出書類を準備して申請します。
民泊、どのくらいの費用がかかるか(目安)
「始めるのにどのくらいお金がかかるか」は、物件の状態によって大きく変わります。目安として参考にしてください。
リノベーション費用:物件の状態次第。最小限の改装(清掃・壁紙・照明)なら50万〜200万円程度。本格的なリノベは500万円以上になることも。
消防設備の費用:物件の規模・条件によって大きく変わる。小規模・家主居住型なら10万〜30万円程度。家主不在型・大規模になると50万円以上かかることがある。
申請関連の費用:行政書士への依頼(10万〜20万円程度)・建築確認(用途変更が必要な場合)。
管理業者への委託費:家主不在型の場合必須。売上の10〜30%程度が委託費として設定されることが多い。
プラットフォーム手数料:Airbnbは売上の約3%(ホスト負担)+ ゲスト負担分。
清新ハウスができること
清新ハウスでは、民泊の開業から運営まで以下の対応をしています。
- 物件の民泊適性確認(建築士として)
- 消防署への事前相談の同行・設備計画のアドバイス
- リノベーション設計・施工(清新ハウス)
- 住宅宿泊事業法の届出申請サポート(行政書士と連携)
- 住宅宿泊管理業者としての運営管理委託(SAT):清掃・鍵管理・Airbnb掲載・緊急対応・収支管理
「物件はあるが、何から始めていいか分からない」という方から「すでに届出で詰まっている」という方まで、相談の入口はLINEからお気軽にどうぞ。
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