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「新しい家にしたいんだけど、ピカピカすぎる家はちょっと落ち着かなくて。どこか懐かしい温もりがほしいんです」
新築やリノベーションの打ち合わせで、こういうお話をされる方が増えてきました。
白い壁と、きれいに整ったフローリング。
今の家は、どこもすっきりしていて清潔です。
でも、住み始めてしばらくすると、なんとなく物足りない。
ホテルみたいで、自分の家という感じがしない。
そう感じる方も多いようです。
そんな方におすすめしているのが、古民家の解体などで出てきた「古材(こざい)」を、新しい家のリビングに梁として見せるデザインです。
何十年、ものによっては百年以上、家を支えてきた梁が、新しい家の天井に一本通るだけで、空間の印象ががらっと変わります。
そこに、30ミリの厚みがある杉の無垢フローリングを合わせると、足もとから木の温かさが伝わってくる、落ち着いたリビングになります。
私は全国古民家再生協会の直前理事長として、古民家や古材に長くかかわってきました。
今日は、古材の梁を見せるリビングの魅力と、現代の住まいに上手に取り入れるためのデザインの考え方、それから気をつけておきたいところも含めて書いてみます。
古材とは、どんな木か
古材というのは、古い民家や蔵、寺社などを解体したときに出てくる、柱や梁、板などの木材のことです。
新潟や周辺の古い農家住宅には、今ではなかなか手に入らない太さの梁が使われていることがよくあります。
松や欅(けやき)、杉などの太い木を、曲がったままの形を活かして梁にしたものも多く、ひとつとして同じ形のものはありません。
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昔の家は、その土地の山で育った木を、職人が手で刻んで組み上げていました。
古材の表面には、手斧(ちょうな)で削った跡や、ほぞ穴、仕口の跡、長い年月で付いた黒光りする色が残っています。
こういう跡が、新しい木には出せない味わいになります。
古民家を解体するとき、こうした梁や柱を捨ててしまうのは本当にもったいないことです。
古材として次の家に受け継げば、木はまた何十年も使われ続けます。
古材が持つ魅力
存在感は、新しい木では出せない
古材の梁がリビングに一本あるだけで、そこが家の中心になります。
太さ、曲がり、色、表面の傷。どれも、何十年という時間がつくったものです。
新しい木を加工して古く見せることもできますが、本物の古材の持つ重みとは、やはり違います。
お客様をリビングに通したとき、「この梁、すごいですね」と、まず梁の話になる。
そういう家になります。
乾燥しきっているから、狂いが少ない
新しい木は、建てたあとも少しずつ乾燥して、縮んだり、反ったり、割れたりします。
古材は、長い年月をかけて十分に乾燥しているので、新しい家に使ってからの動きが小さいのが特徴です。
新しい梁のように、乾燥でひびが大きく入ったり、ねじれたりすることが少なくなります。
「古材は強くなる」は、半分本当で、半分は注意が必要
よく、「古材は年月を経て、新しい木より強くなる」という話を聞きます。
ヒノキは伐採されてから200年ほどは強度が増していく、という話を聞いたことがある方もいると思います。
ここは、少し正確にお伝えしておきたいところです。
古材は十分に乾燥しているので、乾燥していない新しい木と比べると、硬さや強さの面で有利なことはあります。
一方で、木材の研究では、とても古いヒノキでは粘り強さ(割れにくさ)が落ちている、という結果も出ています。
どんな性質がどう変わるかは、木の種類や、どんな環境に置かれていたかによって違います。
それに、古材には、ほぞ穴や仕口の切り欠きがあったり、虫に食われていたり、雨漏りで傷んでいたりする部分もあります。
一本一本、状態がまったく違うんです。
なので、「古材だから強い」と考えるのではなく、「一本ずつ状態を見て、どう使うかを決める木」だと思っておいてください。
構造材として使うか、見せる梁として使うか
古材の梁を新しい家に使う方法は、大きく分けて二つあります。
一つは、家を支える構造材の一部として使う方法です。古材が実際に屋根や床の重さを受けます。
この場合は、設計者が古材の状態や寸法を確認して、構造的に問題がないかを検討する必要があります。
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もう一つは、家の構造は新しい木材や金物でしっかりつくったうえで、古材を見せる梁(化粧梁)として取り付ける方法です。
古材が重さを受けないので、構造の心配をせずに、形や雰囲気で古材を選べます。
新築で古材を取り入れる場合は、後者の化粧梁として使うことが多いです。
古民家のリノベーションでは、もともとある梁をそのまま見せて、構造材として活かすことがよくあります。
30ミリ厚の杉無垢フローリングを合わせる理由
古材の梁と一緒におすすめしているのが、30ミリの厚みがある杉の無垢フローリングです。
一般的なフローリングは、12ミリから15ミリくらいの厚さのものが多いので、30ミリはその2倍以上になります。
足もとが柔らかくて、温かい
杉は、木の中でも柔らかくて軽い木です。木の細胞の中に空気をたくさん含んでいるので、熱を伝えにくく、冬に素足で歩いても、ひやっとしにくいのが特徴です。
新潟の冬は寒いので、この足ざわりの温かさは、毎日の暮らしで大きな違いになります。
床暖房がなくても、杉の床は冷たさを感じにくいと言われる方が多いです。
柔らかい床は、足腰への負担も少なく感じます。
小さなお子さんが転んだときも、硬い床よりは安心です。
厚みがあるから、重厚感が出る
30ミリの厚みがあると、歩いたときの足ざわりがしっかりしていて、ふわふわした感じがありません。
床がたわみにくく、どっしりとした安定感があります。
見た目にも、厚い板ならではの重みがあります。
太い古材の梁と、厚い杉の床。
上と下の両方に存在感のある木があることで、空間全体のバランスがとれます。
木の香りと、湿気の調整
無垢の杉は、木の香りがします。
リビングに入ったときに、ふわっと木の香りがする。
これは、合板のフローリングでは味わえないものです。
無垢の木は、空気が湿っているときは湿気を吸い、乾いているときは吐き出す性質があります。
厚みがある分、その働きも大きくなります。
湿気の多い新潟の夏や、暖房で乾燥しがちな冬に、少しでも室内の空気をやわらげてくれます。
杉の床の、知っておいてほしい特徴
いいことばかりではないので、気をつけておいてほしいことも書いておきます。
杉は柔らかいので、傷やへこみがつきやすいです。
椅子を引いたり、物を落としたりすると、跡が残ります。
ただ、それも暮らしの跡として味わいになっていく、と思える方に向いている床です。
気になる浅いへこみは、水分を含ませてアイロンを当てると、ある程度戻ることもあります。
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それから、無垢の木なので、季節によって伸び縮みします。
冬の乾燥する時期には、板と板の間にすき間ができることがあります。
夏にはまた閉じていきます。
無垢の床の仕上げは、オイルや蜜ろうなど、木の呼吸を妨げないものがおすすめです。
年に一度くらい、オイルを塗り直すと、色つやが長持ちします。
古材を現代の住まいに調和させるデザイン術
古材は存在感が強いので、使い方を間違えると、家全体が重くなったり、古い家を真似しただけのように見えたりします。
新しい家の中で、古材を一番魅力的に見せるための考え方を書いておきます。
古材は「主役を一つ」に絞る
古材をあれもこれもと使いたくなる気持ちは分かりますが、主役は一つに絞るのがおすすめです。
リビングの天井に、立派な梁を一本、または数本だけ通す。
あとは、白い壁や、明るい杉の床で、古材を引き立てる。
古材が一つあるだけで、空間はちゃんと締まります。
使いすぎると、どれが見どころなのか分からなくなって、全体が暗く重たい印象になってしまいます。
色のコントラストを意識する
古材は、長い年月で黒っぽく、あるいは飴色に変わっています。
壁や天井を白や生成りの明るい色にすると、古材の色がくっきりと浮かび上がります。
杉の床は、張りたては明るい色で、年月とともに少しずつ飴色に変わっていきます。
古材の深い色と、杉の明るい色、壁の白。
この三つの色の重なりが、新旧の対比を自然に見せてくれます。
天井の高さと、梁の位置
梁を見せるには、ある程度の天井の高さが必要です。
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平らな天井に梁を一本通すだけでも雰囲気は出ますが、屋根の形に合わせて天井を斜めにする「勾配天井」にして、そこに梁を見せると、空間がぐっと広く感じられます。
ただ、天井を高くすると、冬の暖房の効きが気になります。
天井を高くする場合は、屋根の断熱をしっかりして、天井の近くにたまった暖かい空気を、シーリングファンなどで循環させる工夫を一緒に考えます。
新潟の冬を考えると、ここは見た目と同じくらい大事なところです。
照明で、梁を照らす
古材の梁は、照明の当て方で表情が大きく変わります。
梁の上に間接照明を仕込んで、天井を照らす。
梁に沿ってスポットライトを付けて、表面の凹凸を浮かび上がらせる。
夜のリビングで、梁の手斧の跡や木目に光が当たると、昼とはまた違った雰囲気になります。
照明の配線は、壁や天井をつくる前に決めておく必要があるので、設計の段階で一緒に考えておいてください。
家具と素材は、シンプルに
古材と杉の床に存在感があるので、家具やほかの素材は、シンプルなものを合わせると落ち着きます。
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ソファやテーブルは、色を抑えたものや、木の素材を活かしたものがよく合います。
キッチンや建具に、黒い鉄や真鍮の金物を少し使うと、古材の重さと現代的なすっきりした感じが、うまく混ざり合います。
新しい木との「つなぎ目」を丁寧に
化粧梁として古材を取り付ける場合、新しい構造材や天井との取り合いが、仕上がりの印象を左右します。
古材は一本ずつ形が違って、まっすぐではありません。
曲がりやねじれに合わせて、天井や壁の仕上げを一つずつ合わせていく必要があります。
ここは、図面だけでは決まらない、職人の手仕事の部分です。
古材を使うときに、気をつけておきたいこと
古材の状態を、事前によく見る
古材は、一本ずつ状態が違います。
- 虫に食われた跡がないか、今も虫がいないか
- 雨漏りなどで腐っているところがないか
- 大きな割れやねじれがないか
- 釘や金物が残っていないか
こうしたことを確認して、必要に応じて、洗浄、虫の処理、金物の除去、表面の仕上げ直しをします。
解体した古民家からそのまま持ってきて使えるわけではありません。
費用は、新しい木より高くなることもある
古材は「古い木だから安い」と思われがちですが、実際は逆のことも多いです。
解体のときに、傷めないように丁寧に取り外す手間、運搬、保管、洗浄や処理、そして一本ずつ形の違う古材に合わせて加工する大工さんの手間がかかります。太くて立派な梁ほど、手に入りにくく、価格も高くなります。
古材は、新しい木の代わりではなく、家の価値を上げる特別な材料だと考えてください。
親や祖父母の家の古材を受け継ぐ
古材の使い方の中で、私が一番すてきだと思うのは、親や祖父母が住んでいた家の梁を、新しい家に受け継ぐことです。
実家の古民家を解体して、その土地や別の場所に新しい家を建てる。
そのときに、昔の家の梁を一本だけ残して、新しい家のリビングに通す。子どもの頃に見上げていた梁が、新しい家でもまた家族を見守ってくれる。
こういう家づくりは、本当に心に残るものになります。
解体を考えている古民家があるなら、壊す前に、残せる古材がないか、一度相談してください。
解体してしまってからでは、取り出すことができません。
清新ハウスでお手伝いできること
清新ハウスでは、古材を活かした新築やリノベーション、古民家の再生のご相談を受けています。
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- 古材を化粧梁として取り入れた新築・リノベーションの設計
- ご実家などの古民家を解体する前の、残せる古材の確認と取り外し
- 古材の洗浄、虫の処理、加工の手配
- 30ミリ厚の杉無垢フローリングなど、無垢材を使った内装のご提案
- 梁を見せる勾配天井と、新潟の冬に合わせた断熱・暖房計画
- 古民家の梁をそのまま活かした再生
「古材の梁がある家に住んでみたい」「実家の梁を残せないかな」という段階でのご相談で大丈夫です。
新しい家に、どこか懐かしい温もりを。
古材と無垢の木で、一緒に考えていけたらと思います。
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