
「新築で建てたいと思って見積もりをとったら、思っていたより何百万円も高くて、正直あきらめかけています」
最近、こういうご相談が本当に増えました。
数年前に友だちが建てた家と同じくらいの広さで考えていたのに、金額を見たら全然違う。住宅ローンをいくらまで組めるか計算してみたら、毎月の返済がきつすぎる。
土地から探すとなると、さらに厳しい。
新築の家は、もう一部の人しか手が届かない夢の話になりつつあるんじゃないか。
そう感じている方は多いと思います。
建てる側の私が言うのもなんですが、その感覚は間違っていません。
この数年で、家を建てる費用は本当に上がりました。
ただ、新築がむずかしいから家を持つこと自体をあきらめる、というのはもったいないです。
中古の住宅を買って、リノベーションして暮らす。
この選び方なら、予算の中で、立地も住み心地もかなり納得のいく家を手に入れられることがあります。
今日は、新築の費用がなぜここまで上がったのか、中古住宅をリノベーションして快適に暮らすには何を見ればいいのか、お金の面で使える制度は何か、を書いてみます。
新築の費用は、なぜここまで上がったのか
材料の値段が上がった
一番わかりやすいのは、材料の値段です。
国土交通省の資料を見ると、2020年度を100としたとき、2025年度の製材や合板・集成材の価格は130を超えています。
家の骨組みや床、壁の下地に使う木材が、5年ほどで3割以上高くなっている、ということです。
木材だけではありません。
断熱材、サッシ、キッチンやお風呂などの設備、金物、どれも上がりました。
メーカーから値上げの案内が届くのが、もう珍しくなくなっています。
職人さんの手間賃も上がった
建設業界は人手不足が続いていて、大工さんや職人さんの手間賃も上がっています。
職人さんが年をとって引退していくのに、若い人がなかなか入ってこない。
働き方の見直しで、休みもきちんととるようになった。
それ自体は大事なことですが、そのぶん工期や人件費には反映されます。
家に求められる性能が上がった
2025年4月から、新築の住宅は省エネ基準に適合することが義務になりました。
断熱の性能を一定以上にしないと建てられない、ということです。
断熱がしっかりした家は、新潟のような寒い地域では暮らしやすく、光熱費も抑えられます。
これはいいことです。
ただ、断熱材を厚くしたり、性能の高い窓を入れたりするぶん、建てるときの費用は上がります。
材料、人件費、性能。
この三つが重なって、同じ広さの家を建てるのに、数年前よりかなり高くなってしまいました。
中古住宅をリノベーションする、という選び方
そこで考えてほしいのが、中古住宅を買ってリノベーションする方法です。
立地をあきらめなくていい
新築を建てようとすると、土地代と建築費の両方がかかります。
予算に合わせると、どうしても郊外の、通勤や買い物に少し不便な場所になりがちです。
中古住宅なら、土地と建物がセットで、新築よりかなり安く手に入ることがあります。
そのぶん、駅に近い、子どもの学校に近い、実家に近い、といった希望の場所を選びやすくなります。
新潟市内でも、昔からの住宅地には、いい場所に建っている築30年、40年の家がたくさんあります。
建物は古くても、土地の条件がいい家は少なくありません。
お金をかけるところを選べる
中古住宅を買って浮いたぶんを、リノベーションに回せます。
全部を新しくする必要はありません。
毎日使うキッチンやお風呂、寒さを左右する窓や断熱、家族が集まるリビング。
お金をかけたいところにしっかりかけて、まだ使えるところはそのまま使う。
家族の優先順位で予算を配分できるのが、リノベーションのいいところです。
総額で新築よりおさえられることが多い
物件やリノベーションの内容によりますが、中古住宅の購入費とリノベーションの費用を合わせても、同じ場所で新築を建てるより安くおさまることが多いです。

ただ、ここは注意してほしいところで、建物の状態によっては、直すところが多くて結局高くなることもあります。
だからこそ、買う前に建物をきちんと見ることが大事になります。これはあとで書きます。
中古住宅で「快適に」暮らすために、見ておきたいこと
中古住宅というと、「寒い」「古い」「地震が心配」というイメージを持つ方も多いと思います。
その心配はもっともで、何も手を入れずに住めば、たしかにそうなることもあります。
でも、どこに手を入れればいいかを分かっていれば、中古住宅でも十分に快適な家にできます。
寒さ対策は、まず窓から
新潟の冬で一番つらいのは、やっぱり寒さです。
古い家が寒いのは、断熱が足りていないことと、窓から熱が逃げていることが大きいです。
家の中の熱は、窓やドアなどの開口部から多く逃げます。
古いアルミサッシの一枚ガラスの窓は、冬になると結露でびしょびしょになって、窓際がひんやりします。
まずは窓を性能のいいものに替えるか、今の窓の内側に、もう一つ窓をつける内窓にするだけでも、体感はかなり変わります。
内窓は工事も比較的かんたんで、住みながらでもできます。
予算に余裕があれば、床下や天井、壁の断熱も一緒に見直します。
床下の断熱を入れると、足もとの冷たさがかなり和らぎます。
家全体を一度にやるのがむずかしければ、リビングや寝室など、長く過ごす部屋から断熱を強くしていく方法もあります。
耐震性は、建てられた年でまず見当をつける
地震への強さは、建てられた年がひとつの目安になります。
1981年6月より前に建築確認を受けた建物は、旧耐震基準で建てられています。
今の基準から見ると、耐震性が足りないことが多いです。
1981年6月以降の新耐震基準の建物でも、木造住宅は2000年に基準がさらに見直されているので、それより前の家は、柱と土台をつなぐ金物や、壁の配置のバランスが十分でないことがあります。

古い家を買う場合は、耐震診断を受けて、必要なら耐震補強をリノベーションと一緒に行うのがおすすめです。
壁や床をはがすときに一緒にやると、別々にやるより費用をおさえられます。
市町村によっては、耐震診断や耐震改修に補助金が出ることもあります。
雨漏り、シロアリ、雪の影響
新潟の中古住宅でよく見るのが、雨漏りのあと、湿気によるシロアリの被害、雪による屋根や軒先の傷みです。
屋根の上に何十年も雪が積もってきた家は、屋根材や板金、雨どいが傷んでいることがあります。
雪が溶けた水が、壁の中や軒先から入り込んでいることもあります。
内装をきれいにしても、こうした根本の傷みが残っていると、数年後にまた問題が出てきます。
見た目のリノベーションより先に、まず家の外側と骨組みの傷みを直すのが順番です。
水まわりと配管
キッチンやお風呂を新しくする方は多いですが、見落としがちなのが、床下や壁の中を通っている給水と排水の配管です。
古い家では、鉄の配管がさびていたり、排水管が詰まりやすくなっていたりします。
水まわりを新しくするときは、配管も一緒に替えておくと安心です。
設備だけ新しくして配管が古いままだと、あとで床をはがして直すことになりかねません。
物件を買う前に、建物を見てもらう
ここが今日いちばんお伝えしたいことです。
中古住宅のリノベーションで失敗する一番の原因は、買ったあとで、思っていなかった傷みや問題が出てくることです。
壁をはがしたら柱が腐っていた。
床をはがしたらシロアリの被害が広がっていた。
屋根を見たら、全部ふき替えないといけない状態だった。
リノベーションの予算はとってあったのに、こうした補修に予算をとられて、やりたかったキッチンやお風呂をあきらめることになった。
そういう話を、何度も聞いてきました。
こうならないために、買う前に建物の状態を見てもらってください。
住宅診断(インスペクション)
建築士などの専門家が、建物の傾き、ひび割れ、雨漏りのあと、床下や屋根裏の状態などを見て、今の状態を報告してくれます。
インスペクションを受けておけば、買ったあとにどれくらいの補修が必要になりそうか、ある程度の見当がつきます。
売主との価格の交渉材料になることもあります。
リノベーションの見積もりを、買う前にとる
できれば、物件を買う前に、リノベーションでやりたいことと、その費用の目安を出してもらってください。
物件の値段だけを見て「安い」と思っても、直すところが多ければ、総額では高くついてしまいます。
物件の値段とリノベーションの費用を足して、はじめてその家が予算に合うかどうかが分かります。
建物以外にも見ておくこと
建物の状態のほかに、次のようなことも確認しておきます。

- 建て替えができる土地かどうか(道路にきちんと接しているか)
- 増築部分が登記されているか、違反になっていないか
- 冬に雪をどこに置くか、屋根の雪がどこに落ちるか
- 消雪パイプや除雪の状況、前の道路の幅
- ハザードマップで浸水などのリスクがないか
新潟では、雪のことを考えずに買ってしまうと、冬になってから困ることが多いです。
屋根から落ちた雪が隣の家の敷地に入る、駐車場の雪を置く場所がない、といったことは、夏に見に行っただけでは気づきにくいので、意識して見ておいてください。
お金の面で、知っておきたいこと
物件の購入とリノベーションを、まとめてローンにする
中古住宅を買ってリノベーションする場合、物件の購入費とリノベーションの費用をまとめて借りられる住宅ローンがあります。
物件の購入は住宅ローン、リノベーションは金利の高いリフォームローン、と分けて借りるより、毎月の返済をおさえやすくなります。
ただ、まとめて借りるには、物件を買う時点でリノベーションの見積もりができている必要があります。
ここでも、買う前の段取りが大事になります。
住宅ローン減税
中古住宅を買った場合も、条件を満たせば住宅ローン減税が使えます。
2026年からの見直しで、中古住宅の扱いが手厚くなり、省エネ性能の高い中古住宅ほど、借入の限度額が大きく、控除の期間も長くなる仕組みになっています。リノベーションで省エネ性能を上げることが、税金の面でも得になる場合があるということです。
ただ、適用の条件は、床面積や耐震性、入居の時期など細かく決まっています。
物件を決める前に、税務署や税理士、金融機関に確認してください。
国の補助金
今年は、国の「住宅省エネ2026キャンペーン」として、住宅の省エネリフォームに使える補助金がいくつかあります。
- みらいエコ住宅2026事業:断熱改修や省エネ設備など、幅広いリフォームが対象。古い時期に建てられた家ほど上限が大きく、1991年までに建てられた住宅では最大100万円
- 先進的窓リノベ2026事業:性能の高い窓への交換や内窓の設置が対象
- 給湯省エネ2026事業:高効率の給湯器への交換が対象
これらの補助金は、個人ではなく、登録した事業者が申請する仕組みです。
予算の上限に達すると締め切られ、遅くとも年末までの受付になります。
年内にリノベーションを考えている方は、早めにご相談ください。
市町村によっては、耐震改修や、空き家を買って住む人向けの補助金を用意しているところもあります。
国の補助金と一緒に使えるかどうかも含めて、確認しておくといいです。
中古住宅のリノベーションで、よくある失敗
最後に、ご相談の中でよく聞く失敗を挙げておきます。
見た目のリノベーションに、予算を使いすぎる
キッチンや内装は、目に見えるのでお金をかけたくなります。
でも、断熱や耐震、雨漏りの補修など、目に見えないところを後回しにすると、住んでから寒い、不安、という家になってしまいます。

見た目と性能の両方に、バランスよく予算を配分することが大事です。
工事が始まってから、追加の費用が出る
古い家は、壁や床をはがしてみないと分からないことがあります。
どれだけ事前に調べても、工事を始めてから追加の補修が必要になることは、ある程度は起こります。
リノベーションの予算は、見積もりの金額ぎりぎりで組まずに、1割から2割くらいは予備として見ておいてください。
それから、古い家の改修では、工事の前にアスベスト(石綿)が使われていないかを調べることが法律で義務になっています。
調査の費用や、見つかった場合の対応の費用も、資金計画に入れておく必要があります。
この話は、次の記事で詳しく書く予定です。
物件探しとリノベーションを、別々の会社に頼む
物件は不動産会社、リノベーションはリフォーム会社、と別々に頼むと、物件を買ってからリノベーションの見積もりをとることになりがちです。
そうすると、思った以上に費用がかかることが、買ったあとで分かります。
できれば、物件を探す段階から、建物を見られる人に相談してください。
清新ハウスでお手伝いできること
清新ハウスは、不動産の売買と、新築・リフォームの両方を行っている会社です。
中古住宅のリノベーションでは、次のようなことをまとめてお手伝いしています。
- ご希望の場所、予算に合った中古住宅探し
- 購入前の建物チェック、インスペクションのご案内
- 購入前のリノベーションのプランと見積もり
- 物件とリノベーションを合わせた資金計画
- 補助金や耐震改修の制度の確認と申請
- 新潟の雪や寒さに合わせた、断熱・屋根・外まわりの改修
「新築はむずかしそうだけど、家はあきらめたくない」「中古住宅って、実際どうなの」という段階でのご相談で大丈夫です。
今の家賃や、希望の場所をお聞きしながら、新築と中古リノベーションのどちらが合っているかも、一緒に考えます。
新築が手の届きにくい時代になったのは事実です。
でも、中古住宅を上手に選んで手を入れれば、寒くない、安心できる、自分たちらしい家に住むことは、まだ十分にできます。
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