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犬将軍日記

2026/10/25

実家の名義変更、放置していませんか? 相続登記義務化のポイントと、2026年から始まった「手続きをラクにする」新ルール

実家の名義変更、放置していませんか? 相続登記義務化のポイントと、2026年から始まった「手続きをラクにする」新ルール

空き家の相談を受けて、最初に登記簿を取ってみると、名義が亡くなったお父さんのまま、あるいはお祖父さんのまま、ということが本当によくあります。

「親が亡くなったときに、名義を変える手続きをしていなかった」

「祖父の代から誰も手をつけていない」

「そもそも名義変更が必要だと知らなかった」

これまでは、相続した不動産の名義を変える相続登記は、やってもやらなくてもよい手続きでした。

そのため、費用や手間を嫌って後回しにしているうちに、何十年もたってしまった家や土地が全国にたくさんあります。

持ち主が誰なのか分からない、連絡が取れない「所有者不明土地」の大きな原因になってきました。

この状況を変えるために、2024年4月から相続登記が義務になりました。

さらに、2026年に入ってからも、相続や登記にかかわる新しい仕組みが次々と始まっています。

手続きの負担を軽くするためのルールも、少しずつ整ってきました。

今日は、相続登記の義務化の中身をおさらいしたうえで、手続きをラクにするために用意された新しいルール、そして相続した実家を売ったり活かしたりするときに、早めに登記を整えておくことがなぜ大事なのかを書いてみます。

相続登記の義務化、あらためておさらい

2024年4月1日から、相続によって不動産を取得した人は、相続登記をすることが法律上の義務になりました。

期限は「知った日から3年以内」

相続によって不動産を取得したことを知った日から、3年以内に相続登記を申請しなければなりません。

遺産分割の話し合い(遺産分割協議)がまとまって不動産を取得した場合は、話し合いがまとまった日から3年以内に、その内容にそった登記をする必要があります。

正当な理由なく放置すると、10万円以下の過料

正当な理由がないのに義務を果たさなかった場合は、10万円以下の過料の対象になります。

「正当な理由」としては、相続人が非常に多くて戸籍を集めたり相続人を確定したりするのに時間がかかる場合、遺言の有効性や遺産の範囲について争いがある場合、相続人自身が重い病気である場合などが挙げられています。

いきなり過料が科されるわけではなく、まず法務局から登記をするよう催告があり、それでも応じない場合に、裁判所へ通知されて過料の手続きに進む流れになっています。

2024年4月より前の相続も対象。期限は2027年3月31日

義務化は、2024年4月1日より前に起きた相続にも適用されます。

お父さんが10年前に亡くなっていて、名義がそのままになっている実家も、お祖父さんの名義のまま何十年も放置されている土地も、すべて対象です。

施行日より前の相続については、施行日と、不動産を相続したことを知った日の、どちらか遅いほうから3年以内に登記をすればよい、とされています。

すでに相続が起きていて、そのことを知っている場合は、2027年3月31日が期限になります。

その期限まで、残りは1年半を切っています。

「すぐには登記できない」人のための、相続人申告登記

相続人どうしの話し合いがまとまっていない、相続人が多くて全員の書類がそろわない。

そういう理由で、すぐには相続登記ができない方も多いと思います。

そういう場合のために用意されたのが、「相続人申告登記」という手続きです。

法務局に「登記名義人が亡くなって相続が始まったこと」と「自分がその相続人であること」を申し出る手続きで、申し出をすると、登記簿に申し出た人の名前と住所が記録され、相続登記の義務を果たしたことになります。

  • 相続人の一人が、単独で申し出ることができる
  • 自分が相続人であることが分かる戸籍があればよく、相続人全員の戸籍を集める必要はない
  • 登録免許税がかからない

ただし、相続人申告登記は、あくまで「相続人がいること」を登記簿に記録するだけです。

不動産が誰のものになったのかを示す登記ではないので、この状態のままでは、不動産を売ったり、担保に入れて借り入れをしたりすることはできません。

また、相続人申告登記をしたあとに遺産分割がまとまった場合は、まとまった日から3年以内に、その内容にそった相続登記をする必要があります。

過料を避けるための当面の手段としては便利ですが、問題そのものを解決するものではない、ということは覚えておいてください。

実家の名義変更、放置していませんか? 相続登記義務化のポイントと、2026年から始まった「手続きをラクにする」新ルール

手続きをラクにするための、新しいルール

義務化とあわせて、手続きの負担を軽くするためのルールも整えられてきました。代表的なものを紹介します。

登録免許税の免税措置

相続登記をするときには、通常、土地の固定資産税評価額の0.4%の登録免許税がかかります。

ただし、次の場合には、登録免許税がかからない免税措置があります。

不動産の価額が100万円以下の土地

相続による土地の名義変更で、その土地の価額が100万円以下であれば、登録免許税はかかりません。

2025年度の税制改正で、対象が全国の土地に広がっています。

新潟の郊外や農村部では、評価額の低い田んぼや山林、私道などを相続していることが多いので、この免税措置が使える場面は少なくありません。

相続した人が、登記をしないまま亡くなった場合

お祖父さんの土地を相続したお父さんが、登記をしないまま亡くなった、というケースです。

この場合、いったんお父さんの名義にするための登記(中間の登記)については、登録免許税がかかりません。

どちらの免税措置も、2027年3月31日までの登記が対象です。

延長の要望は出されていますが、現時点では期限が決まっているので、早めに手続きをするほうが確実です。

また、申請書に免税の根拠となる法令の条項を書かないと免税を受けられません。

司法書士に頼む場合も、自分で申請する場合も、確認しておいてください。

遺産分割後の登記を、一人で申請できる場合が増えた

法定相続分(法律で決められた割合)でいったん相続登記をしたあと、遺産分割で特定の人が取得することになった場合、以前は相続人全員で登記を申請する必要がありました。

今は、その不動産を取得した人が単独で申請できるようになっています。

相続人に対する遺贈(遺言で財産を渡すこと)による登記も、受け取った相続人が単独で申請できるようになりました。

法定相続情報証明制度

相続の手続きでは、亡くなった人の生まれてから亡くなるまでの戸籍をすべて集めて、何か所もの窓口に提出する必要があります。

法定相続情報証明制度を使うと、法務局が相続関係を一覧にした証明書を無料で発行してくれます。

この証明書があれば、相続登記や銀行の相続手続きなどで、戸籍の束を何度も出し直す必要がなくなります。

所有不動産記録証明制度(2026年2月から)

2026年2月2日から、「所有不動産記録証明制度」が始まりました。

特定の人が名義人になっている不動産を、法務局が全国から探して一覧にした証明書を発行してくれる制度です。

亡くなった親の名義の不動産も、相続人が請求できます。手数料は1通1,600円です。

これまでは、親がどこに不動産を持っていたのかを調べるには、固定資産税の通知書や、市町村ごとの名寄帳を一つずつ確認するしかありませんでした。

知らない土地があって、何年もたってから見つかる、ということもよくありました。

この制度で、相続登記の漏れを防ぎやすくなります。

ただし、検索は登記簿に記録されている住所と氏名をもとに行われます。

登記簿の住所が古いままだと、一覧に出てこないことがあるので注意が必要です。

実家の名義変更、放置していませんか? 相続登記義務化のポイントと、2026年から始まった「手続きをラクにする」新ルール

住所や氏名の変更登記も、2026年4月から義務に

相続登記とは別ですが、あわせて知っておいてほしいのが、住所や氏名の変更登記の義務化です。

2026年4月1日から、不動産の名義人の住所や氏名が変わった場合、変わった日から2年以内に変更の登記をすることが義務になりました。

正当な理由なく怠ると、5万円以下の過料の対象になります。

この義務も、施行日より前に住所や氏名が変わっていた場合に適用されます。

引っ越したのに登記簿の住所が昔のまま、結婚して名字が変わったのに登記はそのまま、という方は、2028年3月31日までに変更登記をする必要があります。

手間を減らすための仕組みとして、「スマート変更登記」も始まりました。

あらかじめ法務局に、生年月日やふりがな、メールアドレスなどの「検索用情報」を申し出ておくと、法務局が住民基本台帳ネットワークで住所の変更を確認し、本人の了解を得たうえで、職権で変更登記をしてくれる仕組みです。

親が元気なうちに、親の名義の不動産の登記簿の住所が今の住所になっているかを確認しておく。

それだけで、将来の相続のときに、所有不動産記録証明制度で親の不動産を漏れなく見つけやすくなります。

相続登記を放置すると、何が困るのか

過料のことばかりが注目されがちですが、本当に困るのは、その先のことです。

売れない、貸せない、直せない

名義が亡くなった人のままの不動産は、そのままでは売ることができません。

担保に入れてお金を借りることもできません。リフォームや解体の契約を結ぶときにも、所有者がはっきりしていないと話が進まないことがあります。

空き家を売ろうと思い立って不動産会社に相談したら、「まず相続登記をしてください」と言われ、そこから手続きを始めて何か月もかかる。

買い手が見つかっていたのに、登記が間に合わずに話が流れてしまう。

そういう例は珍しくありません。

相続人がどんどん増えていく

相続登記をしないまま時間がたつと、相続人の誰かが亡くなるたびに、その人の子どもや配偶者が新たな相続人になります。

最初は兄弟3人だった相続人が、二代、三代と進むうちに、十数人、数十人に増えていきます。

相続人が増えるほど、全員の戸籍を集める手間も、全員と連絡を取って話をまとめる手間も、大きくなります。

会ったこともない遠い親戚と、実家の分け方について話し合わなければならなくなることもあります。

相続人の一人が認知症になると

相続人の中に、認知症などで判断ができなくなった人が出てくると、その人を含めた遺産分割の話し合いができなくなります。

成年後見人を選んでもらう必要があり、手続きにさらに時間と費用がかかります。

10年たつと、遺産分割のルールが変わる

2023年4月からは、相続が始まってから10年を過ぎると、遺産分割のときに、生前に多くの贈与を受けていた人がいる、親の介護に貢献した、といった事情を原則として主張できなくなるルールが始まっています。

長く放置していると、自分に有利な事情があっても、それを考慮してもらえなくなることがあります。

税金の特例の期限

亡くなった親が一人で住んでいた家を相続して売った場合、一定の条件を満たせば、売った利益から最高3,000万円を差し引ける特例があります。

この特例は、相続から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります。

相続登記が遅れて売るのが遅れると、この特例が使えなくなることがあります。

手元に残るお金が数百万円単位で変わることもあります。

実家の名義変更、放置していませんか? 相続登記義務化のポイントと、2026年から始まった「手続きをラクにする」新ルール

早めに相続の相談をする、権利を整理するメリット

ここまで読んでいただくと分かるように、相続登記は「早くやればやるほどラク」な手続きです。

相続人が少ないうちに、関係者がみんな元気なうちに、必要な書類が手に入るうちに。時間がたてばたつほど、どれも難しくなっていきます。

早めに権利を整理しておくと、次のようなメリットがあります。

  • 相続人どうしの話し合いがしやすい
  • 必要な戸籍や書類を集めやすい
  • 登録免許税の免税措置を使える可能性がある
  • 売るときの税金の特例を使いやすい
  • 空き家の売却や活用を、思い立ったときにすぐ進められる
  • 空き家の管理の責任者がはっきりする

これから相続が起きる予定の方は、親が元気なうちに、親の名義の不動産がどこにあるのか、登記簿の名義や住所がどうなっているのか、祖父母の名義のまま残っているものはないかを、一度確認しておくことをおすすめします。

遺言書を作っておいてもらう、家族信託を検討する、といった生前の対策をとっておくと、相続のときの手続きがずっとスムーズになります。

実家の名義変更、放置していませんか? 相続登記義務化のポイントと、2026年から始まった「手続きをラクにする」新ルール

清新ハウスでお手伝いできること

清新ハウスでは、空き家や相続した不動産のご相談を、建築と不動産の両方の立場から受けています。

私自身、全国空き家アドバイザー協議会として、新潟市から空き家の管理や活用を支援する法人の指定も受けています。

相続登記の手続きそのものは司法書士の仕事なので、信頼できる司法書士におつなぎします。

そのうえで、私たちは次のようなことをお手伝いしています。

  • 登記簿、名寄帳、固定資産税の課税明細などから、名義と土地の状況を一覧に整理
  • 未登記の建物や、境界のはっきりしない土地の洗い出し
  • 建物の状態の確認と、売る・残す・壊す・活かすの比較
  • 相続人の方々への説明資料づくりのお手伝い
  • 登記が整ったあとの売却や賃貸、リフォーム、解体、管理

「親が亡くなって何年もたつけれど、名義がそのまま」「祖父の名義のままの土地がある」「2027年3月の期限に間に合うか心配」という方は、お気軽にご相談ください。

手元にある固定資産税の通知書を見るだけでも、分かることがたくさんあります。


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