
最近、「不動産会社が業務停止処分を受けた」というニュースを目にすることが増えた、という声を聞きます。
都道府県や国土交通省のホームページには、行政処分を受けた宅建業者(宅地建物取引業者)の名前と処分の理由が、毎月のように掲載されています。
業界にいる私たちも、知っている会社の名前を見つけてどきっとすることがあります。
ただ、国の統計を確認してみると、少し違う景色が見えてきます。
国土交通省がまとめた令和6年度(2024年度)の調査では、宅建業者への業務停止処分は16件で、前の年度の33件から半分ほどに減っています。
免許取消は99件、指示処分は32件で、監督処分は合計147件でした。
一方で、処分の一歩手前の「行政指導」は592件で、前年度より61件、1割ほど増えています。
そして、宅建業者の数は13万2,291業者と、11年連続で増え続けています。
つまり、業務停止のような重い処分の数そのものは年によって増えたり減ったりしていますが、行政から注意を受ける会社は増えていて、業者の数も過去最多の水準にある、というのが今の状況です。
数字だけを見ると他人事のように感じるかもしれません。
でも、家を売る、買う、借りる、空き家を処分する、という場面で、この話はお客様に直接関わってきます。
今日は、宅建業者の行政処分とはどういうものなのか、どんな違反で処分されるのか、そして、お客様が安心して任せられる不動産会社をどう見分ければいいのかを、私たち自身も宅建業者である立場から、なるべく正直に書いてみます。
宅建業者の行政処分には、どんな種類があるのか
不動産の売買や賃貸の仲介をするには、宅地建物取引業の免許が必要です。
この免許を出しているのが、都道府県知事か国土交通大臣です。
宅建業法に違反した業者には、免許を出した行政から処分が出されます。
重い順に、次の三つがあります。
免許取消
最も重い処分です。宅建業を続けることができなくなります。
免許を取り消されると、原則として5年間は免許を取り直すことができません。
業務停止
一定の期間、業務の全部または一部を止めるよう命じられる処分です。
期間は最長1年で、違反の内容によって数日から数か月まで幅があります。
その間は、新しい取引を始めることができません。
指示処分
違反した状態を正すように指示される処分です。
指示に従わなければ、業務停止などのより重い処分につながります。
このほかに、正式な処分の前の段階として、文書による指導や勧告といった行政指導があります。
先ほどの592件はこちらの数字です。

処分を受けた業者の名前は、免許を出した行政のホームページで公表されます。
なお、処分は会社だけでなく、宅建士個人に出されることもあります。重要事項説明で事実と違うことを説明した、名義を貸した、といった場合に、宅建士としての事務を一定期間禁止されたり、登録を消されたりします。会社の看板だけでなく、実際に説明をする宅建士一人ひとりにも責任がある、ということです。
どんな違反で処分されているのか
処分の理由として、よく見かけるのは次のようなものです。
重要事項説明の不備
不動産を売買したり借りたりする前に、宅建士が物件の大事な情報を書面で説明する「重要事項説明」が、法律で義務づけられています。
この説明をしなかった、説明が足りなかった、事実と違うことを説明した、といった違反です。
たとえば、建物が法律の制限で建て替えできない土地なのにその説明をしなかった、過去の雨漏りや事故のことを知っていて伝えなかった、といったケースは、お客様に大きな損害を与えます。
誇大広告・おとり広告
実際より良く見せる広告や、実際には取引できない物件を広告に載せてお客様を呼び込む、いわゆるおとり広告です。
契約書面や帳簿などの不備
契約が成立したときに交付すべき書面を交付していない、法律で備えることになっている帳簿や従業者名簿がない、といった違反です。
事務所に必要な宅建士がいない
宅建業の事務所には、従業員5人に1人以上の割合で専任の宅建士を置く必要があります。
名前だけ借りて実際には働いていない、いわゆる名義貸しも違反です。
お金の扱いに関する違反
手付金を受け取るときに、法律で決められた保全の措置をとらなかった、預かったお金を不当に扱った、といった違反です。
取引の相手を誠実に扱わない行為
契約を急がせるために強引な勧誘をする、断っているのに何度も勧誘する、といった行為も処分の対象になります。
どれも、宅建業者として基本中の基本のことばかりです。
それでも、毎年これだけの処分や指導が出ているのが現実です。
不動産会社の数が増えると、何が起きるのか
宅建業者の数は、11年連続で増えています。
業者が増えること自体は、お客様にとって選択肢が増えるという意味で悪いことではありません。
ただ、競争が激しくなると、無理な営業をしたり、手続きを省いたりする会社が出てきやすくなるのも事実です。
空き家の分野では、特にそれを感じます。

空き家の相談が増えるにつれて、「空き家買い取ります」「どんな物件でも引き取ります」という会社が次々に出てきました。
きちんとした会社も多いですが、なかには、相場よりかなり安い値段で買い取ろうとしたり、高額な引き取り料を取ったうえで登記をきちんとしなかったりする業者もいます。
以前このブログで書いた、売れない土地の「引き取り」をうたって費用を請求する業者のトラブルも、根っこは同じです。
それから、売却の仲介で問題になっているのが「囲い込み」です。
売主から売却を任された不動産会社が、ほかの会社から買いたいお客様の紹介があっても、「もう申し込みが入っている」などと言って断り、自分の会社で買主も見つけて両方から手数料を取ろうとする行為です。売主から見ると、早く高く売れる機会を逃していることになります。
国もこの問題を重く見て、2025年から、不動産会社どうしが物件情報を共有する仕組み(レインズ)で、物件の取引状況を正しく登録することを求めるようにしています。
新潟で空き家や実家を売るときに、気をつけたいこと
新潟で空き家の相談を受けていると、売主の方が不利な立場に置かれやすい場面がいくつかあります。
一つは、県外に住んでいる方が実家を売るケースです。
現地に何度も足を運べないので、不動産会社から「この値段でしか売れません」「早く決めないと冬が来て売れなくなります」と言われると、それを信じるしかありません。
雪国では冬の前に動いたほうがいいのは確かですが、それを理由に相場より大きく安い値段で手放す必要はありません。
少なくとも、もう一社には査定を頼んでみてください。
もう一つは、高齢の方が一人で判断するケースです。
訪問してきた業者に勧められるまま、その場で媒介契約や売買契約を結んでしまう、という話もあります。
ご家族が離れて住んでいる場合は、親御さんに「不動産の話が来たら、決める前に一度連絡して」と伝えておくだけでも、トラブルをかなり防げます。
それから、建物の状態や登記の問題を、きちんと説明してくれるかどうかも大事です。
未登記の建物がある、境界がはっきりしない、雨漏りがある。
こうした問題をあいまいにしたまま売ってしまうと、あとで買主との間でもめることになり、困るのは売主です。
業務停止になった会社と取引していたら、どうなるのか
もし、自分が取引している不動産会社が業務停止処分を受けたら、と心配になる方もいると思います。
業務停止の間は、その会社は新しい取引を始めることができません。
すでに進んでいる取引への影響は、処分の内容によって変わります。
取引の途中で処分が出た場合は、まずその会社に今後の進め方を確認してください。
説明が納得できない場合は、免許を出している都道府県の担当窓口に相談できます。

また、宅建業者との取引で損害を受けた場合に備えて、宅建業者は営業保証金を供託するか、保証協会に加入することが義務づけられています。
業者との取引で生じたお金の問題について、一定の範囲で弁済を受けられる仕組みです。
ただ、こうした制度は、あくまで最後の受け皿です。
そもそも問題のある会社と取引しないことが、一番の予防になります。
信頼できる不動産会社を見分ける方法
では、お客様はどうやって不動産会社を見分ければいいのか。
私が身内に相談されたら伝えることを書いておきます。
行政処分の履歴を調べる
国土交通省には「ネガティブ情報等検索サイト」があって、宅建業者が過去に受けた行政処分を検索できます。
会社の名前で調べてみると、処分歴があるかどうかが分かります。
都道府県のホームページにも、処分を受けた業者の情報が載っています。
処分歴が一度でもある会社がすべてだめ、というわけではありませんが、どんな理由で処分されたのかは、確認しておく価値があります。
免許番号を確認する
宅建業者の事務所や広告には、免許番号が表示されています。
「新潟県知事(3)第○○号」のような表示です。
かっこの中の数字は免許を更新した回数で、数字が大きいほど長く営業していることが分かります。
数字が大きいから必ず安心、というわけではありませんが、一つの目安にはなります。
重要事項説明を丁寧にしてくれるか
重要事項説明は、契約の直前に慌ただしく済ませるものではありません。
分からないところを質問したときに、面倒がらずに説明してくれるか。
できれば、契約の何日か前に書面を見せてもらえるか。ここに会社の姿勢がよく表れます。
都合の悪いことも話してくれるか
物件の良いところだけを並べる会社より、「この家はここに注意が必要です」「この土地は建て替えに制限があります」と、都合の悪いことも先に話してくれる会社のほうが信頼できます。
契約を急がせないか
「今日決めないと他の人に取られます」「今月中なら値引きします」と、考える時間を与えない会社には注意してください。
不動産は大きな買い物、大きな売り物です。一晩考えて、家族と相談する時間はあって当然です。
突然の電話や訪問には慎重に
こちらから相談していないのに、電話や訪問で「その土地を買い取ります」「すぐ売れます」と言ってくる会社には、特に慎重になってください。
すぐに返事をせず、家族や信頼できる人に相談してから決めるのが安全です。
私たち自身も、宅建業者として
偉そうなことを書いてきましたが、清新ハウスも宅建業者です。
今日書いたことは、そのまま自分たちに向けた戒めでもあります。
特に空き家の相談では、お客様の多くが、不動産の取引にあまり慣れていない方です。
相続で急に実家を持つことになった方、遠方に住んでいて現地の事情が分からない方、高齢のご両親の代わりに動いている方。
そういう方ほど、業者の言うことを信じるしかない立場にあります。

だからこそ、私たちは、売れる物件かどうか、どんな問題を抱えている物件かを、建築士として建物を見たうえで正直にお伝えすることを大事にしています。
売ったほうがいい物件には売却をすすめますし、すぐに動かないほうがいい物件には、そうお伝えします。
こちらの都合で契約を急がせることはしません。
業界全体として、処分の数が減っても、増えても、お客様の信頼を失うような取引が一件でもあれば、それは業界全体の信頼に関わります。
私たちも、一件一件の取引を丁寧に積み重ねていくしかないと思っています。
不動産のこと、まずは相談だけでも
清新ハウスでは、新潟市を中心に、不動産の売却や購入、空き家の処分や活用のご相談を受けています。

「今やりとりしている不動産会社の説明で大丈夫か不安」「空き家を買い取ると電話がかかってきたけど、どう判断すればいいか分からない」という段階でのご相談でもかまいません。
他社さんとのお取引を邪魔するつもりはありません。
判断の材料をお伝えするだけでもお役に立てればと思っています。
ご相談はLINEからどうぞ
👉 LINEでご相談(リンク)
LINEで気軽に無料相談

【モデルハウス公開中!】
NEW!秋葉区小戸上組分譲地内 新「蔵里」OPEN!

古民家から取り出した古材を再利用した新旧融合の新しい住まいの在り方をご体感下さい。
👇👇モデルハウス見学のご予約はこちらをクリック👇👇
