
ここ数年、中古住宅の価格が上がっています。
首都圏では、中古マンションの成約価格が2020年から6年近く、毎月前の年を上回り続けています。
中古の一戸建ても、2026年4月の首都圏の成約価格は前の年より1割近く高くなりました。
新潟は首都圏ほどではありませんが、立地のいいエリアの中古住宅は、以前よりも高い値段で取引されるようになってきたと感じます。
最近、「今の家を売ったら、いくらになるだろう」というご相談が増えてきました。
家を建てたときや買ったときより、今の方が高く売れるかもしれない。
少なくとも、住宅ローンの残りを返しても、手元にお金が残るかもしれない。
そう考えて、住み替えを検討し始める方が増えているようです。
確かに、今は住み替えを考えるにはいいタイミングの一つだと思います。
ただ、一つ気をつけてほしいことがあります。
それが「土地の評価」です。
今日は、中古住宅の価格が上がっている理由、ローン残高以上で売れる可能性と住み替えの進め方、そして住み替えで失敗しないために知っておきたい土地の評価の見方を書いてみます。
なぜ中古住宅の価格が上がっているのか
新築の価格が上がりすぎた
一番大きな理由は、新築住宅の価格が上がっていることです。
木材や鉄、断熱材、設備機器などの建築資材の価格が、この数年で大きく上がりました。
職人さんの人手不足で、工事の人件費も上がっています。
さらに、2025年4月からは新築住宅に省エネ基準への適合が義務づけられ、性能の基準が上がった分、建築費も上がっています。
同じ広さの家を新しく建てようとすると、数年前より何百万円も高くなる、ということが珍しくなくなりました。
新築に手が届きにくくなった人たちが、中古住宅に目を向けるようになり、中古住宅の需要が増えています。
中古を買ってリノベーションする人が増えた
中古住宅を買って、自分たちの好みに合わせてリノベーションする、という住まい方も広がってきました。
立地のいい場所の中古住宅を手頃な価格で買い、浮いた予算を内装や性能の改修に回す。若い世代を中心に、こうした選び方をする人が増えています。
売りに出る物件が限られている
立地のいいエリアでは、そもそも売りに出る物件の数が限られています。
欲しい人が増えているのに、物件が少ないので、価格が上がりやすくなります。

ローン残高以上で売れるかもしれない
家を売るときに、まず確認したいのが、「売った値段で、住宅ローンを全部返せるかどうか」です。
売った値段が住宅ローンの残りより高ければ、ローンを返したうえで、手元にお金が残ります。
これを「アンダーローン」と言います。
逆に、売った値段がローンの残りより低いと、足りない分を自分で用意しないと売れません。
こちらは「オーバーローン」です。
数年前までは、家を買ってから10年、15年くらいの時期に売ろうとすると、オーバーローンになってしまうことが少なくありませんでした。
建物の価値は年々下がっていくのに、ローンの返済はなかなか進まないからです。
それが、中古住宅の価格が上がったことで、同じ時期でもアンダーローンになるケースが増えてきました。
ローンの残りを返して、手元に残ったお金を次の家の頭金にできれば、住み替えの選択肢はぐっと広がります。
まずは、今のローンの残高を確認してください。
金融機関から届く返済予定表や、インターネットバンキングで確認できます。
そのうえで、今の家がいくらで売れそうかを知るところから始めます。

住み替えの進め方
住み替えには、大きく分けて二つの進め方があります。
売り先行
今の家を先に売ってから、次の家を買う方法です。
売った金額がはっきりしてから次の家を探すので、資金の計画が立てやすく、無理のない買い物ができます。
一方で、次の家が見つかる前に今の家を引き渡すことになると、仮住まいが必要になります。
引っ越しも2回になります。
引き渡しの時期を買い手と調整して、次の家が見つかるまで住み続けられるようにする方法もあります。
買い先行
次の家を先に買ってから、今の家を売る方法です。
じっくり次の家を選べて、仮住まいも必要ありません。
ただ、今の家が売れるまでの間、住宅ローンを二重に払うことになる場合があります。
今の家がなかなか売れないと、焦って値下げをすることにもなりかねません。
売れたお金を当てにして次の家を買う場合は、つなぎ融資などの資金の手当てが必要になることもあります。
今の家のローンの残りを、次の家のローンと一緒に借り換える「住み替えローン」を扱っている金融機関もあります。
どちらの進め方がいいかは、今の家の売れやすさ、手元の資金、家族の事情によって変わります。
税金の特例も確認しておく
自分が住んでいた家を売って利益が出た場合、一定の条件を満たせば、売った利益から最高3,000万円を差し引ける特例があります。
多くの場合、この特例を使えば、住み替えで売った家に税金はかからないか、かなり少なく済みます。
逆に、売って損が出た場合でも、一定の条件を満たせば、その損をほかの所得と差し引きできる特例もあります。
特例の条件は細かく決まっていて、使える特例の組み合わせにも制限があるので、売る前に税理士や税務署に確認しておいてください。

見落としやすい「土地の評価」に注意
ここからが、今日一番お伝えしたいことです。
中古住宅の価格が上がっているといっても、すべての家が同じように上がっているわけではありません。
上がり方は、建物よりも、土地、つまり立地によって大きく違います。
新潟では、エリアによって土地の値動きがまったく違う
2026年の公示地価を見ると、新潟県全体の住宅地の価格は、前の年より0.5%下がっています。
一方で、新潟市の中央区は2%を超えて上がっていて、10年前と比べると15%以上上がっています。
新潟駅の周辺を中心に、上がっている地点が集中しています。
その反対に、県内でも郊外や中山間地では、10年前より2割前後下がっている市町村もあります。
同じ新潟県の中でも、土地の値段が上がっている場所と、下がり続けている場所がはっきり分かれているんです。
中古住宅の値段の多くは、土地の値段
木造の一戸建ては、築20年、30年たつと、建物そのものの評価はかなり低くなります。
リフォームや手入れの状態によって差は出ますが、中古の一戸建ての値段の多くは、実際には土地の値段だと考えたほうがいいです。
つまり、「中古住宅が高く売れる」かどうかは、その家が建っている土地の評価にかかっています。
ニュースで「中古住宅が高騰」と聞いて、自分の家も高く売れるだろうと思っていたら、郊外の土地の値段が下がっていて、思っていたほどにはならなかった、ということも十分ありえます。
次の家の土地も、同じ目で見る
住み替えでもう一つ注意したいのが、次に買う家の土地の評価です。
今の家を高く売れたとしても、次の家を、値段が下がり続けている土地に買えば、将来もう一度売るとき、あるいは子どもに相続するときに、価値が大きく下がっているかもしれません。
逆に、立地のいい場所は、今は高く感じても、将来の価値が保たれやすい傾向があります。
どこに住むかは、暮らしやすさや家族の事情で決めるものなので、値段だけで選ぶ必要はありません。
ただ、その土地の値段がこれから上がりそうなのか、下がりそうなのか、という見方は持っておいたほうがいいと思います。
土地の「値段」には、いくつも種類がある
土地の評価を調べようとすると、いろいろな「値段」が出てきて混乱することがあります。
- 公示地価・基準地価:国や県が毎年公表する、標準的な土地の価格
- 路線価:相続税や贈与税を計算するために使う価格(公示地価のおよそ8割が目安)
- 固定資産税評価額:固定資産税を計算するために使う価格(公示地価のおよそ7割が目安)
- 実勢価格:実際に売り買いされている価格
固定資産税の通知書に書いてある金額は、実際に売れる値段とは違います。
実際にいくらで売れるかは、近くで同じような土地や家がいくらで取引されたかを見て判断します。
同じエリアでも、土地ごとに評価が変わる
土地の評価は、エリアだけでなく、その土地自体の条件でも大きく変わります。
- 道路にきちんと接しているか(建て替えができる土地か)
- 土地の形が整っているか
- 前の道路の幅は十分か
- 日当たりや、周りの環境はどうか
- ハザードマップで浸水や土砂災害のリスクがないか
- 用途地域などの制限で、建てられるものが限られていないか
- 市町村の立地適正化計画で、居住誘導区域に入っているか
同じ町内の隣どうしの土地でも、こうした条件によって、値段が大きく違うことがあります。
建物の状態も、売れる値段を左右する
土地が大事だと書きましたが、建物の状態がまったく関係ないわけではありません。
雨漏りやシロアリの被害がある家、長く手入れをしていない家は、買い手が修理の費用を見込むので、そのぶん値段が下がります。
逆に、定期的に外壁や屋根の手入れをしてきた家、水まわりをリフォームしてある家は、同じ立地でも高く評価されやすいです。
売る前に、建物の状態を一度専門家に見てもらい、必要に応じて住宅診断(インスペクション)を受けておくと、買い手も安心して検討できます。
小さな不具合を直しておくだけで、売れるまでの期間が短くなることもあります。

査定の金額と、金融機関の評価の違いにも注意
住み替えを考えて、不動産会社に査定を頼むと、会社によって査定額がかなり違うことがあります。
中には、売却の依頼を取りたいために、相場より高い査定額を出す会社もあります。
高い査定額を信じて次の家の計画を立てたのに、実際には査定額では売れず、値下げを繰り返すことになった、という話も聞きます。
査定額だけを見るのではなく、なぜその金額になるのか、近くでどんな取引があったのか、根拠をきちんと説明してもらってください。
それから、金融機関が住宅ローンを貸すときに見る担保の評価は、実際に売れる値段より低く見積もられることが多いです。
住み替えローンなどで今の家の価値を当てにする場合は、金融機関がどう評価するのかも確認しておく必要があります。

金利の動きにも目を配る
もう一つ、住み替えを考えるうえで気にしておきたいのが、住宅ローンの金利の動きです。
ここ数年、日本でも金利が上がる方向に動いてきました。
変動金利で借りている方は、今後の返済額が増える可能性があります。
次の家のローンを組むときも、以前より高い金利で借りることになるかもしれません。
中古住宅が高く売れる今は、住み替えのチャンスでもありますが、次の家の値段も上がっていて、借りるときの金利も上がっている、ということは忘れないでください。
売る家と買う家、両方の値段と、ローンの返済の見通しを合わせて考えることが大事です。
清新ハウスでお手伝いできること
清新ハウスでは、新潟市を中心に、住宅の売却や購入、住み替えのご相談を受けています。
建築士として建物の状態を見ることと、不動産会社として土地や相場を見ることの両方ができるのが、私たちの強みです。
- 今の家の査定(建物の状態と土地の評価の両方から)
- 近くの取引事例や、地価の動きをもとにした、根拠のある価格の説明
- 売り先行・買い先行のどちらがいいかの整理
- 次の家の土地の評価や、ハザード、法令上の制限の確認
- 中古住宅を買ってリノベーションする場合の、建物の診断と費用の目安
- 必要に応じて、税理士や金融機関へのおつなぎ
「今の家がいくらで売れるか知りたい」「住み替えを考えているけれど、何から始めればいいか分からない」という段階でのご相談で大丈夫です。
売ることを決めていなくても、今の家の価値を知っておくだけで、これからの計画が立てやすくなります。
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