
空き家の相談を受けていると、こんな話をよく聞きます。
「税理士さんに相談したら、税金のことは教えてくれたけど、家をどうするかは不動産屋に聞いてくれと言われた」
「不動産屋さんに行ったら、名義が亡くなった祖父のままだから売れません、まず司法書士に相続登記を頼んでくださいと言われた」
「司法書士さんに頼もうとしたら、相続人の一人が話し合いに応じてくれないなら弁護士に相談してくださいと言われた」
「弁護士さんに相談したら、まず家と土地の価値がどれくらいか分からないと話が進まないと言われた」
窓口を回っているうちに、半年、1年と時間が過ぎていく。
その間にも、空き家は傷み、固定資産税は毎年かかり、冬が来れば雪の心配がやってきます。
誰かが手を抜いているわけではありません。
どの専門家も、自分の専門の範囲ではきちんと仕事をしています。
ただ、空き家の問題は、一つの専門分野だけでは片づかないことがほとんどなんです。
相続、登記、税金、建物の状態、土地の境界、借りている人との関係、近所との関係、売るのか残すのか壊すのかという家族の気持ち。
これらが全部絡み合っていて、どれか一つだけを解決しても、全体は前に進みません。
今日は、なぜ空き家の問題が一人の専門家では解決できないのか、そして、相続した複雑な土地や、人に貸している物件のような難しいケースを整理するには、どういう人に頼むのがいいのかを書いてみます。
少し長くなりますが、実家の空き家をどうするか悩んでいる方、どこに相談すればいいのか分からずに止まっている方に、読んでいただけたらと思います。
空き家の問題は、なぜこんなに複雑なのか
一軒の空き家を前にしたとき、実際には次のような問題が同時に存在していることが多いです。
相続の問題
誰が相続人なのか。遺言はあるのか。相続人どうしの話し合い(遺産分割協議)はまとまっているのか。
相続人の中に、連絡がつかない人や、認知症で判断が難しい人はいないか。
祖父母の代から相続の手続きをしていなければ、相続人が十数人に増えていることもあります。
登記の問題
土地や建物の名義は誰になっているか。
相続登記はされているか。
そもそも建物が登記されていない、ということもあります。
2024年4月からは相続登記が義務になったので、放っておくと過料の対象になる可能性もあります。
税金の問題
相続税はかかるのか。
売ったときに税金はいくらかかるのか。
空き家を売ったときの3,000万円の特別控除は使えるのか。
その特例には相続から3年という期限がある。
解体すると固定資産税が上がる。
建物の問題
建物はまだ使えるのか。
雨漏りやシロアリの被害はないか。
リフォームすれば住めるのか、壊したほうがいいのか。
解体するならいくらかかるのか。
アスベストは含まれていないか。
土地の問題
隣との境界ははっきりしているか。
道路にきちんと接しているか。
建て替えができる土地か。
農地や山林が混ざっていないか。
私道を通らないと出入りできない土地ではないか。
人の問題
家を誰かに貸していないか。
借りている人がいる場合、その契約はどうなっているか。
隣の人と、昔の口約束で何か取り決めをしていないか。
家族の中で、売りたい人と残したい人の意見が分かれていないか。
地域の問題
近所に迷惑をかけていないか。
雪や草木の管理はどうするか。

市町村から管理不全空家として指導を受ける心配はないか。
これだけの問題が、一軒の家にまとめて乗っています。
そして、それぞれの問題は互いにつながっています。
たとえば、売るかどうかを決めるには、税金がいくらかかるか知る必要があります。
税金を計算するには、建物の価値や、いつ誰が取得したかを知る必要があります。
売るためには、名義を整理して、境界をはっきりさせる必要があります。
名義を整理するには、相続人全員の合意が必要です。
相続人の合意を得るには、売ったらいくら手元に残るのかを示す必要があります。
ぐるっと一周して、最初に戻ってきてしまう。
空き家の相談で多くの方が止まってしまうのは、この「どこから手をつければいいのか分からない」状態に陥るからです。
それぞれの専門家ができること、できないこと
空き家の問題に関わる専門家は、たくさんいます。
それぞれの専門家が何をしてくれて、何はしてくれないのかを、整理しておきます。
税理士
相続税の申告、不動産を売ったときの譲渡所得の申告、税金を少なくするための特例の適用など、税金の専門家です。
税金の計算や、個別の税務の相談、申告書の作成は、税理士にしかできない仕事です。
一方で、家を売るか残すか、建物をどう直すか、相続人どうしの意見をどうまとめるか、といったことは税理士の仕事ではありません。
司法書士
相続登記や、売買による名義の変更など、登記の専門家です。
遺産分割協議書の作成のお手伝いや、相続人の調査もしてくれます。
ただ、相続人どうしが争っている場合に、一方の側に立って交渉することはできません。
家の価値を判断したり、買い手を探したりすることも、司法書士の仕事ではありません。
土地家屋調査士
土地の境界を確定するための測量や、建物の表題登記(登記されていない建物を登記簿に載せる手続き)の専門家です。
弁護士
相続人どうしの争い、借りている人との立ち退きの交渉、隣の人との境界の争いなど、法律上の紛争を代理して解決できる専門家です。
裁判や調停の手続きも弁護士の仕事です。
ただ、弁護士は法律の専門家であって、建物の状態や不動産の相場、解体の費用といった実務の部分は、別の専門家の意見が必要になることがほとんどです。
不動産会社(宅建業者)
不動産の売却や購入、賃貸の仲介をする会社です。
相場を調べて、買い手や借り手を探し、契約の手続きを進めます。

ただ、名義が整理されていない物件や、相続人の意見がまとまっていない物件は、そのままでは売りに出せません。
「整理がついたら連絡ください」と言われて、そこで止まってしまうことがよくあります。
それから、不動産会社によって、得意な分野が大きく違います。
街なかの新しい物件の売買は得意でも、郊外の古い農家住宅や、山林や農地が混ざった土地は扱ったことがない、という会社も少なくありません。
建築士、工務店
建物の状態を見て、直せるのか、壊すべきなのかを判断し、リフォームや解体の工事をします。
ただ、相続や登記、税金のことは専門外です。
こうして並べてみると、どの専門家も、自分の範囲ではとても頼りになります。
でも、空き家の問題の全体を見渡して、どの順番で、誰に、何を頼むのかを決めてくれる人は、この中にはいません。
それぞれの専門家は、自分のところに来た仕事を正確にこなします。
でも、その前後で何が必要なのか、その仕事をすることで全体がどう動くのかまでは、見ていないことが多いです。
見る立場にないと言ったほうが正確かもしれません。
その結果、相談する方が、専門家と専門家の間を行ったり来たりすることになります。
必要なのは、全体を見渡して動ける「まとめ役」
空き家の問題を解決するのに本当に必要なのは、すべてを自分でこなせるスーパーマンではありません。
そんな人はいません。
必要なのは、次のような人です。
- 相続、登記、税金、建物、土地、賃貸、近所との関係まで、空き家に関わる問題をひととおり理解していて、全体の地図を描ける
- どの問題から手をつけるべきか、順番を決められる
- それぞれの問題について、どの専門家に何を頼めばいいかが分かっていて、実際に信頼できる専門家とつながっている
- 専門家どうしの間に入って、情報を整理してつなげられる
- 実際に現地に足を運んで、建物や土地の状態を自分の目で確かめられる
- 相談者の家族の気持ちにも寄り添いながら、最終的にどうするのが一番いいのかを一緒に考えられる
いわば、空き家の問題全体の「まとめ役」です。
建物の新築にたとえると分かりやすいかもしれません。
家を建てるとき、大工さん、電気屋さん、水道屋さん、左官屋さん、屋根屋さんなど、たくさんの職人さんが関わります。

でも、お施主さんが一人ひとりの職人さんに直接指示を出すことはありません。
設計者や現場監督が全体を見て、工程を組み、職人さんどうしの段取りを調整します。
空き家の問題も同じです。
専門家という職人さんたちを、誰かが全体を見ながら段取りしないと、一軒の家は片づきません。
「交渉」をめぐって知っておいてほしい線引き
ここで一つ、とても大事なことを書いておきます。
空き家の整理では、いろいろな「交渉」が必要になります。
相続人どうしの話し合い、借りている人との契約の見直し、隣の人との境界の確認、買い手との条件のすり合わせ。
このうち、法律上の権利や義務について争いがあるもの、たとえば、相続人どうしが遺産の分け方で争っている、借りている人が立ち退きを拒んでいる、隣の人と境界について言い分が対立している、といった案件について、報酬をもらって当事者の代わりに交渉したり、和解をまとめたりすることは、弁護士にしかできません。
弁護士でない人がこれをすると、弁護士法に違反する「非弁行為」になります。
同じように、個別の税金の相談や申告は税理士の、登記の手続きは司法書士や土地家屋調査士の仕事として、法律で決められています。
だからこそ、まとめ役に求められるのは、何でも自分でやってしまうことではなく、「ここから先は弁護士の仕事」「ここは税理士に確認する」という線引きを正しく分かっていることです。

まとめ役ができるのは、争いになる前の段階で、関係者の考えを聞いて、状況を整理し、判断の材料をそろえることです。
争いになっている、あるいはなりそうな部分は、早めに弁護士につなぐ。税金は税理士に、登記は司法書士に、測量は土地家屋調査士に。そのうえで、不動産の売買や賃貸の仲介、建物の調査や工事など、自分の資格と専門の範囲でできることは、責任を持って進めます。
この線引きをあいまいにして、「全部うちでやります」という業者には注意してください。
親身に見えても、あとで手続きが無効になったり、トラブルが大きくなったりするおそれがあります。
逆に言えば、信頼できるまとめ役は、自分ができないことを正直に言い、それができる専門家を紹介してくれる人です。
ケース1:相続した、よく分からない複雑な土地
ここからは、実際によくあるケースをもとに、まとめ役がどう動くのかを書いてみます。
個人が特定されないように、複数の相談をもとに組み立てた例です。
相談の内容
県外に住む50代の方が、亡くなったお父さんから新潟の郊外の実家を相続しました。
調べてみると、実家の土地のほかに、近くに田んぼが数枚と、山林が少し、さらに、どこにあるのか家族の誰も知らない土地が名寄帳に載っていました。
実家の建物には、登記されていない増築部分と、古い納屋が二棟ありました。
さらに、実家の土地の名義は、お父さんではなく、お祖父さんのままでした。
お祖父さんの相続のときに手続きをしていなかったため、お父さんの兄弟、つまり相談者のおじさんやおばさん、その子どもたちまで、相続人が十数人に広がっていました。
相談者の方は、最初に地元の不動産会社に相談しましたが、「名義を整理しないと売れない」と言われ、司法書士に相談すると、「相続人全員の協力が必要」と言われ、そこで手が止まっていました。
まとめ役が最初にやること
まず、全体の地図を描くことから始めます。
名寄帳、登記簿、固定資産税の課税明細書、公図をそろえて、どこにどんな土地があって、誰の名義になっているのかを一覧にします。
名寄帳にしか載っていない「どこにあるか分からない土地」も、公図と照らし合わせて場所を特定します。
次に、現地を見に行きます。
実家の建物の状態、増築部分や納屋の状態、田んぼや山林の状態、道路との接し方、隣との境界の目印があるかどうか。
書類だけでは分からないことが、現地にはたくさんあります。
そのうえで、それぞれの土地について、売れる見込みがあるのか、誰かに使ってもらえそうか、手放すのが難しい土地なのかを整理します。
優先順位をつける
すべての土地を一度に片づけようとすると、時間も費用もかかりすぎます。
この例では、まず実家の土地と建物を最優先にしました。
建物が傷んでいて、冬を越すたびに状態が悪くなること、近所に迷惑がかかる心配があること、売れる見込みが一番高いことが理由です。
田んぼは、農地法の手続きが必要になるので、地元の農業委員会に相談しながら、近くで耕作している農家さんに引き受けてもらえないかを探すことにしました。
山林と、場所が分かった小さな土地は、売れる見込みがかなり低いので、相続土地国庫帰属制度が使えるかどうかを検討することにしました。
専門家につなぐ
相続人の調査と、相続人全員の連絡先の確認は、司法書士にお願いしました。
十数人の相続人の中には、一度も会ったことのない遠い親戚もいます。
相続人への最初の連絡は、相談者の方から手紙を出してもらい、状況の説明と、今後の進め方の案を添えました。
説明の資料は、私たちのほうで作りました。
土地の一覧と現地の写真、それぞれの土地の見込み、売った場合に手元に残る金額の目安などです。
「何のために協力をお願いしたいのか」が分かると、相続人の方々の反応はずいぶん違ってきます。
税金については、相続から3年以内に売れば空き家の3,000万円控除が使える可能性があったので、その条件に当てはまるかを税理士に確認してもらいました。
未登記の増築部分は、土地家屋調査士に表題登記をお願いし、境界が不明な部分の測量もあわせて依頼しました。
相続人の一人が、遺産の分け方に強い不満を持っていることが分かったので、この部分については早めに弁護士に相談してもらいました。
結果
すべてが片づくまでには時間がかかりましたが、最初の相談からおよそ1年半で、実家の土地と建物は名義を整理して売却し、田んぼは近くの農家さんに引き受けてもらうことができました。
山林については、国庫帰属制度の申請に向けて準備を進めています。
相談者の方は、「最初の半年、どこに行っても前に進まなかったのが嘘のよう」とおっしゃっていました。
私たちがやったことは、一つひとつの手続きそのものではなく、全体の順番を決めて、専門家をつなぎ、相談者の方が迷わずに済むように道筋をつけたことです。
ケース2:人に貸している実家、賃借人がいる物件
もう一つ、難しいケースとして多いのが、人に貸している物件を相続した場合です。
相談の内容
60代の方が、亡くなったお母さんから、新潟市内の古い一戸建てを相続しました。
その家は、お母さんが生前、知り合いのご家族に貸していたもので、今も借りている方が住んでいます。
家賃は、相場よりかなり安い金額のまま、何十年も変わっていませんでした。
賃貸借の契約書は見つからず、口約束で貸していたようでした。建物は古く、雨漏りもしていて、修理の相談が借りている方から来ていました。
相談者の方は、この家を売って、相続人である兄弟で分けたいと考えていました。
でも、借りている方に出ていってもらえるのか、出ていってもらえないなら売れるのか、修理はしなければいけないのか、何も分からない状態でした。
押さえておくべき法律の前提
人に貸している家は、借地借家法という法律で、借りている人が強く守られています。
持ち主が代わっても、借りている人は今の契約のまま住み続けることができます。
相続で持ち主になった方は、お母さんの貸主としての立場をそのまま引き継ぎます。修理の義務も、基本的には貸主の側にあります。
持ち主の側から契約を終わらせたり、更新を断ったりするには、「正当な事由」が必要とされていて、単に「売りたいから」という理由だけでは認められにくいです。
建物の老朽化の程度や、立ち退き料の提供など、いろいろな事情を総合して判断されます。
ここは、持ち主の方が思っている以上に、借りている方の立場が強いところです。
まとめ役が整理すること
まず、現状を正確に把握します。
建物の状態を建築士の目で調べます。
雨漏りの範囲、構造の傷み、このまま住み続けて安全かどうか。
これは、修理にいくらかかるのか、建て替えや解体が必要な状態なのかを判断する材料になります。
契約の内容を、分かる範囲で整理します。
契約書がなくても、いつから、いくらで、どんな条件で貸していたのか、家賃の振り込みの記録やお母さんのメモなどから確認します。
そのうえで、選べる道を並べます。
借りている人がいる状態のまま売る
借りている人ごと、つまり貸主の立場ごと買ってもらう方法です。
いわゆるオーナーチェンジです。
家賃収入を目当てにする買い手がつけば売れますが、家賃が相場より低く、建物が古いと、売れる値段はかなり低くなります。
借りている人に、この家を買ってもらう
借りている方が長く住んでいて、この家に愛着がある場合、本人に買い取ってもらえないかを相談する方法もあります。
意外とまとまるケースがあります。
話し合いで、退去してもらう
借りている方の事情を聞いて、引っ越し先の確保や、引っ越しの費用、立ち退き料などを含めた条件を話し合う方法です。
修理をして、貸し続ける
売るのをいったんやめて、必要な修理をして、適正な家賃で貸し続ける方法です。
専門家につなぐ
このケースでは、借りている方と話をする前に、まず弁護士に状況を相談してもらいました。
退去をお願いする場合の進め方や、立ち退き料の考え方、話し合いがこじれたときの対応について、最初に法律の専門家の見立てを聞いておくことが大事だからです。
実際の話し合いは、相談者の方と借りている方の間で、穏やかに進めることができました。

借りている方も、建物の傷みが進んでいることは気にされていて、高齢になってきたこともあり、子どもさんの近くへの引っ越しを考えていたそうです。
私たちは、引っ越し先の候補となる賃貸住宅の情報を集めたり、建物の状態についての資料を用意したりして、話し合いの材料をそろえました。
退去の条件や合意書については、弁護士に確認してもらいました。
退去のあと、建物の状態から解体して更地で売るほうが手元に残る金額が多いと判断し、解体と売却を進めました。
相続から3年以内だったので、税理士に確認したうえで、空き家の3,000万円控除も使うことができました。
借りている人がいる物件は、進め方を間違えると、長い紛争になってしまうことがあります。法律の専門家の助言を受けながら、関わる人それぞれの事情に目を配って、順番を間違えずに進めることが、何より大事です。
ほかにも、まとめ役が必要になりやすいケース
ここで紹介した二つのほかにも、一つの専門家だけでは前に進みにくいケースはたくさんあります。
共有名義になっている土地や建物
兄弟や親戚で共有している不動産は、売るにも大きく手を入れるにも、原則として共有者全員の同意が必要です。
共有者の中に連絡がつかない人がいると、そこで止まってしまいます。
最近は、所在の分からない共有者がいる場合の制度も整ってきていますが、どの方法が使えるかは状況によって違います。
私道を通らないと出入りできない土地
家の前の道が個人の持ち物(私道)で、その所有者の承諾がないと、水道管やガス管の工事や、建て替えができないことがあります。
私道の持ち主が誰なのか、どんな取り決めがあるのかを調べるところから始める必要があります。
店舗や作業場がついた住宅
自宅と店舗、自宅と工場が一体になっている建物は、住宅向けの特例が使えなかったり、用途によって建て替えの制限がかかったりします。
建物の用途と税金、法律の制限を一緒に見る必要があります。
親が認知症になっている場合
持ち主である親が認知症で判断が難しくなっていると、売ることも、工事の契約を結ぶこともできません。
成年後見の制度を使うのか、ほかに方法があるのかを、家族の事情とあわせて考える必要があります。
どれも、法律、税金、建物、不動産の実務が絡み合っていて、全体を見ながら進めないと、どこかで止まってしまうケースです。
まとめ役に頼むと、何が変わるのか
ここまでの例を通して、まとめ役に頼むことで変わることを整理しておきます。
時間が短くなる
専門家の間を行ったり来たりする時間がなくなります。
必要な手続きを、必要な順番で、同時に進められるものは同時に進めます。
空き家は時間とともに傷み、税金の特例には期限があるので、時間の差はそのままお金の差になります。
費用のむだが減る
順番を間違えると、余計な費用がかかります。
たとえば、売れる見込みが立たないうちに解体して、固定資産税だけが上がってしまう。
測量が必要ないのに測量をしてしまう。
最初に全体を見て、必要なことだけを、必要な順番でやることで、むだな出費を防げます。
判断に迷わなくなる
専門家それぞれの意見を聞くだけでは、最終的にどうすればいいのか分からなくなることがあります。
まとめ役は、それぞれの意見を一つの絵にまとめて、選べる道とそれぞれの結果を分かりやすく示します。
最後に決めるのは相談者の方ですが、判断のための材料がそろっていれば、迷う時間はずっと短くなります。
家族の話し合いが進みやすくなる
相続人どうしの話し合いがまとまらない理由の多くは、情報が足りないことです。
家と土地の状態、売ったらいくら残るのか、残すならいくらかかるのか。
こうした情報を、全員が同じ形で見られるようにするだけで、話し合いはかなり進みやすくなります。
窓口が一つになる
相談する方にとっては、何かあったらまずここに連絡すればいい、という窓口が一つあるだけで、気持ちの負担がずいぶん軽くなります。
特に、遠くに住んでいて、新潟の実家に何度も足を運べない方には、大きな違いになると思います。
どんな人に頼めばいいのか
では、まとめ役をどうやって選べばいいのか。
私が考える目安を書いておきます。
空き家の相談を、実際にたくさん受けているか
知識があることと、実際に問題を解決してきた経験があることは別のものです。
どんなケースを、どう解決してきたのかを聞いてみてください。
現地に足を運んで、建物を自分の目で見るか
書類だけで判断する人より、実際に現地で建物や土地を見る人のほうが、正確な判断ができます。
空き家は、建物の状態で取れる選択肢が大きく変わります。
信頼できる専門家とつながっているか
税理士、司法書士、土地家屋調査士、弁護士など、必要なときに相談できる専門家がいるかどうか。
その専門家と、普段から一緒に仕事をしているかどうか。
できないことを、はっきり言うか
先に書いたとおり、法律で決められた専門家の仕事の線引きを分かっていて、自分の範囲を超えることは正直にそう言う人かどうか。
ここはとても大事です。
特定の結論に誘導しないか
売ることだけをすすめてくる、解体だけをすすめてくる、自分のところで買い取ることだけを提案してくる。
そういう相手は、相談する方にとっての一番いい答えより、自分の仕事を優先しているかもしれません。
売る、残す、貸す、壊す、手放す、それぞれの選択肢を公平に並べてくれる人を選んでください。
清新ハウスが、空き家の相談でしていること
清新ハウスは、新潟市を中心に、住宅の新築やリフォーム、不動産の売買や賃貸の仲介を行っている会社です。
私自身は建築士・宅建士・全国空き家アドバイザー協議会の代表理事として、空き家の相談に多く関わってきました。
全国空き家アドバイザー協議会は、新潟市から空き家の管理や活用を支援する法人の指定も受けています。
空き家の相談では、建築と不動産の両方が分かる立場から、全体の地図を描くところから始めています。
- 名義、相続人、土地の一覧などの現状の整理
- 建築士として建物の状態を調べ、直せるのか、壊すべきかを判断
- 売る、残す、貸す、壊す、手放す、それぞれの選択肢と、手元に残る金額や費用の目安の整理
- 相続人の方々への説明資料づくりのお手伝い
- 税理士、司法書士、土地家屋調査士、弁護士など、必要な専門家へのおつなぎ
- 不動産の売却や賃貸の仲介
- 解体、リフォーム、管理などの実務
税金の判断は税理士に、登記は司法書士や土地家屋調査士に、争いのある交渉は弁護士にお願いします。
そのうえで、私たちは全体の段取りと、建物と不動産の実務を責任を持って担当します。
「どこに相談すればいいのか分からない」「いろいろなところに相談したけれど、話が前に進まない」という方は、一度ご相談ください。
手元にある書類を持ってきていただければ、まずは今の状況を一緒に整理するところから始めます。
相談したからといって、必ず何かを依頼しなければいけないわけではありません。
全体の地図が見えるだけでも、次に何をすればいいのかが、ずっとはっきりすると思います。
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