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犬将軍日記

2026/10/26

役所のカウンターに貼られた「カスハラ」の掲示を見て思うこと。住宅の仕事で、私たちが経験してきたこと

役所のカウンターに貼られた「カスハラ」の掲示を見て思うこと。住宅の仕事で、私たちが経験してきたこと

仕事柄、役所に行くことがとても多いです。

建築確認や開発の相談で建築指導の窓口へ。

空き家の件で市の担当課へ。

登記の確認で法務局へ。

固定資産の評価の件で税務の窓口へ。

多い週は、毎日どこかの役所のカウンターの前に立っています。

最近、そのカウンターの様子が変わってきたことに気づきました。

ほとんどの窓口に、「カスタマーハラスメントには毅然と対応します」

「暴言・威圧的な言動があった場合は、対応をお断りすることがあります」

「職員の安全を守るため、通話を録音しています」

といった掲示が貼られるようになったんです。

職員の名札が、フルネームから名字だけに変わったところもあります。

10月1日から、カスハラ対策がすべての事業者の義務になったこともあって、民間の会社やお店でも同じような掲示を見かけるようになりました。

最初にこの掲示を見たとき、正直に言うと、少し複雑な気持ちになりました。

職員の方を守るために必要なのはよく分かります。

でも、役所の窓口に、こういう掲示を出さなければならないほど、理不尽な言動をする人がいる、ということでもあるからです。

今日は、この掲示を見て考えたことを、住宅の仕事をしている立場から書いてみたいと思います。

掲示が必要になった、ということ

役所の窓口は、本来、誰もが困りごとを相談しに行く場所です。

税金のこと、福祉のこと、住まいのこと、家族のこと。

窓口に来る人の多くは、何かに困って、助けを求めて来ています。

思うようにいかないことがあれば、不満が出るのは当然です。

説明が分かりにくかった、待たされた、たらい回しにされた。

そういう不満を口にすること自体は、まったくおかしなことではありません。

でも、掲示が想定しているのは、そういう普通の不満ではないと思います。

窓口の職員を大声で怒鳴りつける。

何時間もカウンターに居座る。

「おまえの名前を出せ」「ネットに書いてやる」と脅す。

自分の言い分が通るまで、何度も電話をかけてくる。

役所の職員の方と話していると、そういう対応に追われて、本来の仕事が進まない、心身ともに疲れてしまう、という話を聞くことがあります。

若い職員の方が、それが原因で辞めてしまった、という話も耳にしました。

役所のカウンターにまで掲示を貼らなければならない、というのは、それだけ多くの人が、言葉や態度で傷つけられてきた、ということなのだと思います。

役所のカウンターに貼られた「カスハラ」の掲示を見て思うこと。住宅の仕事で、私たちが経験してきたこと

「言いがかり」と「正当な意見」の違い

カスハラの話をすると、「お客の側が何も言えなくなるのではないか」という心配の声も聞きます。

でも、困っていることを伝える、改善を求める、納得できないことの説明を求める、というのは、正当な意見です。

私たち住宅会社にとっても、お客様からの指摘は、仕事をよくするための大事な声です。

問題になるのは、そういう正当な意見とは違う、次のような言動だと思っています。

自分の利益のための言いがかり

もともと問題がないことに、問題があるかのように言いがかりをつけて、値引きや無償のサービスを引き出そうとする。

小さな傷や、仕様の範囲内の差を大げさに取り上げて、「こんな欠陥住宅にお金は払えない」と支払いを止める。

契約にない工事を「これくらいやって当然だろう」と押し付ける。

要求の中身そのものが、もともと筋の通らないものだという場合です。

難癖

話の本筋とは関係のないところを見つけて、相手を責め続けることです。

説明の言葉づかいの一つをとらえて「その言い方は何だ」と責める。

話の途中で、前に担当していた人の対応を持ち出して、「おまえの会社はいつもそうだ」と全体を否定する。

何を直せば納得してもらえるのかが見えないまま、責められる時間だけが続きます。

感情のぶつけ所

これが一番難しいところだと感じています。

窓口や担当者が、本来の問題とは関係のない、その人の怒りや苛立ちのぶつけ所になってしまう、という状況です。

仕事や家庭でうまくいかないことがある。

体調がすぐれない。

ほかのところで嫌な思いをしてきた。

そういう気持ちを抱えた人が、反論してこない相手、立場上強く出られない相手を見つけて、そこに感情をぶつけてしまう。

役所の窓口の職員や、お店の店員さん、私たちのような工事の担当者は、「お客様」の前では立場が弱い存在です。

感情のぶつけ所になりやすいのだと思います。

言われる側は、自分に原因があるのかと悩みます。

でも実際には、その人の怒りの原因は別のところにあって、こちらが何をしても収まらない、ということがよくあります。

ぶつけた側は、言ってすっきりして忘れてしまうかもしれません。

でも、ぶつけられた側は、その言葉をずっと引きずります。

夜眠れなくなったり、次の日に出勤するのがつらくなったりします。

役所のカウンターに貼られた「カスハラ」の掲示を見て思うこと。住宅の仕事で、私たちが経験してきたこと

住宅の仕事で起きやすいこと

役所の窓口の話をしてきましたが、住宅の仕事も、カスハラが起きやすい仕事の一つだと感じています。

家づくりやリフォームは、金額が大きく、期間も長く、お客様の暮らしに直接関わる仕事です。

一生に一度の買い物という方も多く、期待も不安も大きくなります。

その期待が大きいぶん、思っていたのと違ったときの落胆も大きくなります。

それに、住宅は人の手でつくるものです。

工業製品のように、まったく同じものができるわけではありません。

木材の色や木目の違い、手仕事による微妙な仕上がりの差は、どうしても出てきます。

そうした差を、許容できる範囲の個性と見るか、欠陥と見るか。そこで、お客様と私たちの認識がずれることがあります。

さらに、工事の現場には、職人さんが毎日出入りします。

お客様が住みながらリフォームをする場合は、職人さんが直接お客様と顔を合わせる機会も多くなります。

現場の職人さんは、会社の担当者以上に、強い言葉を直接ぶつけられやすい立場にいます。

業界全体で見ると、こうしたことが重なって、営業担当や現場監督、職人さんが心身をすり減らして辞めていく、という話は珍しくありません。

人手不足が深刻な建設業界にとって、これは本当に大きな問題です。

清新ハウスでも、過去にありました

ほとんどのお客様とは、気持ちよくお付き合いさせていただいています。

ただ、正直にお話しすると、清新ハウスでも過去に、対応にとても苦労したことが何度かありました。

お客様が特定されないように、内容を少しぼかしてお話しします。

引き渡しのあとに続いた、追加の要求

リフォームの工事が終わって、お引き渡しをしたあとのことです。

お客様から、壁紙の継ぎ目が少し見える、という連絡がありました。

確認に伺うと、たしかに光の当たり方によって継ぎ目が分かる箇所があったので、すぐに手直しをしました。

ところが、そのあとも、「ここの床が鳴る」「建具の閉まりが悪い」「照明の位置が気に入らない」と、次々に連絡が来るようになりました。

直すべきところは直し、仕様どおりのところはその説明をしました。

照明の位置は、打ち合わせのときにお客様と一緒に決めた位置でしたが、それでも移設してほしいという話になり、最終的には「これだけ不具合のある工事なのだから、残りの代金は払えない」と言われてしまいました。

打ち合わせの記録や写真、図面を一つずつ確認しながら、何度もお話をして、なんとか解決することができました。

でも、その間、担当者はほかの仕事がほとんど手につかない状態でした。

夜遅くまで続いた電話

工事中のお客様から、夜の10時、11時に、担当者の携帯電話に何度も電話がかかってきたことがありました。

内容は、その日の工事の進み具合についての質問や、職人さんの態度についての不満でした。

担当者は、お客様の不安を受け止めようと、毎回電話に出て話を聞いていましたが、一時間以上話が続くことも珍しくなく、だんだん疲れ切ってしまいました。

このときは、私が間に入って、お客様と直接お話をしました。

工事の進み具合は毎日夕方に写真付きでお知らせすること、急ぎの連絡は会社の番号にしてもらうこと、夜間の電話は翌朝に折り返すことを約束して、それからは落ち着いてやりとりができるようになりました。

振り返ると、お客様の不安に、こちらが最初からきちんと応えられていなかったことも原因の一つだったと思います。

工事の様子が見えないことが、お客様の不安を大きくしていたのだと思います。

現場の職人さんへの言葉

住みながらのリフォームの現場で、お客様から職人さんに、かなり強い言葉が向けられたことがありました。

職人さんは、その場では何も言わずに作業を続けていましたが、あとで現場監督に「もうあの現場には行きたくない」と打ち明けてくれました。

職人さんの多くは、私たちの会社の社員ではなく、協力してくれている業者さんや一人親方の方です。

でも、私たちにとっては、一緒に家をつくる大切な仲間です。

このときは、お客様とお話をして、現場での職人さんとのやりとりは監督を通してもらうようにお願いしました。

役所のカウンターに貼られた「カスハラ」の掲示を見て思うこと。住宅の仕事で、私たちが経験してきたこと

それでも、お客様の声は大事にしたい

ここまで書いてきて、誤解のないように、はっきりお伝えしておきたいことがあります。

清新ハウスは、お客様の声を聞かなくなる、ということはありません。

工事に不具合があれば、直すのは私たちの責任です。

説明が足りなかったなら、私たちの落ち度です。

不安なことがあれば、何度でも聞いてください。

不満があれば、遠慮なく言ってください。

むしろ、言ってもらえないまま不満がたまっていくほうが、お互いにとってつらいことです。

上に書いた事例も、振り返ってみると、最初の段階で私たちの説明や連絡が足りていなかったことが、問題を大きくした面があったと思っています。

お客様の不安や不満には、必ず理由があります。

それを最初にきちんと受け止められていれば、ここまでこじれなかったかもしれません。

だから私たちは、カスハラから働く人を守ることと、お客様の声にきちんと応えることは、両方とも大事にしたいと考えています。

具体的には、次のようなことを心がけています。

  • 契約の前に、仕様や工事の範囲、仕上がりの考え方をできるだけ具体的にお伝えする
  • 打ち合わせの内容は、書面やメッセージで記録に残す
  • 工事中は、進み具合をこまめにお知らせする
  • 連絡の時間や方法を、最初にお客様とすり合わせておく
  • ご不満があったときは、担当者一人に抱え込ませず、会社として受け止める
  • 話がこじれてしまったときは、私が直接お話をうかがう

役所のカウンターに貼られた「カスハラ」の掲示を見て思うこと。住宅の仕事で、私たちが経験してきたこと

役所の掲示が、なくなる日が来てほしい

役所のカウンターに貼られた掲示は、職員の方を守るために必要なものだと思います。

でも、本当は、こういう掲示がいらない社会のほうがいいはずです。

窓口の職員も、お店の店員さんも、工事の担当者も、職人さんも、みんな誰かの家族です。

その人が、仕事の場で理不尽な言葉をぶつけられて、心をすり減らして帰っていく。

それが当たり前になってしまうのは、悲しいことです。

困っていることは、困っていると伝える。

直してほしいことは、具体的に伝える。

納得できないことは、説明を求める。

それは、言葉を選べば、相手を傷つけずにできることです。

逆に、自分が働く側に立ったときには、相手の不安や不満にまず耳を傾ける。

そこから、お互いに気持ちよく話ができる関係が生まれるのだと思います。

役所に行くたびにあの掲示を見ながら、私たちも、お客様にとっても、働く人にとっても、気持ちよく関われる会社でありたいと、あらためて思っています。

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気になることは何でも言ってください。

正直にお答えしますし、できないことはできないとお伝えします。

そのうえで、お客様にとって一番いい方法を一緒に考えます。


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