
「五泉の実家、不動産屋さんに出して1年たつんですけど、問い合わせが1件もないんです」
先日いただいたご相談です。
お父さんが亡くなって、実家は空き家になった。
ご本人は新潟市内に家があって、五泉に戻るつもりはない。
売りに出したけど、反応がない。
値段を下げようかと思っているけど、どこまで下げればいいのか分からない。
五泉市、それから隣の村松地区の空き家で、こういうお話は本当によく聞きます。
正直に言うと、田舎の空き家は、売りに出せばそのうち売れる、というものではありません。
売れない理由がちゃんとあって、そこを見ないまま値段だけ下げても、なかなか動かないことが多いです。
それに、出口は「売る」だけではありません。
貸す、使う、壊して土地にする、手放す。
いろいろあります。
今日は、五泉市の空き家がなぜ売れにくいのか、それから売る以外にどんな出口があるのかを、私が実際にご相談を受けている中で感じていることも含めて書いてみます。
五泉市の空き家、どれくらいあるのか
五泉市の人口は、2025年1月の住民基本台帳で4万5千人ちょっとです。
2020年の国勢調査では4万7千人台だったので、ゆっくりですが減り続けています。
市の空家等対策計画を見ると、平成30年の住宅・土地統計調査で、五泉市の空き家は約2,000戸、空き家率は10.9%でした。
全国や新潟県の平均よりは低い数字です。
ただ、気になるのは中身です。
市が令和元年度に行った調査では、外から見て傷みがかなり進んでいる空き家も一定数あって、近所からの苦情の件数も年々増えていました。
空き家バンクもありますが、計画に載っている時点では、登録された物件が延べ5件、成約が1件という実績でした。
今はもう少し増えているかもしれませんが、空き家の数に比べると、市場に出てきている物件はほんの一部です。

空き家はあるのに、売りに出ている物件は少なくて、出ていても動きにくい。
これが五泉市の空き家の今の状況だと思っています。
田舎の空き家が売れない理由
1. 買う人の数がそもそも少ない
一番大きいのは、これです。
人口が減っている地域では、家を買いたい人の数自体が少なくなります。
五泉市で家を探している人がいたとしても、その多くは、新しい家を建てたい人か、駅や国道に近い便利なところを探している人です。
郊外の、車がないと買い物にも行けない場所の、築40年、50年の家となると、探している人がぐっと限られてしまいます。
2. 建物が大きすぎる、古すぎる
五泉や村松の古い家は、敷地も建物も大きいことが多いです。
昔ながらの農家住宅だと、母屋のほかに納屋や作業小屋、蔵まであったりします。
今、家を探している若い世帯は、そんなに大きな家を求めていません。
部屋が多ければ掃除も大変ですし、冬の暖房費もかかります。
屋根が大きければ、雪下ろしや屋根の修繕の負担も大きくなります。
大きくて古い家は、買う側から見ると、「直すのにいくらかかるか分からない」「住んでからの維持が大変そう」という不安が先に立ってしまいます。
3. 家財がそのまま残っている
亡くなったご両親の家財が、そのまま残っている空き家も多いです。
買う側が内覧に来たときに、家具や布団、食器、仏壇がそのままだと、どうしても「片付けが大変そう」「ここで暮らすイメージがわかない」と感じてしまいます。
家財の処分に何十万円、物によっては百万円以上かかることもあって、それを誰がやるのか、という話にもなります。
4. 書類や権利関係が整っていない
相続の登記がまだ済んでいない。増築した部分や納屋が登記されていない。
土地の境界がはっきりしていない。
こういう空き家は、売ろうとしても手続きに時間がかかります。
相続登記は2024年4月から義務になっています。
名義が亡くなったお父さんのままでは、そもそも売ることができません。
5. 値段の付け方が合っていない
「親が建てたときは何千万円もかけた家だから」という気持ちは、よく分かります。
でも、買う側は今の状態と、これからかかる費用で判断します。
逆に、とりあえず不動産会社の査定のままで出しているけど、その会社が五泉の古い家の取引にあまり慣れていなくて、写真や説明が魅力の伝わらないものになっている、ということもあります。
売る前に、少しだけ手を入れると変わること
売る以外の出口の話をする前に、売れる可能性を少しでも上げる方法も書いておきます。
まず、家財の片付けです。全部じゃなくても、家具と生活用品を出して、部屋が空っぽに見えるだけで、内覧の印象はかなり変わります。
写真もきれいに撮れるようになります。
次に、建物の状態を見てもらっておくこと。
雨漏りやシロアリ、基礎のひびがないかを専門家が見て、その結果を買う人に見せられると、「直すのにいくらかかるか分からない」という不安が小さくなります。

それから、買う人が使える補助金を知っておくこと。
五泉市には「ウェルカムファミリー住まいる事業」という住宅取得の補助があって、市外から移ってきた新婚世帯や子育て世帯が中古住宅を買う場合も対象になっています。
建物の取得費の10%(上限100万円)に、中古住宅の加算が付く仕組みです。
条件があって、原則として売買契約の前に市へ書類を出す必要があるので、売る側から「こういう補助が使えるかもしれません」と伝えられると、検討してもらいやすくなります。
市の空家バンクに登録して、移住を考えている人の目に入るようにしておくのも、やっておいて損はありません。
売れないまま持ち続けると、どうなるか
「売れないなら、しばらくそのままにしておこう」という方もいます。
ただ、空き家は持っているだけでお金と手間がかかります。
固定資産税は毎年かかります。
電気や水道を止めていなければ基本料金もかかります。
冬は雪の心配があります。
五泉は新潟市内より雪が多い地域もあって、屋根の雪を放っておくと、軒先や雨どいが壊れたり、隣の家に雪が落ちたりします。
管理が行き届かずに傷みが進むと、市から「管理不全空家」や「特定空家」として指導を受けることがあります。
勧告まで進むと、土地の固定資産税の軽減が受けられなくなって、税金が上がります。
それから、時間がたつほど建物は傷んでいくので、売れる可能性はどんどん下がっていきます。
「今は売れないから」と置いておくほど、出口が狭くなっていくというのが、空き家の厳しいところです。
売る以外の出口
ここからが今日の本題です。
売れない空き家でも、出口はいくつかあります。
貸す
家を売るのではなく、貸すという方法です。
五泉市でも、家を買うまではいかないけど、広い家に住みたい、庭のある家で暮らしたい、という人はいます。
新潟市内に通勤できる距離なので、家賃が安ければ借りたいという人もいます。
ただ、貸すとなると、最低限、水まわりが使える状態にして、雨漏りなどがないようにしておく必要があります。
改修にどれくらいお金をかけて、家賃をいくらにすれば何年で元がとれるのか、を先に計算しておくことが大事です。
一度貸すと、借地借家法で借りている人の権利が強く守られるので、あとで売りたくなったときに、すぐには出てもらえないこともあります。
期間を決めて貸す「定期借家」という方法もあるので、契約の形も含めて考えておいてください。
民泊や宿泊施設として使う
五泉には、チューリップや村松公園の桜、咲花温泉、菅名岳などの山があって、季節によっては人が集まります。
古い家の雰囲気を生かして、民泊や一棟貸しの宿にするという方法もあります。
ただ、これは収支の見通しがとても大事で、どんな家でも向いているわけではありません。
この話は長くなるので、別の記事で詳しく書いています。
地域の活動やお店に使ってもらう
地域の集まりの場所、小さなお店、工房、事務所など、住まい以外で使ってもらう方法もあります。
五泉はニットの産地なので、ものづくりをしている人が作業場として探していることもあります。
家賃は高くとれないことが多いですが、使ってもらうことで建物の傷みが進みにくくなる、という利点もあります。
解体して、土地として売る
建物が古すぎて、直すより壊したほうがいい場合は、解体して土地として売る方法があります。
更地のほうが、新しく家を建てたい人には検討してもらいやすくなります。
ただ、解体には費用がかかります。
大きな古い家や、納屋や蔵があるとさらに高くなります。
それに、建物を壊すと、土地の固定資産税の軽減がなくなって、税金が上がります。
解体してから売れるまでに時間がかかると、その間の税金の負担が増えるので、解体のタイミングは慎重に考えてください。

相続した空き家を売る場合、一定の条件を満たせば、売った利益から最高3,000万円を差し引ける特例もあります。
解体してから売る場合にも使えることがあるので、税理士に確認しておくといいです。
隣の人や、地域の人に買ってもらう
意外と多いのが、隣の家や、近所の人が買ってくれるケースです。
「駐車場が足りないから」「子どもの家を建てたいから」「畑を広げたいから」。
広く売りに出してもなかなか買い手がつかない物件でも、隣の人にとっては価値があることがあります。
不動産会社に出す前に、まずは隣近所の方に声をかけてみる、というのも一つの方法です。
引き取ってもらう、国に返す
どうしても使い道がなく、買い手もつかない場合は、お金を払って引き取ってもらう、という選択肢もあります。
ただ、業者に引き取ってもらう場合は、引き取り料が高額になることがあるのと、引き取ったあとの扱いがきちんとしているかの確認が必要です。
相続した土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」もあります。
ただ、建物がある土地は対象にならないので、解体してからの申請になりますし、審査の手数料や負担金もかかります。
まず最初にやってほしいこと
出口をどれにするかを決める前に、まず次のことをやってください。

- 相続登記が済んでいるか確認する(済んでいなければ、司法書士に相談)
- 建物の状態を一度見てもらう(直せば使えるのか、壊したほうがいいのか)
- 家財をどうするか決める(形見だけ先に分けて、残りは処分の見積もりをとる)
- 家族や相続人の間で、どうしたいかを話しておく
- 冬の雪と、日ごろの管理をどうするか決めておく
一番よくないのは、何も決めないまま何年もたってしまうことです。
家族の中で「いつか考えよう」と言っているうちに、建物は傷んで、相続人が増えて、話がまとまらなくなっていきます。
清新ハウスでお手伝いできること
清新ハウスは、新潟市を中心に、五泉市や周辺の地域でも空き家のご相談を受けています。
不動産の売買、リフォーム、解体、空き家の管理を、まとめてご相談いただけます。
私は全国空き家アドバイザー協議会の新潟支部で事務局長をしていて、空き家の相談会にもかかわっています。
売るか、貸すか、使うか、壊すか。どれか一つを最初から勧めるのではなく、その家と、ご家族の事情に合った出口を一緒に考えるようにしています。
- 五泉市・村松地区の空き家の査定と、売れにくい理由の整理
- 建物の状態の確認と、直す場合・壊す場合の費用の目安
- 貸す、民泊にする場合の改修と収支の試算
- 解体と、土地としての売却のご相談
- 家財の片付けや、冬の空き家管理のご相談
- 相続登記や税金が絡む場合の、司法書士・税理士へのおつなぎ
「売りに出したけど反応がない」「まだ売るかどうかも決めていない」という段階で大丈夫です。
今の状態を見て、どんな出口がありそうかをお話しします。
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