
9月23日、秋分の日・お彼岸です。
お墓参りに行って、家族と久しぶりに顔を合わせる時期です。
法要の後の食事の席で「そういえば実家のこと…」という話になりやすいのも、この時期です。
今年は特に、「実家の話を少し進めておいてほしい」タイミングです。
理由は2つあります。
ひとつは相続登記の期限が近づいていること。
もうひとつは今年(2026年4月)、区分所有法が大きく改正されたこと。
「区分所有法って何?」という方も多いと思いますが、「親がマンションを持っている」「実家がマンションだ」という場合は、今日の話は特に関係があります。
相続登記の義務化。2027年3月31日が見えてきた
まず相続登記の話から。
2024年4月から相続登記が義務化されています。
2024年以前に発生した相続分については、2027年3月31日が期限です。
2026年9月の今、残り18ヶ月を切っています。
「まだ時間がある」と感じるかもしれませんが、実際に動き出してから完了まで思ったより時間がかかります。
相続登記に必要な書類を揃えるのに時間がかかる
被相続人(亡くなった方)の「出生から死亡までの全戸籍」を集める必要があります。
転籍回数が多い方・昭和初期生まれの方の戸籍は、複数の市区町村に請求する必要があり、数週間〜数ヶ月かかることがあります。
相続人全員の合意に時間がかかる
兄弟が離れて住んでいる・連絡が取りにくい・話し合いが進まないというケースで、遺産分割協議書の作成が遅れます。
2027年初頭は司法書士の予約が取れない可能性
2027年3月31日の期限が近づくと、駆け込み依頼が集中します。
年明けには「しばらく予約が取れない」という状況が起きやすい。
今から動くことで、この問題を回避できます。
「お彼岸のこの機会に、少しだけ動き出す」
今日がその最初の一歩にしてほしいです。

区分所有法が大きく変わりました。親のマンションを相続する方は特に注意
ここから少し難しい話になりますが、大事な内容です。
2026年4月1日、分譲マンションの管理や再生のあり方を根本から変える「改正区分所有法」が施行されました。
1962年の制定以来、約20年ぶりの大規模改正です。
「実家が一戸建てだから関係ない」という方には関係が薄いですが、「親がマンションを持っている」「実家がマンションだ」「親の遺産にマンションが含まれている」という方には、この法改正が影響します。
なぜ改正が必要だったのか
築40年超のマンションは、2024年末時点で約148万戸。
国土交通省の試算では、10年後には約293万戸、20年後には約3.3倍の482万戸へと急増すると見込まれています。
老朽化したマンションが増え続ける一方、「連絡が取れない所有者」「相続が発生したのに名義が変わっていない所有者」が増えて、管理組合の意思決定ができないという問題が起きていました。
改正区分所有法の重要ポイント。「幽霊オーナー」問題への対処
改正区分所有法で特に重要な変更点を整理します。
① 所在不明の区分所有者を決議の対象から外せるようになった
所有者が長期間不在で所在不明となっている、いわゆる「幽霊オーナー」の問題に対応するため、新たな仕組みが導入されました。
裁判所の認定を受けることで、所在不明の区分所有者を決議の母数から除外できるようになりました。
これまで「連絡が取れない所有者」も母数(分母)に含まれていたため、重要な議案が通らないという問題がありました。
改正後は、適切な手続きを経れば所在不明の所有者を除外して決議できます。
相続が発生しているのに登記が変わっていない(名義が亡くなった方のままになっている)場合、連絡先が不明の「幽霊オーナー」扱いになる可能性があります。
自分が相続したマンションの名義変更をしていないと、管理組合の総会に出席できない・連絡が届かないという事態になりかねません。
② 建て替えの要件が緩和された
現在のルールだと、マンションの建て替えを行おうにも現行の要件では区分所有者の「5分の4」の賛成が必要で、建て替えが迅速に行えない状態でした。
2026年以降は一定の条件に該当する場合は多数決割合を「4分の3」へ引き下げるルールとなります。
これは「建て替えが通りやすくなった」ということです。
裏返せば「反対していても多数決で決まってしまう可能性が高まった」ということでもある。
マンションを相続した方は、「自分の意向が反映されにくくなる」リスクがあることを理解しておいてください。
③ 管理に無関心・連絡不通だと不利になる
「マンションを所有しているけど居住していない、管理組合の集会にも興味がなかった」といったスタンスだった方に影響が大きい改正です。
マンションの健全な管理や再生を後押しするポジティブな変化ですが、同時に所有者の無関心が、大切な資産の価値下落や経済的不利益に直結する可能性も示唆しています。
「相続したマンションが遠方にあって管理組合に関わっていない」という状況は、改正後の法律のもとでは「意思決定に参加できない所有者」として扱われる可能性があります。

「親のマンションを相続するかもしれない」方への実践的アドバイス
「いずれ親のマンションを相続することになる」という方に、今から考えておいてほしいことを整理します。
① 親のマンションの管理組合の状況を確認する
管理費・修繕積立金が適切に積み立てられているか?
大規模修繕の計画があるか?
管理組合が機能しているか?
「相続してみたら管理費が何年も滞納されていた」「大規模修繕が迫っているのに積立が足りない」という事態は珍しくありません。
相続前に状況を把握しておくことで、対処が楽になります。
② 相続した後の活用方法を今から考える
相続したマンションをどうするか?
「自分が住む」「賃貸に出す」「売却する」
これを「相続してから考える」ではなく「相続する前に考えておく」ことで、動き出しが早くなります。
「売るなら相続登記をすぐに完了させる」
「賃貸に出すなら管理会社を探す」
方針が決まっていると手順が明確になります。
③ 相続登記を確実に完了させる
マンションの区分所有権も不動産です。
相続が発生したら相続登記(名義変更)が必要です。
2027年3月31日の期限は、マンションの相続にも適用されます。
「管理組合への連絡先変更」「管理費の支払い口座の変更」なども、相続登記と並行して進めてください。
これをしないと「幽霊オーナー」状態になります。
一戸建ての実家を持つ方への確認事項
マンションではなく「実家が一戸建て」という場合の確認事項も整理します。
① 登記名義を確認する
今の時点で、実家の土地・建物が誰の名義になっているかを確認してください。
「法務局で登記事項証明書を取得する(600円程度)」または「親に聞く」だけでも大丈夫です。
「祖父の名義のまま」というケースが新潟では少なくありません。
その場合は祖父の代から遡って相続手続きが必要になります。
② 遺言の有無を確認する
「遺言はあるの?」という質問を親にしてみてください。
「ない」なら「作っておいた方がいい」という話のきっかけになります。
遺言があれば相続人全員の合意(遺産分割協議)が不要になるケースがあり、手続きがシンプルになります。
③ 実家をどうするかの方針を家族で話し合う
「誰かが住む・売る・賃貸に出す・解体する・民泊にする」
方針が決まると、相続登記後の動きが決まります。
方針が決まらない場合でも「空き家のままにするなら、管理を誰がやるか」だけは決めてほしいです。
「相続」と「区分所有法改正」が重なる問題。実際に起きていること
相続が発生してから時間が経っているほど、問題が複雑になるのは区分所有法(マンション)でも一戸建てでも同じです。
一戸建ての場合:名義が亡くなった方のまま→売却・活用ができない・相続人が増える
マンションの場合:名義が亡くなった方のまま→管理組合の「幽霊オーナー」になる→重要な決議に参加できない→建て替え・大規模修繕の費用負担だけ発生する可能性
管理費等の滞納がある、または連絡が取れない状態が1年以上継続する場合、所在不明区分所有者として認定される可能性があります。
「相続したが登記していない・管理組合に連絡していない」という状態を放置すると、改正区分所有法のもとでは「所在不明者」として扱われる手続きが進む可能性があります。
この場合、建て替え・大規模修繕の決議で自分の意向が反映されなくなります。

お彼岸の帰省でやってほしいこと
難しく考えなくていいです。
今日・今週中にできることを整理します。
「実家の登記、誰の名義になってる?」と親に聞く
一戸建てなら「土地と建物の登記名義」を確認。
マンションなら「管理費の口座・管理組合への連絡先」を確認する。
固定資産税の通知書の場所を確認する
毎年送られてくる通知書を見れば、どんな不動産があるかが一覧で分かります。
親が元気なうちに「どこにある?」を聞いておく。
「遺言、作ってる?」と聞く
この一言が最大の相続トラブル防止になります。
「ない」なら「作っておいた方がいい」という話に自然につながります。
「次の帰省で具体的に話し合おう」と約束する
今日決めなくていい。
「次回帰省時に少し具体的に話す」という約束だけしておく。
これだけで、動き出しが格段に変わります。

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