毎年この時期になると「カーポートが雪でへこんだ」「柱が曲がった」から冬になる前に直したいというご相談を頂きます。。
去年も近所で1台やられてました。
「耐雪100cm対応って書いてあったのに」っていう声が多いんですが、それ、積雪量の調べ方と製品の選び方を間違えてることがほとんどです。
カーポートの耐雪性能と、実際の積雪の話、これ結構ズレてて分かりにくいので、整理します。

「耐雪〇〇cm」って、どういう意味か
まずここから。
カーポートのカタログに書いてある「耐雪100cm」「耐雪150cm」は、積もった雪の厚さが100cmや150cmに達しても崩れないという意味ではなく、その積雪量に対応した荷重設計になっているという意味です。
荷重で言うと、積雪1cmあたり約20N/㎡(ニュートン毎平方メートル)で計算されることが多く、100cm対応なら2,000N/㎡ = 約200kgf/㎡の荷重を想定していることになります。
「それで何が問題なの?」と思うかもしれませんが、新潟の雪は水分を多く含んでいて、同じ深さでも本州の乾いた雪より重い。
さらに屋根の上に雪が溜まり続けると、屋根本体の重みも加わります。
理論値と実態がズレるのはそういう理由です。
新潟市内でも場所によって必要なスペックが変わる
「新潟市内なら全部同じじゃないの?」と思ってる方、ちょっと待ってください。
新潟県が設定している「垂直積雪量」は地域によって異なります。
新潟市内であっても、海岸に近い西側と、内陸側では積雪量が結構違います。
目安として
- 新潟市沿岸部(中央区・西区など):おおむね100cm前後
- 新潟市内陸部・秋葉区・南区など:150cmを超えるエリアもある
- 阿賀野市・五泉市・加茂市などの中越山間部:200cm以上の地域も
建築基準法上の垂直積雪量は、各市区町村の建築指導課が持っている「積雪区域図」で確認できます。
カーポートを買う前に、まずこれを確認してほしいです。
「とりあえず100cm対応にしておけばいいか」で済むエリアもあれば、150cm以上が必要なエリアもあります。
調べないまま安い製品を買うと、数年で後悔することになります。

100cm対応と150cm対応、費用の差はどのくらいか
同じメーカー・同じ車1台用のサイズで比べると、100cm対応と150cm対応の価格差はざっくり10〜20万円程度になることが多いです(製品・施工費込み)。
「高いな」と感じるかもしれませんが、100cm対応を買って雪でやられた場合、撤去・処分・新品交換で同じくらいかそれ以上かかります。
修理ができない状態になることも多い。
それに、柱が曲がったカーポートの下に駐車中の車があれば、当然そちらもダメージを受けます。
保険の話をすると、火災保険の自然災害特約(風災・雪災)で対応できるケースもありますが、「耐雪スペックが不十分な製品を選んだ」場合は保険対象外になる可能性があります。
配置で失敗すると、隣家とのトラブルになる
カーポートの性能を選んだ後に、もうひとつ気をつけてほしいのが「配置計画」です。
屋根からの落雪の問題
カーポートの屋根には勾配があります。
雪が溶けて滑り落ちる方向は、勾配の下側。この落雪が隣家の敷地・車・壁に当たると、トラブルになります。
新潟では「雪が落ちた先が隣の駐車スペースだった」というのはよくある話で、それで人間関係がギクシャクするケースも少なくない。
配置を決めるときは「雪が落ちる方向に何があるか」を必ず確認してください。
設計段階で屋根の向きをちょっと変えるだけで、落雪方向を自分の敷地内に向けることができます。
敷地境界線からの距離
カーポートは「建築物」として扱われるため、一般的に敷地境界線から50cm以上離す必要があります。
隣との距離が近い敷地では、寸法に注意が必要です。
加えて、屋根の軒先が境界を越えないこと・越えたとしても隣家の同意を得ていることも確認しておくべきポイントです。
落雪が通路や公道に面する場合
カーポートが公道や通路に面した側に配置されている場合、落雪が歩行者に当たるリスクがあります。
落雪方向を道路側に向けた配置は、できれば避けた方がいい。
これ、意外と見落とされます。
「公道に面した側は開けてた方がいい」という見た目の判断で配置を決めると、冬に困ることがあります。

雪止め・融雪ヒーターは必要か
「落雪が怖いなら雪止めを付ければいい」と思う方もいますが、カーポート屋根の雪止めは状況によってメリット・デメリットが逆転します。
雪止めを付けると雪が滑らず屋根の上に溜まります。
それはそれで、荷重が積み重なっていくということ。
雪止め付きにするなら、その分耐荷重が高いスペックの製品が必要になります。
雪止めなしで落とす → 落雪先を設計で制御する、という方が新潟では現実的なケースが多い。
融雪ヒーター(電熱線で雪を溶かす)は効果は高いですが、電気代がかかります。
ランニングコストを許容できるかどうかで判断してください。
メーカー選びで気をつけること
「LIXIL」「三協アルミ」「YKK AP」などの大手メーカーは、積雪対応のラインナップが充実していて、地域の積雪量に合わせた製品を選びやすいです。
ただ、施工業者によっては「見た目が似ているが耐雪スペックが低い廉価品」を薦めてくることがあります。
見積書に「耐雪○○cm」という記載があるか必ず確認してください。
口頭で「これで大丈夫です」と言われても、書面に残っていないと後から確認できません。

既存のカーポートが心配な方へ
「今使ってるカーポートが何センチ対応か分からない」という方、まず設置時の書類や型番を確認してみてください。
型番が分かればメーカーのサイトで仕様を調べられます。
築年数が古い・型番が不明・目視でゆがみや錆びが目立つ、そういう状態なら、今冬の前に一度点検してもらうことをおすすめします。
ちなみに、古いカーポートで柱が1〜2本曲がりかけている状態でも「雪が降る前なら修理できる」というケースがあります。
雪が降ってからでは手が付けられないので、今のうちに確認をお勧めします。
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