
先日、実家の空き家管理をお願いしたいという相談がありました。
理由を聞くと「隣の家から、瓦が飛んで来て困ってるって言われた」とのこと。
幸い大きなケガや事故にはならなかったんですが、正直、これはうちに相談が来る前に手を打てていれば防げた被害でした。
空き家の相談を受けていて思うのは、9月というタイミングの危うさです。
今日は台風シーズンの空き家点検について、実務的な話をします。
なぜ「今」なのか
新潟というと雪のイメージが強いと思います。
実際、豪雪地帯としての対策は皆さんよく考えてらっしゃる。
屋根の雪止めとか、除雪の手配とか。
ただ台風に関しては、正直そこまで身構えてない方が多い印象です。
でも実際には、8月末から10月にかけて日本近海を通る台風の影響を、新潟も普通に受けます。
直撃じゃなくても、台風から離れた場所で強風や大雨をもたらす「台風の縁」に入るケースは毎年あります。
しかも人が住んでいない空き家は、雨戸を閉める人も、飛ばされそうな物を片付ける人もいません。
台風が来るとわかっていても、誰も何もしないまま当日を迎えてしまう。
これが空き家特有の怖さです。
築年数が古い建物ほど、屋根材の劣化や外壁のシーリング切れが進んでいることが多く、同じ強さの風雨でも被害の出方が違います。
人が住んでいれば「あれ、雨漏りしてる」とすぐ気づけますが、空き家だと発見が半年後、下手すると翌年の春になることもあります。
その間にどんどん被害が広がって、修繕の見積もりを取ったら想定の3倍だった、という話も珍しくありません。
うちが相談を受ける空き家の多くは、実家を相続したものの遠方に住んでいて頻繁には見に行けない、というパターンです。
月に一度でも見に行ければ話は違うんですが、県外や遠くの市町村に住んでいると、年に数回帰るのがやっとという方も多い。
そうなると、台風のたびに現地を確認するというのは現実的に難しくなります。
台風シーズンに入る前にまとめて点検しておいて、シーズン中は天気予報を見ながら要点だけ気にする、という進め方のほうが現実的だと思っています。
台風前後にチェックすべきポイント
じゃあ具体的に何を見ればいいのか?
管理を任せてもらっている物件で実際にチェックしている項目をいくつか挙げます。
まず屋根です。
瓦のズレやひび割れ、棟板金の浮きがないか。
台風の風は真上からじゃなく横から強く当たるので、瓦の隙間に風が入り込んでめくれることがあります。
屋根の上まで自分で登って点検するのは正直危険なので、双眼鏡で下から確認するか、可能ならドローンで撮影するのがおすすめです。
清新ハウスでも空き家管理のオプションでドローン点検をやっていますが、屋根の状態は下から見るのとは全然違って見えます。
瓦のズレなんかは、地上から見ただけだと気づけないことが多いです。
次に雨樋。
落ち葉やゴミが詰まっていると、大雨のときに水があふれて外壁を伝い、そこから雨漏りにつながります。
空き家は庭木の管理もされていないことが多いので、周りの落ち葉が雨樋にたまりやすい環境です。
台風前に一度掃除しておくだけで、被害の出方がかなり変わります。
外壁も見ておきたいところです。
サイディングの浮きや、目地のシーリングが切れていないか。
ここが切れていると、強い雨が壁の中に入り込んで、内部の木材を腐らせる原因になります。
表面上は何ともなさそうに見えて、内側で進行しているケースが一番厄介です。
数年経ってから床が抜けそうになって初めて気づいた、というような相談も過去にありました。
あと意外と見落とされがちなのが、庭木とカーポートです。
伸びすぎた枝は強風で折れて窓を割ったり、隣家に飛んで行ったりします。
今回相談を受けた瓦の件も、実はその前段階で庭木の剪定を何年もしていなかったという背景がありました。
カーポートの屋根材も古いものだと簡単に割れて飛散するので、劣化が見えるなら台風シーズン前に補修か撤去を検討したほうがいいです。
最後に基礎まわりと床下。
大雨のあとに敷地内に水たまりができていないか、床下浸水の跡がないかも確認してください。
新潟は元々地盤が緩い場所も多いので、排水がうまくいっていないと想像以上に水が溜まります。
チェックする場所をまとめると、屋根、雨樋、外壁、庭木・カーポート、基礎まわりと床下、この5つです。
台風が来る前に一通り見ておくだけで、当日に受けるダメージはかなり変わってきます。

台風の前と後で、やることを分けて考える
点検は台風が来る前と後で、見るポイントが少し違います。
台風が来る前にやっておきたいのは、飛ばされそうな物の片付けです。
物置に置きっぱなしの植木鉢、使っていない自転車、庭に立てかけてある板やトタン。
こういうものが強風で飛ぶと、近隣の窓ガラスを割ったり車を傷つけたりして、そのまま損害賠償の話になります。
実際、空き家絡みのトラブル相談で一番多いのが、この飛来物によるご近所とのもめ事です。
雨樋の掃除や庭木の剪定も、できれば台風シーズンに入る前、9月上旬くらいまでに済ませておくと安心です。
台風が過ぎたあとにやっておきたいのは、被害の有無をひと通り見て回ることです。
先ほど挙げた屋根、雨樋、外壁、庭木・カーポート、基礎まわりを、台風が去った翌日か翌々日くらいのタイミングで確認します。
ここで気になる箇所を写真に残しておくと、あとで業者に相談するときも話が早いですし、火災保険を使う場合の証拠にもなります。
何もなかったからといって安心せず、次の台風、次の年も同じように見て回る。
この繰り返しが結局一番効きます。
被害を放置すると起きること
ここが一番伝えたいところなんですが、台風被害って「見た目が派手じゃない」ことが多いんです。
屋根が丸ごと吹き飛ぶとかそういう分かりやすい被害はむしろ少なくて、瓦が数枚ズレた、雨樋が少し曲がった、程度の被害が多い。
だから放置されやすい。
でもそこから雨水が入り続けると、屋根裏や壁の中の木材が腐って、シロアリを呼び込みます。
気づいたときには柱まで傷んでいて、部分補修では済まなくなっていた、というケースを何件も見てきました。
修繕費用も、早期発見なら数万円で済んだものが、放置後だと百万円単位になることもあります。
もうひとつ気をつけてほしいのが、老朽化や管理不全が進んだ空き家は、自治体から「管理不全空家」や「特定空家等」に指定される可能性があるということです。
指定されると固定資産税の住宅用地特例が外れて税負担が増えたり、最悪の場合は行政代執行で解体費用を請求されたりします。
台風被害の放置は、その進行を早める要因のひとつです。
火災保険についても触れておきます。
空き家でも加入している火災保険で風災補償が使えるケースはありますが、劣化が原因と判断されると補償の対象外になることがあります。
保険会社の調査で「経年劣化によるもので、台風による損害とは認められない」と判断されてしまうと、修繕費用は自己負担になります。
定期的な点検記録を残しておくことは、いざというときの保険の話でも役に立ちます。
台風の前後で写真を撮って日付をメモしておく、それだけのことですが、あるとないとでは保険会社とのやり取りの通りやすさが全然違います。
もうひとつ、空き家を放置していて起きるのが近隣トラブルです。
瓦や庭木が飛んで隣家に被害が出た場合、所有者に賠償責任が発生することがあります。
民法では、工作物の設置や保存に瑕疵があって他人に損害を与えた場合、所有者が責任を負うとされています。
「自分は住んでいないから関係ない」というのは通用しません。
空き家であっても、所有している以上は管理責任がついて回ります。
この点は相談の中でも、皆さん意外と理解されていないことが多い部分です。

自分でできることと、プロに頼むべきこと
ここまで挙げた中で、雨樋の掃除や庭木の剪定、敷地内の片付けは、時間さえあればご自身でもできる範囲です。
台風が来る前に軍手と脚立を持って一度見て回るだけでも、被害のリスクはだいぶ下がります。
一方で、屋根の上に登っての点検や、外壁のシーリング補修、瓦のズレ直しみたいな高所作業は、正直やめておいた方がいいです。
空き家点検中の転落事故は毎年どこかで起きています。
慣れているつもりでも、空き家の屋根は踏み抜くリスクがある場所も多く、素人判断で登るのはリスクが高すぎます。
ここは無理せず、プロに任せる部分だと考えてください。
判断基準としては、脚立の一番上から手が届く範囲かどうかで考えるとわかりやすいです。
地上や1階の窓からできる範囲は自分で、屋根に登る必要がある作業や、外壁の高い位置の補修は業者に、というふうに線引きしておくと迷いません。
あと、遠方に住んでいて頻繁に見に行けない方は、そもそも「台風の前に見に行く」というタイミング自体が難しいと思います。
うちで承っている空き家管理サービスでは、月4,400円のベーシックプランと、月6,600円で作業範囲を広げたフルプランを用意していて、台風接近時の臨時点検にも対応しています。
ドローンでの屋根点検はオプションとして承っていて、事前に電話一本もらえれば現地確認に伺える体制です。
月々の管理プランに入っている方には、台風シーズンは特に声をかけるようにしています。

よくある質問
「何年も空き家を放置してますが、今から点検しても意味ありますか」という質問をよく受けます。
答えは意味あります、です。
むしろ長期間見ていない物件ほど、劣化が進んでいる可能性が高いので、一度プロの目で全体を確認しておいたほうがいいです。
何もなければそれで安心材料になりますし、問題が見つかれば早めに手を打てます。
「点検だけお願いすることってできますか」という質問もあります。
清新ハウスでは管理契約を結ばずスポットでの点検にも対応していますので、まずは一度見てほしいという段階でもお気軽にご相談ください。
「賃貸に出す予定なので今は空き家じゃないんですが」という方もいます。
空室期間がある賃貸物件でも、台風前後の点検の重要性は基本的に同じです。
次の入居者を迎える前に被害があると、原状回復費用がかさむ原因になります。
「民泊での活用を考えているんですが、そのタイミングでも点検は必要ですか」という質問も増えています。
民泊として貸し出す予定の建物は、開業後は宿泊者の安全にも関わってくるので、開業前の段階で屋根や外壁の状態を一度きちんと確認しておくことをおすすめします。
台風被害の見落としがあると、営業を始めてから修繕でお休みすることになりかねません。

最後に
空き家の台風被害って、起きてから後悔する方がほんとに多いです。
「去年から瓦が浮いてるのは気づいてたんですけどね」みたいな話を、被害が出たあとに聞くことがよくあります。
わかってて手を付けていなかった、というケースがかなりの割合を占めている印象です。
新潟は台風の直撃自体は多い地域ではないですが、それでも毎年何かしらの被害相談が来ます。
今週すぐにでなくていいので、次に晴れた日に一度、外から建物をぐるっと見てもらうことをおすすめします。
見て回るときは、スマホのメモでも構わないので気づいたことを残しておいてください。
「屋根の南側、瓦が少しズレてる気がする」くらいの粗さで十分です。
あとで業者に見てもらうときも、そのメモがあるだけで話がスムーズになります。
気になる箇所があれば、遠慮なく清新ハウスにご相談ください。
空き家管理サービスの内容や、ドローン点検の詳細についても、お電話やお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
実際に現地を見て、必要な対応だけをお伝えします。
過剰な工事をすすめるようなことはしませんので、その点はご安心ください。
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