「親から住宅購入の頭金として500万円もらった。贈与税、かなりかかるんじゃないか…」
そう心配している方、「住宅取得等資金の贈与税非課税特例」を知っていますか?
この特例を使えば、省エネ等住宅(一定の品質基準を満たした住宅)であれば最大1,000万円、一般住宅でも500万円まで贈与税が非課税になります。
はっきり言います。
この特例を知らずに「贈与税がかかる」と思って援助を断った方・少なく受け取った方、使わないと損をしていた可能性があります。
条件・申告手続きを間違えると非課税が認められません。
今回は条件と注意点を整理します。

制度の概要と非課税限度額
父母・祖父母などの「直系尊属」から、住宅の新築・購入・増改築のための資金を贈与してもらった場合に、一定額まで贈与税が非課税になる制度です(租税特別措置法第70条の2)。
非課税限度額(2026年7月時点)
| 住宅の種類 |
非課税限度額 |
| 省エネ等住宅 |
1,000万円 |
| 一般住宅 |
500万円 |
「省エネ等住宅」とは以下のいずれかを満たす住宅:
- 断熱等性能等級5以上(または一次エネルギー消費量等級6以上)
- 耐震等級2以上(または免震建築物)
- 高齢者等配慮対策等級3以上
節税効果の具体例:親から800万円の住宅資金贈与を受けた場合、特例なしでは117万円の贈与税(概算)が発生。
省エネ等住宅の特例を使えば800万円≦1,000万円で贈与税ゼロ。差額117万円の節税効果があります。
特例を受けるための主な条件
受贈者(もらう側)の条件
① 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上
② 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下
③ 父母・祖父母など直系尊属から贈与を受けること(兄弟・配偶者の親からはNG)
住宅の条件
① 取得する住宅の床面積が40㎡以上240㎡以下
② 新築住宅の場合:2024年1月1日以降に建築確認を受けた住宅(省エネ等基準を満たす)
③ 中古住宅の場合:建築日が1982年1月1日以降(昭和57年以降) ④ 増改築の場合:工事費用が100万円以上
贈与・取得のタイミング条件
贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を取得し、居住していること。
この「翌年3月15日」という期限が最も重要な注意点です。
「贈与を受けたが完成が翌々年になる」という場合は条件を満たせない可能性があります。

申告手続きの注意点。「申告しないと自動適用されない」
この特例は確定申告で申告しないと自動的に非課税になりません。
贈与を受けた年の翌年2月16日〜3月15日に申告が必要です。
申告に必要な主な書類:贈与税の申告書・戸籍謄本(続柄証明)・住宅の登記事項証明書・売買契約書または請負契約書のコピー・住宅の性能証明書(省エネ等住宅として申請する場合)
「3月15日に間に合わなかった」という事態は絶対に避けてください。
「暦年贈与の基礎控除110万円」との組み合わせ
この特例は暦年課税の基礎控除110万円と組み合わせて使えます。
省エネ等住宅への資金贈与なら:
- 非課税特例:最大1,000万円
- 暦年課税の基礎控除:110万円
- 合計:最大1,110万円まで贈与税なし
ただし2024年の税制改正で暦年課税の生前贈与加算ルールが変わっています(死亡前7年分が相続財産に加算)。
贈与の方針については税理士への相談が不可欠です。

「相続時精算課税」との選択も検討する
2024年以降、相続時精算課税に年間110万円の基礎控除が新設されました。
この特例と相続時精算課税は組み合わせて使えますが、一度相続時精算課税を選択すると暦年課税に戻れません。
どちらを選ぶかは必ず税理士に相談の上で判断してください。
よくある質問・間違いやすいポイント
Q:贈与後に工期が延びて3月15日までに入居できない場合は?「居住見込みがある」場合も対象になりますが、慎重な確認が必要です。工期が不確定な場合は税理士に事前確認を。
Q:夫婦それぞれが両親から援助を受けた場合は?夫が夫の親から・妻が妻の親からそれぞれ贈与を受けた場合、それぞれの特例を使えます。「夫の親から妻に」という贈与は直系尊属からではないため特例対象外です。
Q:省エネ等住宅の証明書は誰が出すのか?住宅性能評価機関・建築士・指定確認検査機関などが発行します。設計段階で「省エネ等住宅として申請できるか」を住宅会社に確認してください。

まとめ
- 省エネ等住宅なら最大1,000万円・一般住宅なら500万円まで贈与税非課税
- 暦年課税の基礎控除110万円と組み合わせると最大1,110万円まで非課税
- 条件:受贈者18歳以上・所得2,000万円以下・直系尊属から・床面積40〜240㎡・翌年3月15日までに取得・居住
- 申告は自動適用されない。確定申告(翌年2〜3月)で必ず申告
- 3月15日の申告期限超過は絶対避ける
- 相続時精算課税との選択含め税理士への相談が必須
「省エネ性能が高い家を建てる」という選択が、税制面でも大きなメリットをもたらします。
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