家づくりで間取りを考えるとき、「できるだけ廊下を減らしたい」と考える方は少なくありません。
廊下は、部屋と部屋をつなぐために必要なスペースですが、そこで暮らしたり、家具を置いたりする場所ではありません。そのため、「廊下を減らして、その分LDKや収納を広くしたほうがいいのでは?」と思うのは自然なことです。
実際、廊下を少なくした間取りには、限られた床面積を有効活用できるという大きなメリットがあります。
一方で、廊下を減らせば減らすほど、必ず暮らしやすくなるとは限りません。
今回は、廊下を減らす間取りのメリット・デメリットと、どんな場合に廊下をつくったほうがいいのかについて考えてみましょう。
そもそも廊下は何のためにある?
廊下の一番大きな役割は、部屋と部屋をつなぐ「通路」です。
玄関からLDK、LDKから寝室、洗面所からトイレなど、それぞれの空間をつなぐことで、家の中を移動しやすくしています。
しかし、廊下にはもう一つ重要な役割があります。
それは、「空間を分ける」ことです。
例えば、LDKと寝室の間に廊下があれば、リビングの音や視線が寝室に直接届きにくくなります。
また、来客があったときに、リビングを通らずにトイレや洗面所へ行ける間取りにすることもできます。
つまり廊下は、単なる「無駄なスペース」ではありません。
移動するためのスペースであると同時に、暮らしの中で必要な距離をつくるスペースでもあるのです。
廊下を減らすメリット① 限られた面積を有効活用できる

廊下を減らす最大のメリットは、やはりこれです。
例えば延床面積30坪程度の住宅で、廊下に2~3坪使っていたとします。
そのスペースを完全になくすことは難しくても、廊下を短くすることで1坪分でも削減できれば、その分をLDKや収納、洗面室などに振り分けることができます。
「LDKをあと少し広くしたい」
「ファミリークローゼットをつくりたい」
「洗面室を広くしたい」
という場合には、廊下の見直しが有効です。
特にコンパクトな住宅では、数十センチの違いが使い勝手を大きく左右することがあります。
廊下を減らすメリット② 生活動線が短くなる
廊下を減らした間取りでは、各部屋への移動距離も短くしやすくなります。
例えば、
玄関 → 洗面所 → LDK
という動線を一直線につなげれば、帰宅して手洗いをしてからリビングへ向かうまでの移動がスムーズになります。
また、
キッチン → 洗面所 → 脱衣室 → 浴室
といった家事動線も、廊下を介さずにつなげることで効率的にできます。
毎日何度も繰り返す「移動」を短くすることは、家事の負担軽減にもつながります。
廊下を減らすメリット③ 家族の気配を感じやすい
廊下を少なくすると、LDKを中心に各部屋がつながる間取りになりやすくなります。
例えば2階へ上がる階段をリビング内に設ければ、子どもが帰宅して自分の部屋へ行くときにも、自然と家族と顔を合わせることになります。
「子どもが帰ってきたことが分かる」
「家族がどこにいるのか何となく分かる」
という安心感につながることもあります。
ただし、これは家族のライフスタイルによって好みが分かれる部分です。
家族との距離が近いことをメリットと感じる人もいれば、個室に入るときにはある程度プライバシーを確保したい人もいます。
廊下を減らすデメリット① 音や視線が伝わりやすい
廊下を減らすことで注意したいのが、音と視線です。
例えば寝室のすぐ隣にリビングがある場合、テレビの音や家族の話し声が聞こえやすくなります。
夜遅くまで起きている家族と、早く寝る家族がいる場合には、ストレスになる可能性があります。
また、玄関からLDKが直接見えるような間取りでは、来客時に生活感が見えやすくなることもあります。
「廊下をなくす=開放的」というメリットだけでなく、どこまで見せるか、どこまで音を伝えるかも考える必要があります。
廊下を減らすデメリット② プライバシーを確保しにくい

廊下がない間取りでは、個室へ行くためにLDKを通る「リビングアクセス型」になりやすくなります。
家族が小さいうちは問題なくても、子どもが成長すると「自分の部屋には静かに入りたい」と感じることもあるでしょう。
また、夫婦それぞれの生活時間が異なる場合にも、寝室や個室の位置関係は重要です。
廊下をなくすことだけを優先するのではなく、家族がどのくらいの距離感で暮らしたいのかを考えることが大切です。
廊下を減らすデメリット③ 家具の配置が難しくなることも
廊下を減らすために、部屋同士を直接つなげると、壁や建具の位置が複雑になることがあります。
例えばLDKから各部屋へ直接アクセスする間取りでは、ドアが多くなり、家具を置ける壁面が減ってしまう場合があります。
「廊下は減ったけれど、ソファやテレビを置く場所がない」
「収納をつくるための壁が少ない」
ということもあるのです。
間取りを考えるときは、部屋の広さだけでなく、家具をどこに置くのかまでセットで考えることが重要です。
廊下を完全になくす必要はない
ここまで読むと、「じゃあ廊下は少ないほうがいいの?」と思うかもしれません。
しかし、答えは「少なければ少ないほど良い」ではありません。
大切なのは、必要な廊下と、減らせる廊下を分けて考えることです。
例えば、ただ部屋をつなぐだけの長い廊下があるのであれば、間取りを工夫して短くできる可能性があります。
一方で、寝室とLDKの間に少し距離をつくるための廊下や、来客動線と家族動線を分けるための廊下は、暮らしやすさに役立つことがあります。
「廊下をなくす」より「廊下を有効活用する」という考え方

廊下を完全になくすのではなく、廊下に別の役割を持たせる方法もあります。
例えば、廊下の壁面に収納を設ければ、単なる通路が収納スペースになります。
本棚を設ければ、家族のライブラリーとして使うこともできます。
また、洗面台や手洗いスペースを廊下の一角に設けることで、廊下そのものを生活に必要な場所として活用することもできます。
さらに、廊下に室内物干しスペースを設けたり、カウンターを設置してワークスペースにしたりする方法もあります。
「廊下=何もできない場所」と考えるのではなく、通路+αの機能を持たせることで、限られた面積を有効に使えます。
廊下を減らすなら「動線」をセットで考える
廊下を減らす間取りを検討するときは、「何坪削減できるか」だけで判断しないことが重要です。
まず考えたいのは、家族の動線です。
例えば、
・朝起きてトイレへ行く
・洗面所で身支度をする
・キッチンで朝食を準備する
・洗濯物を干す
・子どもが学校から帰宅する
・買い物から帰って荷物を片付ける
など、実際の生活をイメージしてみましょう。
そのうえで、「この動線に廊下は必要なのか?」を考えます。
廊下をなくしたことで移動が楽になるのであれば、減らす価値があります。
反対に、廊下をなくしたことで人の動きが集中してしまうのであれば、少し廊下を設けたほうが暮らしやすいかもしれません。
廊下は、住宅の中で「何もしていない空間」に見えるかもしれません。
しかし実際には、部屋同士をつなぐだけでなく、音や視線をコントロールしたり、プライバシーを確保したりする役割もあります。
そのため、
「廊下は無駄だから、できるだけなくそう」
と考えるのではなく、
「この廊下は本当に必要?」「なくしたら暮らしはどう変わる?」
という視点で考えることが大切です。
限られた床面積を有効に使うためには、廊下を減らすことが有効な場合もあります。
一方で、廊下を少し設けることで、家族の生活時間を分けたり、来客時のプライバシーを確保したりできる場合もあります。
理想の間取りは、「廊下が少ない家」ではなく、家族の暮らしに必要な場所へ、必要な面積を配分した家です。
これから家づくりをする方は、図面を見ながら「この廊下は何のためにあるんだろう?」と考えてみてください。
もしかすると、減らせる廊下が見つかるかもしれません。
そして逆に、「ここには廊下があったほうが暮らしやすそう」と気付くこともあるでしょう。
間取りづくりでは、床面積を数字だけで考えるのではなく、実際にそこで暮らす家族の動きを想像することが、後悔しない家づくりにつながります。
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