先週(2026年9月2日)、こんなニュースが出ました。
屋根の補修工事が必要とうそを言い、工事代金をだまし取ったなどとして、神奈川県警はリフォーム会社の男ら5人を逮捕しました。
5人は、1人暮らしの高齢者が住む築年数の古い戸建て住宅を直接訪問し、屋根などの不具合を指摘して不安をあおりリフォームを持ちかける手口で犯行を繰り返していたとみられています。
5人は建設会社従業員を名乗り、首都圏の350人と計約5億円の契約を結んでいた。
県警は独居の高齢者を中心に狙ったとみている。
「屋根の木が腐っている」
「瓦の補強工事をしなければ雨漏りする」
全部ウソです。
工事の必要がない家に乗り込んで、不安をあおって、金を奪う。
それだけです。
複数の容疑者は過去に暴走族グループに所属していたといい、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ=匿流)とみています。
トクリュウが絡んでいる疑いがある、つまり組織的な犯罪です。
「たまたま悪い業者だった」ではなくて、最初から騙すことを目的に動いていた集団です。
同じ業界にいる人間として、はっきり言います。
こういう連中が「建設会社」「リフォーム会社」を名乗るせいで、ちゃんとやっている業者への信頼が傷つく。
本当に腹が立ちます。
業界の看板を汚すな、という話と同時に、「こういう手口に引っかからないようにしてほしい」という思いで、今日はこの話を書きます。

今回の事件の手口
今回の手口を分解すると、以下のステップです。
STEP 1:ターゲットの選定
1人暮らしの高齢者が住む築年数の古い戸建て住宅を直接訪問しというのが今回の手口です。
一人暮らしの高齢者・古い家
「すぐに判断を下せる人が身近にいない」
「建物の状態を自分で確認できない」
という弱点を狙っています。
STEP 2:不安の植え付け
「中の木が腐っている。ちゃんと工事をしたほうがいい」などとうそを言って工事代金を詐取しています。
「中の木」は屋根に上らないと確認できない部分です。
「内部が腐っている」と言われても、地上から見ている被害者には否定できない。
この「確認が難しい部分」を狙うのが常套手段です。
STEP 3:即決を迫る
「今日中に決めないと他のお客さんのところに行く」
「すぐやらないと大変なことになる」
という言い方で、その場で契約を迫ります。
「家族に相談したい」
「別の業者にも見てもらいたい」
という時間を与えない。
STEP 4:工事(または工事のふり)をして金を取る
実際に工事をしているケースもありますが、必要のない補修工事をしたうえ、工事代金27万5000円をだまし取った。
「必要のない工事」をして金を取っています。
仮に何かやっていても、その工事の価値はほぼゼロです。
これは「うっかり引っかかる」レベルの話ではない
「そんな手口、すぐ分かるじゃないか」と思う方もいるかもしれません。
でも考えてみてください。
築40年の家に住んでいる一人暮らしの高齢者のところに、工具を持った複数の人間がやってきて「屋根が危ない、今すぐやらないと雨漏りする」と言う。
「分かった、じゃあ確認してくる」と言っても、自分では屋根に上れない。
家族に電話しようとすると「今すぐ決めてほしい、明日には別の現場がある」と言われる。
「工事が必要かどうか判断できない・確認できない・急かされる」
この状況で「詐欺だ」と判断できる人がどれだけいるか?
被害者133人のうち、7割超が65歳以上の高齢者だそうです。
告げられた破損箇所を直接確認することが難しく、適正価格を知らずに支払ってしまう人が多かったとのこと。
「知識がある人なら引っかからない」ではなく、「知識がないことを狙っている犯罪」です。

悪質リフォーム詐欺の被害は増加している
今回の事件は氷山の一角です。
悪質リフォームの検挙件数は24年の66件から17件増え、2年連続で最多を更新。
被害額は約151億6千万円で前年の3.3倍に。
年間被害額151億円。前年比3.3倍。
これが今の現実です。
トクリュウがリフォーム詐欺に関与している可能性があって、しかも検挙数の41%もある。
トクリュウであれば闇バイトを雇って、簡単に信用に値するホームページを作ってしまう可能性がある。
「怪しいホームページがない・ちゃんとした会社名がある・制服を着ている」
これで信用してはいけない時代になっています。
「詐欺業者」と「まともな業者」の見分け方
建築士として、リフォームを頼む際に「これをやっていたら帰らせていい」というサインを整理します。
① 突然訪問してくる
まともなリフォーム業者は、頼まれていないのに突然家に来て「工事が必要」とは言いません。訪問販売でリフォームを勧めてくる業者は、まず疑ってください。
業者が検査を装ってわざと住宅の一部を壊したり、省エネ名目で必要のない工事を進めたりするケースもあります。
「調査しますね」と言って屋根に上って、自分で瓦を外してから「ここが壊れていますよ」と見せるというケースが実際にあります。
② 「今すぐ決めないといけない」と急かす
これが最大のサインです。
まともな業者は急かしません。
「見積もりを出すから検討してください」
「他の業者にも見てもらってください」と言います。
「今日中に決めてほしい」
「明日には別の現場がある」
「今なら割引する」
この言い方が出たら、詐欺を疑っていいです。
③ 「内部が腐っている」「見えない部分が危ない」と言う
地上から確認できない部分の問題を指摘して、「だから今すぐ工事が必要」という流れにする手口は定番です。
「見えない部分の問題」は、本当かどうか確認が難しい。
④ 見積書を出さない・出しても項目が不明確
まともなリフォーム業者は見積書を出します。
「工事代金:〇〇万円」という一行だけの見積書は、何の工事を何のためにするのかが分からない。
この状態で契約してはいけません。
⑤ 建設業許可番号を聞いても答えられない・確認できない
建設業を営む業者は、一定規模以上の工事では建設業許可が必要です。
「許可番号を教えてください」と聞いて「後で送ります」「うちは小さい工事専門なので不要です」という答えが返ってきたら要注意です。

「その場で帰らせていい」今すぐ使える対処法
訪問業者が来たとき、どう対応するかを整理します。
① まず「今日は決めない」と言う
「今日は決められません」
「家族に相談します」
これを言って終わりです。
まともな業者は「分かりました、また改めて」と言います。
「今日中に決めないと」と言い続ける業者は、その場で帰らせていいです。
法律上、訪問販売で締結した契約はクーリングオフ(8日間・書面での申告)が使えます。
「もう契約してしまった」という場合でも、すぐに諦めないでください。
② 一人で対応しない
一人暮らしの高齢の方は、業者が来たら「家族に電話してから返事します」と言って、すぐ家族・知人に連絡してください。
業者に「電話するな」と言われる・電話を急かされる場合は、詐欺の可能性が高いです。
③ 「別の業者にも見てもらう」と言う
「屋根が悪い」と言われたら「他の業者にも見てもらいます」と言ってください。
この一言で帰る業者は、それだけで「うさんくさい」です。
まともな業者は「もちろん比較してください」と言います。
④ 名刺・会社情報をすぐ確認する
会社名・住所・電話番号・建設業許可番号が書かれた名刺をもらって、帰った後にインターネットで検索してください。
住所が存在しない・許可番号が確認できない・口コミが極端に悪い、これらは警戒信号です。
⑤ 「今すぐ決めてほしい」と言われたらその場で帰らせる
「今日中に返事をしないと」という言い方は詐欺のサインです。
「それなら結構です」と言って帰らせていいです。
本当に屋根が傷んでいるなら、明日・来週でも対応できます。
「今日でないと駄目」な修繕工事はほぼ存在しません。
「もしかして騙されたかも」という場合
すでに工事をして・お金を払ってしまった場合でも、対処法があります。
クーリングオフを使う
訪問販売で締結した契約は、受け取った契約書・書面の日付から8日間以内であれば、書面でクーリングオフを申告できます。
工事が完了していても適用できるケースがあります。
消費生活センターに相談する
国民生活センター・各都道府県の消費生活センターに相談してください。
対処法のアドバイスをもらえます。
警察に届け出る
明らかな詐欺だと思われる場合は、迷わず警察に届け出てください。
「大げさかな」と思わなくていいです。
今回の神奈川の事件も、被害者の届出があったから摘発できました。

業界の人間として言いたいこと
清新ハウスは新潟で建築・リフォームをやっている会社です。
こういう事件が起きるたびに「リフォーム業者」という業種全体への信頼が傷つく。
それが腹立たしいし、悔しい。
「突然来て・不安をあおって・急かして・金を取る」
これは建設でも住宅でも何でもなくて、ただの犯罪です。
私たちがちゃんとやっていても「リフォーム業者」というだけで警戒される場面がある。
それは仕方ないことだと思っています。
「怪しかったら疑ってください」というのが正直な立場です。
清新ハウスに相談してくれる方には、見積書を出す・工事の内容を説明する・急かさない・比較してもらっていい、これを当たり前にやります。
まとめ
今回の神奈川のリフォーム詐欺事件を受けて、覚えておいてほしいことを整理します。
突然訪問してくる業者は疑うようにしてください。
「今日中に決めてほしい」と言う業者はその場で帰らせていい。
「見えない部分が危ない」という指摘は、別の業者に確認してもらう。
見積書・会社情報を必ず確認する。
騙されたかもと思ったら:クーリングオフ(8日以内)・消費生活センターへの相談・警察への届出。
親御さん・祖父母が一人暮らしをしている方、このブログを見せてあげてください。
一人暮らしの高齢者が最も狙われています。
ご相談はLINEからどうぞ
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