「本体価格1,500万円と書いてあったのに、見積もりを出してもらったら2,300万円になっていた……」
実はこれ、家づくりで本当によくあるトラブルです。チラシの価格には、生活するために絶対に必要な水道工事や税金、登記費用などの「付帯工事費・諸費用」が含まれていないことが多いのです。
今回は、後から「予算が足りない!」とパニックにならないために、最初から予算に入れておくべき費用の正体を、住宅会社の視点から包み隠さずお伝えします。
家づくりの総額は「本体価格」だけでは決まらない
新築の資金計画で最も誤解されやすいのが、「本体価格=家を建てるための総額」という思い込みです。
実際には、注文住宅にかかる費用は大きく分けて以下の3つで構成されています。
- 本体工事費:建物そのものを建てるための費用
- 付帯工事費:建物以外にかかる工事の費用(外構・地盤改良・給排水引き込みなど)
- 諸費用:税金・登記・住宅ローン手数料・火災保険料など、工事以外にかかる費用
「本体価格」というのは、あくまでこの中の「本体工事費」のみを指しています。
チラシや広告で目にする坪単価も、多くの場合この本体工事費だけを基準に計算されているため、総額としてはさらに数百万円が上乗せされることを、最初に理解しておく必要があります。

費用の内訳と、それぞれの相場割合
家づくりの総費用に対して、それぞれの費用がどれくらいの割合を占めるのか、目安を整理します。
| 費用区分 |
総費用に対する割合の目安 |
| 本体工事費 |
70〜80% |
| 付帯工事費 |
15〜20% |
| 諸費用 |
5〜10% |
例えば、本体価格2,450万円の家を建てる場合、付帯工事費(本体価格の15〜20%)はおよそ370万〜490万円、諸費用(本体・付帯を合わせた金額の5〜10%)もさらに200万円以上見込んでおく必要があります。
つまり、「本体価格2,450万円」と提示された家でも、実際に必要な総額は3,000万円を超えるケースが十分にあり得るということです。
「付帯工事費」の内訳を詳しく知る
付帯工事費は、建物以外の構造物を作るための費用です。工務店やハウスメーカーに見積もりを依頼した際、「別途(付帯)工事費」として計上される項目には、主に以下が含まれます。
① 地盤調査・地盤改良工事
土地の地盤強度を調査し、必要に応じて補強する工事です。
地盤の状態によって費用は大きく変動し、地盤改良が不要な場合もあれば、100万円以上かかる場合もあります。
② 屋外給排水工事
道路の本管から敷地内へ、水道管・下水管を引き込む工事です。
土地によっては、この引き込み管の本数や距離によって費用が大きく変わります。
③ ガス管の引き込み工事
都市ガスを利用する場合、道路からガス管を敷地内に引き込む工事が必要です。
④ 解体工事(建て替えの場合)
既存の建物や不要な擁壁がある場合、それらを取り壊して処分するための費用です。
木造住宅の解体の場合、100万〜200万円ほどが目安とされています。
庭木の伐採・撤去費用が発生することもあります。
⑤ 外構・エクステリア工事
駐車場・庭・門・塀・アプローチなど、建物の外まわりの工事費用です。
建物本体の完成後に着工することが一般的なため、予算計画で見落とされがちな費用です。
最低限(駐車場の土間コンクリート・アプローチタイル・表札やポストなど)でも150万〜180万円程度、カーポートやブロック塀などにこだわると、さらに数十万円単位で上がっていきます。
⑥ 空調・照明・カーテンの取り付け工事
エアコンの機器代・取り付け工事費、照明器具の設置工事費、カーテン・カーテンレールの設置費用などです。
これらが本体工事費に含まれるか、付帯工事費として別途計上されるかは、住宅会社によって大きく異なります。

「諸費用」の内訳を詳しく知る
諸費用は、建物や建物まわりの建築工事以外にかかる費用のことです。
主に以下の項目が含まれます。
① 税金関係
- 印紙税:建築工事契約書に貼付する印紙代
- 不動産取得税:土地や家屋を取得した際にかかる地方税
- 登録免許税:土地・建物の登記の際にかかる税金
② 登記関係の費用
土地・建物の所有権を公的に示すための登記手続きにかかる費用です。
手続きを司法書士に依頼する場合、3万〜5万円程度の司法書士報酬も見込んでおく必要があります。
③ 住宅ローン関連費用
金融機関に対して支払う融資手数料・保証料などです。
金融機関によって金額の差が大きく、例えばフラット35のように保証料が不要な商品を選ぶことで、諸費用を大きく抑えられるケースもあります。
④ 火災保険料
住宅ローンを組む際、多くの金融機関で加入が求められる火災保険の保険料です。
契約年数・補償内容によって金額は大きく変動します。
⑤ 地鎮祭・上棟式の費用、近隣への挨拶費用
現金での支払いが多く、見落とされがちな費用です。
近隣への挨拶用の手土産代なども、この諸費用に含まれます。
⑥ 家具・家電・引っ越し費用
新居での生活に必要な家具・家電の購入費、引っ越し業者への支払いなども諸費用の一部としてカウントしておく必要があります。

【事例】本体価格だけで予算を組み、800万円の予算オーバーになったDさんのケース
具体的なイメージを持っていただくために、実際によくあるケースをご紹介します。
状況
Dさんご夫婦は、複数の住宅会社のチラシを比較し、「本体価格1,700万円」と記載されていた住宅会社に興味を持ちました。
この金額であれば予算内に収まると考え、契約に向けて話を進めることにしました。
発覚した問題
正式な見積もりを依頼したところ、以下の費用が別途必要であることが判明しました。
- 地盤改良工事:約120万円(軟弱地盤だったため)
- 屋外給排水工事:約90万円
- 外構工事(駐車場・アプローチ・フェンス):約250万円
- 解体工事(既存の古家があったため):約150万円
- 諸費用(登記・ローン手数料・火災保険・税金等):約190万円
これらを合計すると、付帯工事費・諸費用だけで約800万円にのぼり、最終的な総額は当初の本体価格から大きく膨らむ結果となりました。
教訓
Dさんご夫婦は、「本体価格」という言葉の意味を正しく理解しないまま予算計画を立ててしまったことで、契約直前に慌てて資金計画を見直すことになりました。
幸い、住宅ローンの借入額を調整することで対応できましたが、当初想定していたよりも月々の返済負担が増える結果となりました。
このように、「本体価格」の安さだけを基準に住宅会社を選ぶことの危険性が、この事例からよくわかります。

見積もり比較で騙されないための、5つのチェックポイント
複数の住宅会社から見積もりを取る際、以下の点を必ず確認してください。
① 「本体価格」に何が含まれているかを確認する
カーテン・照明・エアコンが本体価格に含まれているかどうかは、住宅会社によって大きく異なります。
「含まれていない」場合、その分の費用は別途必要になります。
② 地盤調査・地盤改良費用の扱いを確認する
地盤改良工事は、実施が必要かどうかが土地によって異なり、費用も大きく変動します。
見積もり時点で「地盤改良費は含まれていない(別途、地盤調査後に確定)」となっているケースが多いため、この点は必ず確認しましょう。
③ 外構工事が含まれているかを確認する
外構工事は、住宅の請負契約に含まれないことが多い費用です。
見積もりに外構費用が入っていない場合、契約後に別途数百万円単位の費用が発生する可能性があります。
④ 屋外給排水工事の範囲を確認する
道路からの引き込み距離・本数によって費用が変わるため、土地の状況に応じた見積もりになっているかを確認してください。
⑤ 諸費用の概算を早い段階で確認する
諸費用は現金での支払いが必要になるケースが多く、住宅ローンに組み込めない場合もあります。
契約前の段階で、おおよその諸費用の総額を確認しておきましょう。
見積もりを比較する際は、「本体価格」の数字だけを比べるのではなく、付帯工事費・諸費用を含めた「総額」で比較することが、後悔しない住宅会社選びの鉄則です。

付帯工事費・諸費用を抑えるためにできること
① 地盤が強固な土地を選ぶ
地盤改良工事は、付帯工事の中でも特に費用が高くなりやすい項目です。
土地探しの段階で、自治体が公開しているハザードマップや地盤情報を確認しておくことで、地盤改良が不要な土地を選べる可能性が高まります。
② 外構工事の優先順位を整理する
外構工事は、こだわり次第で費用が大きく変動する項目です。
最低限必要な工事(駐車場・アプローチ・最低限のフェンス等)と、後から追加できる工事(カーポート・植栽等)を分けて計画することで、初期費用を抑えられます。
③ 保証料のかからない住宅ローンを検討する
住宅ローンの保証料・融資手数料は、諸費用の中でも金額が大きい項目です。
金融機関によって差が大きいため、複数の金融機関を比較検討することをおすすめします。
④ 更地の土地を検討する
既存の建物がある土地の場合、解体工事費(100万〜200万円程度)が別途発生します。
更地であれば、この費用が丸ごと不要になります。
まとめ
新築の資金計画における、本体価格・付帯工事費・諸費用について、覚えておいてほしいポイントを整理します。
- 「本体価格」は総費用の70〜80%を占める部分にすぎず、それ単体では家は建たない
- 付帯工事費(地盤改良・給排水・外構等)は総費用の15〜20%が目安
- 諸費用(税金・登記・ローン手数料・火災保険等)は総費用の5〜10%が目安
- 見積もり比較では「本体価格」ではなく「総額」で比較することが重要
- 地盤の強い土地選び・外構工事の優先順位整理・住宅ローンの比較で、付帯工事費・諸費用は抑えられる
家づくりの予算計画は、「本体価格」という一部の数字だけで判断せず、必ず総額でシミュレーションすることが、後悔しないマイホーム実現への第一歩です。
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