
今年の夏も、全国各地でゲリラ豪雨や台風による浸水被害のニュースが続きました。
「自分の家は大丈夫だろう」と思っている方に、二つ確認してほしいことがあります。
ひとつは「ハザードマップで自分の家のリスクを確認すること」。
もうひとつは「火災保険に水災補償がついているかどうか・補償の内容が実態に合っているか確認すること」。
この二つが揃って初めて「備えができている」と言えます。
特に2024年度から、火災保険の水災補償の保険料計算が大きく変わりました。
浸水リスクの高い地域の方は保険料が上がっています。
逆に、リスクが低い地域の方は下がっているケースもある。
今使っている保険が今の状況に合っているかを確認するのに、今が良いタイミングです。
ハザードマップって、どうやって使うのか
「ハザードマップは聞いたことがあるが、見たことがない」という方が多い印象があります。
使い方は簡単です。
国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」(disaportal.gsi.go.jp)にアクセスして、自分の住所を入力するだけで、洪水・土砂災害・高潮・津波などのリスク情報が地図で確認できます。
スマートフォンでも見られます。
洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報、道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどが一覧で確認できます。
国土交通省は「浸水ナビ」(suiboumap.gsi.go.jp)というサービスも提供しています。
「どの河川のどこの地点が決壊したら、自宅が浸水するのか」「堤防決壊後、いつ・どのくらい浸水するか」をアニメーションで確認できます。
これは「洪水時に大雨情報を見ながら、どこまで水が来るか確認する」という実践的な使い方ができます。
ハザードマップで確認すべき「3つのリスク」
ハザードマップには複数の種類があります。住まいに関係するのは主に以下の3つです。
① 洪水ハザードマップ
河川が氾濫した場合に浸水が想定されるエリアと、想定される水深を示したものです。
洪水浸水想定区域とは、想定し得る最大規模の降雨によって河川が氾濫した場合に、浸水が想定される区域を示したものです。
ここで重要なのが「想定最大規模」という考え方です。
従来のハザードマップは「100年に1度レベル」の降雨を想定していましたが、現在は「1,000年に1度レベル」の降雨でも浸水が想定される区域として更新されているものが多くなっています。
「昔のハザードマップで大丈夫だと思っていたのに」という話が出てくる理由はここにあります。
ハザードマップは数年に一度更新されることがあるので、昔確認した内容を過信しないほうがいいです。
② 内水ハザードマップ
河川の氾濫とは別に、集中豪雨で排水が追いつかなくなって起きる浸水(内水氾濫・都市型水害)のリスクを示したマップです。
「近くに大きな川はないのにゲリラ豪雨で浸水した」というケースは、この内水氾濫によるものが多い。
市街地の低地・アンダーパス・地下空間は特にリスクが高い。
③ 土砂災害ハザードマップ
土砂崩れ・土石流・地すべりのリスクエリアを示したものです。
山裾・傾斜地に近い住宅はこちらも確認が必要です。

「同じ市内でもリスクが違う」地域ごとの確認が重要
新潟市を例に取ると、市内でも地域によってリスクが全然違います。
信濃川・阿賀野川に近いエリア・かつての低湿地・海岸近くのエリアと、台地・高台のエリアでは浸水リスクが大きく異なります。
「新潟市に住んでいる」というだけで安心も心配もできない。
自分の住所で確認することが重要です。
「ハザードマップで確認したら、想定以上の浸水リスクエリアに入っていた」という発見をされる方が結構います。
一度確認してみてください。
また、新潟の地形(平野部・低地が多い・複数の大河川がある)はそもそも洪水リスクが高い地域です。
「新潟だから雪は心配でも水害は大丈夫」という感覚を持っている方がいますが、これは少し楽観すぎる。
ゲリラ豪雨による都市型内水氾濫は、大きな川のない市街地でも起きます。
火災保険の水災補償「入っているつもり」が落とし穴
「火災保険には入っている」という方、水災補償が付いているかどうか確認していますか?
火災保険は「水災補償あり」「水災補償なし」を選択できます。保険料を抑えるために「水災補償なし」を選んでいるケースがあります。
また、家を建てたときに「とりあえず標準のプランで」と選んで、水災補償が外れていたというケースもあります。
「水災補償は付けているつもり」でも、実際の保険証券を見ないと確認できません。
今すぐ保険証券を出して確認してください。

水災補償の「支払い条件」床下浸水は補償外のことが多い
水災補償に入っていれば何でも補償されると思っている方へ、重要な確認事項があります。
一般的な火災保険の水災補償では、支払い基準が定められています。
「床上浸水」または「地盤面から45cmを超える浸水」によって損害が生じた場合
つまり「床下浸水」は、多くの場合は水災補償の対象外です。
「浸水した」という事実があっても、「床上まで水が上がったかどうか・地盤面から45cm超かどうか」で補償の対象になるかが変わります。
床下浸水で補償の対象となる例外的なケースとしては、「地盤面から45cmを超えた床下浸水」または「再調達価額の30%以上の損害を受けた場合」があります。
ただし多くのケースでは、床下浸水は補償対象外になります。
「床下浸水の復旧費用は補償外だった」というケースは実際に多い。
床下浸水でも清掃・消毒・乾燥の費用は10万〜30万円程度かかることがあります。
補償されないことの痛みは、思っている以上に大きい。
2024年度からの「水災5段階料率制度」知っておきたい制度変更
ここが今回の記事で特に伝えたい最新情報です。
2024年度から、損害保険料率算出機構の参考純率で水災料率が市区町村単位の5区分(水災等地)に細分化されました。
統計上の水災リスクが高い地域ほど水災部分の保険料が高くなります。
これまでは全国ほぼ一律だった水災補償の保険料が、2024年度からハザードマップに基づく浸水リスクによって5段階に細分化されています。
リスクが高い地域の方: 水災補償の保険料が上がっている可能性があります。「以前より保険料が高くなった」と感じている方は、水災等地の変更が原因かもしれません。同時に「水災リスクが実際に高い地域に住んでいる」ということでもあるので、補償の必要性は高い。
リスクが低い地域の方: 水災補償の保険料が下がっている、またはもともと安い区分になっている可能性があります。「水災補償を外していたが、実は保険料が安くなっているなら付けてもいいかもしれない」という判断の余地があります。
自分の地域の水災等地(1〜5)がどの区分かは、加入中の保険会社に確認できます。
補償内容で確認すべきチェックリスト
現在の火災保険の水災補償を確認するチェックリストです。
① 水災補償がついているか
保険証券の「補償内容」欄に「水災」「水害」の記載があるか確認してください。
② 補償対象が「建物のみ」か「家財含む」か
火災保険は「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」の3通りから選択します。
水災補償の対象もこの範囲内に限定されます。
「建物のみ」を選択した場合は、水災で家財に損害が生じても保険金を受け取ることはできません。
冷蔵庫・テレビ・ソファ等の家財も浸水で全損することを考えると、家財補償も必要かどうか確認してください。
③ 補償額(保険金額)は現在の再調達価額に合っているか
建物の補償額が建築当時のままになっていると、建築コストが上昇した現在では「足りない」状態になっている可能性があります。
特に2020年以降、建築資材・人件費の上昇で同じ建物を再建するコストは大幅に上がっています。
「建物が全損したとき、保険金だけで同じ家が建つか」という視点で補償額を確認してください。
④ 免責金額(自己負担額)の設定を確認する
水災補償に「免責金額(自己負担額)」が設定されている場合、損害額からこの金額が差し引かれて支払われます。
「免責10万円」なら、損害額が10万円以下の場合は保険金がゼロ、損害額が15万円なら5万円の支払いになります。

「台風が来てから考えよう」は間に合わない
大型台風の接近が報じられてからの「駆け込み」での新規契約や水災補償の追加は、保険会社が引受けを一時停止・制限する場合があります。
補償の見直しは、台風の予報が出る前=シーズン入り前のうちにやっておくのが正解です。
「今度の台風が心配だから今すぐ水災補償を追加したい」これは多くの場合、間に合いません。
被災してから「あのとき確認しておけばよかった」という後悔が最も多いのが、この補償の見直しです。
台風シーズン真っ只中の今が、ちょうど動くタイミングです。
清新ハウスとして伝えたいこと
建築士として家を建てる・リフォームする立場から言うと、「建物の耐久性を高める」ことと「保険で備える」は両輪だと思っています。
浸水リスクに対して、建物でできる対策には限界があります。
基礎を高くする・排水設備を整える・床材を耐水性の高いものにするといった工夫はできますが、大規模な浸水には建物の工夫だけでは対応しきれません。
だからこそ「ハザードマップでリスクを知る」「保険で備える」という組み合わせが大事です。
「この物件の浸水リスクが心配」
「リノベーションで浸水対策をしたい」
「新築計画で浸水リスクを踏まえた設計をしたい」
こういった相談は清新ハウスで受け付けています。
保険の内容については、加入中の保険会社・代理店にご確認ください。

今日やること。3ステップ
STEP 1:ハザードマップで自宅のリスクを確認する
国土交通省「ハザードマップポータルサイト」(disaportal.gsi.go.jp)で住所を検索して、洪水・土砂災害のリスクを確認してください。スマホで5分あれば確認できます。
STEP 2:保険証券を出して水災補償の有無を確認する
「水災補償があるかどうか」「補償対象が建物のみか家財も含むか」「補償額は現在の再調達価額に合っているか」「免責金額はいくらか」を確認してください。
STEP 3:疑問点を保険会社・代理店に問い合わせる
「水災補償を追加したい」
「補償額を見直したい」
「自分の地域の水災等地を教えてほしい」
こういった問い合わせは加入中の保険会社・代理店に連絡してください。

まとめ
「うちの地域、大雨のときは大丈夫?」という疑問への答えはハザードマップにあります。
そして「万が一浸水したとき、保険は使えるか?」という確認は今の保険証券にあります。
どちらも確認していない方が、正直まだ多い。
台風が来てから動いても遅い。
「今日確認する」ことが、唯一の対策です。
「ハザードマップで見たら心配になった」「家の浸水対策を相談したい」という方は清新ハウスにご連絡ください。
※本記事は参考情報です。
保険の補償内容・条件は保険会社・契約によって異なります。
具体的な補償内容の確認は加入中の保険会社にご確認ください。
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