新築住宅の間取りを考えるとき、収納の広さや数は気になるポイントのひとつです。
「玄関にはシューズクロークが欲しい」「キッチンにはパントリーを設けたい」「洗面所にはタオルや着替えを収納したい」など、収納計画にこだわる方も多いのではないでしょうか。
しかし、収納をしっかり確保したはずなのに、住み始めるとカウンターの上や床に物が置かれ、いつの間にか散らかってしまう……。そんな悩みが出てくることもあります。
その原因のひとつが、物を一時的に置いておく場所が足りないことです。
帰宅して置いた鍵、ポストから取り出した郵便物、買い物から帰ってきた荷物、洗濯前の衣類など、私たちの暮らしには「今すぐ片付けるわけではないけれど、いったん置いておきたい物」がたくさんあります。
今回は、家づくりで見落としがちな「一時置きスペース」について、場所ごとの計画ポイントをご紹介します。
1. 収納が多いのに、なぜ家が散らかるの?

収納が足りないと聞くと、クローゼットや棚を増やせば解決するように思えます。
もちろん、収納量を確保することは大切です。しかし、物を片付けるためには、収納の広さだけでなく、使いやすさも重要になります。
例えば、帰宅してすぐに郵便物を確認したいとき、近くに置く場所がなければ、ダイニングテーブルの上に置いてしまうかもしれません。
買い物から帰ってきたときも、冷蔵庫に入れる食品と、あとで片付ける日用品を一度に運んでくると、キッチンのカウンターが荷物置き場になりがちです。
このように、物を使う場所や行動する場所の近くに一時置きスペースがないと、空いている場所が臨時の置き場になってしまいます。
大切なのは、収納を増やすことだけではありません。
「どこで物を受け取り、どこで一時的に置き、最後にどこへ片付けるのか」という流れを考えることが、散らかりにくい家づくりにつながります。
2. 玄関には「帰宅してすぐ置ける場所」を

玄関は、外から持ち帰った物が最初に集まる場所です。
鍵、郵便物、宅配便、エコバッグ、子どもの園バッグ、帽子など、帰宅時に手に持っている物は意外と多いものです。
こうした物の置き場所が決まっていないと、玄関収納の上や床に置きっぱなしになってしまうことがあります。
そこで検討したいのが、玄関まわりの小さなカウンターや棚です。
例えば、鍵や印鑑などの小物を置くスペース、郵便物を一時的に置くスペース、子どものバッグを掛けるフックなどがあると、帰宅後の動作がスムーズになります。
ただし、玄関は限られたスペースになりやすいため、大きな家具を置く必要はありません。壁付けの小さな棚やニッチなど、間取りや内装に合わせた方法も考えられます。
また、郵便物や鍵など、家族が毎日使う物は、誰でも分かる場所に定位置を設けることがポイントです。
「玄関に入ったら、まずここに置く」という場所を決めておくと、物があちこちに散らばりにくくなります。
3. キッチンには「買い物から帰ったとき」の置き場を

キッチンも、一時置きスペースを考えておきたい場所です。
買い物から帰宅すると、食品や日用品など、さまざまな物を持ち込みます。
すぐに冷蔵庫へ入れる物もあれば、収納場所を確認してから片付ける物、あとで処理するレシートや買い物袋などもあります。
このとき、荷物をいったん置く場所がないと、調理台やダイニングテーブルを使うことになり、料理を始める前から片付けが必要になってしまいます。
例えば、キッチンカウンターの一角やパントリー内の棚に、一時的に荷物を置けるスペースを設ける方法があります。
また、買い物袋やエコバッグを収納する場所を、玄関からキッチンまでの動線上に確保しておくのも便利です。
ただし、調理スペースに物が集まりすぎると、作業の邪魔になってしまいます。
そのため、一時置きスペースと、実際に調理するスペースは分けて考えるのがおすすめです。
4. 洗面所には「着替えや洗濯物」の一時置き場を

洗面所や脱衣室では、衣類に関する一時置きスペースが活躍します。
例えば、入浴前に脱いだ衣類、入浴後に着るパジャマ、洗濯が終わった衣類など、さまざまな物が集まる場所です。
これらを置く場所が決まっていないと、洗濯機の上や洗面台の周辺に物が積み重なってしまうことがあります。
そこで、着替えを一時的に置く棚や、洗濯前の衣類を分けて入れられるランドリーバスケットのスペースを考えてみましょう。
洗濯物を室内干しする場合は、取り込んだ衣類を一時的に置く場所があると、たたむ作業もしやすくなります。
ただし、洗面所は広さに限りがあることも多いため、収納棚を増やしすぎると動きにくくなる可能性があります。
洗面台を使う人、着替える人、洗濯機を使う人が同時にいても困らないよう、必要なスペースと通路幅のバランスを考えることが大切です。
5. 子どもの持ち物は「帰宅後の定位置」をつくる

子育て世帯では、子どもの成長とともに持ち物が増えていきます。
園バッグ、帽子、上着、水筒、連絡帳など、毎日持ち帰る物も少なくありません。
これらを片付ける場所が決まっていないと、リビングの椅子やソファ、ダイニングテーブルの上に置きっぱなしになりがちです。
そこで、玄関やリビングの近くに、子どもの持ち物を一時的に置ける場所を設けておくと便利です。
低い位置のフックや棚を設ければ、子ども自身が自分の荷物を置く習慣も身につけやすくなります。
また、子どもが小さいうちは親が片付けを手伝い、成長したら自分で管理できるようにするなど、使い方を変えられる計画もおすすめです。
最初から大きな収納をつくることだけを考えるのではなく、家族の成長に合わせて使える場所にしておくことも意識してみましょう。
6. 一時置きスペースをつくるときの注意点
一時置きスペースは便利ですが、ただ棚やカウンターを増やせばよいわけではありません。
気をつけたいのは、一時置きのつもりが、いつの間にか物をため込む場所になってしまうことです。
例えば、郵便物を置く場所をつくっても、定期的に確認しなければ書類が積み重なってしまいます。
そのため、一時置きスペースを計画するときは、次の3つを意識してみましょう。
- 何を置くのかを決める。 鍵、郵便物、買い物袋など、置く物を具体的に考えます。
- 置いた物を片付けやすい場所にする。 最終的な収納場所や使用場所から遠くなりすぎないようにします。
- 必要以上に広くしない。 置く物に合った大きさにすることで、物がたまり続けるのを防ぎます。
また、棚やカウンターを設ける場合は、扉の開閉や通路の邪魔にならないか、コンセントやスイッチと干渉しないかなども確認しておくと安心です。
7. 間取りを決める前に「一時置き」を想像してみよう
一時置きスペースは、必ずしも専用の部屋や大きな収納を必要とするものではありません。
玄関の小さな棚、キッチンのカウンターの一角、洗面所の着替え用の棚など、少しの工夫で使いやすさが変わります。
間取りを考えるときは、次のような場面を想像してみてください。
「帰宅したとき、鍵や郵便物はどこに置く?」
「買い物から帰ったら、荷物をどこに置く?」
「入浴前の着替えや洗濯物はどこに置く?」
「子どもが帰宅したら、バッグや上着はどこに置く?」
「あとで片付けたい書類や日用品はどこに置く?」
こうした日常の動作を具体的に考えると、必要な場所が見えてきます。
まとめ|散らかりにくい家は「一時置き」から考える
新築住宅では、収納の広さや数を確保することも大切ですが、収納に入れる前の「一時置き」も、暮らしやすさを左右するポイントです。
物を使う場所や、家族が毎日通る場所の近くに一時置きスペースを設けておけば、無意識に物を置いてしまう場所が減り、片付けもしやすくなります。
もちろん、一時置きスペースをつくるだけで家が散らからなくなるわけではありません。置く物や片付けるタイミングまで考えることが大切です。
「収納をどれだけつくるか」だけでなく、「物をどこで受け取り、どこに置き、どこへ戻すのか」。
家づくりの打ち合わせでは、ぜひ毎日の暮らしを想像しながら、一時置きスペースについても考えてみてください。
小さなスペースの工夫が、毎日の片付けを少し楽にしてくれるかもしれません。
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