お盆が終わって、久しぶりに実家に集まった家族が、また各地に散っていく。
「じゃあまた来年ね」
「気をつけてね」
そんな言葉を交わして帰路につく前に、今年こそ一度、実家の将来について話し合ってほしいのです。
はっきり言います。
「また来年話そう」を繰り返している間に、問題は確実に深刻化しています。
「いつかは考えないといけないね」
「まだ親も元気だし」
「兄弟みんなで集まったときに」
こういう言葉が毎年繰り返されて、何も決まらないまま10年が経つ。
気がついたら家が傷み、親の判断力が落ち、相続人が増え、選択肢がどんどん狭まっていく。
お盆の帰省は、家族が一堂に会せる年に数回しかないタイミングです。
この機会を使わない手はありません。

なぜ「お盆の帰省」が最大のチャンスなのか
家族で実家の将来を話し合うには、全員が集まっていることが前提になります。
普段は兄弟それぞれが各地で別々の生活を送っているため、「全員がそろって、落ち着いて話せる機会」は実は年に1〜2回しかない。
それがお盆と正月です。
正月はお祝いムードで「おめでたい話の場」という空気がある。
一方お盆は、ご先祖様を迎える期間でもあり、「家のこと・相続のこと」を話すのに、心理的なハードルが下がりやすいタイミングです。
さらに重要なのが「現地で実家の状態を目で見られること」。
普段離れて暮らしていると、実家の傷みや親の体の変化に気づきにくい。
でも帰省して直接見ると、
「あれ、屋根の色が変わってない?」
「お父さん、去年より動きが鈍くなった気がする」
という気づきが生まれる。
この「気づき」こそが、話し合いを始めるきっかけになります。
「まだ早い」は間違いです。話すべき3つの理由
「親がまだ元気だから、そういう話は早いかな」と思っている方、それは違います。
むしろ元気なうちにこそ話せることがあります。
理由①:親の意思を確認できるのは、今だけかもしれない
実家をどうするか?この決断は、本来「親自身の意思」を最も尊重するべき問題です。
「この家はどうしてほしいか」
「思い出の品の中で残しておきたいものはあるか」
「施設に入ることになったら、どこを希望しているか」。
こういった話を、判断力が十分あるうちに聞いておくことは、将来の決断を格段に楽にします。
逆に、認知症が進んでからでは「本人の意思」が確認できなくなる。
これが最も後悔されるパターンのひとつです。
理由②:早く話せば話すほど「選択肢」が多い
実家の処分を考えたとき、選択肢は「売る・貸す・リノベして誰かが住む・壊す」などがあります。
でもこれらの選択肢は、時間が経つほど消えていきます。
建物が傷めば傷むほど「売る価値」が下がる。
相続人が増えれば増えるほど「全員の合意」を取るのが難しくなる。
固定資産税を払い続ければ払い続けるほど「無駄な出費」が積み重なる。
今話せば使える手が、3年後には使えなくなっているかもしれない。
理由③:兄弟の「思い込み」を早めにすり合わせる
実家の将来について、兄弟姉妹の間で「なんとなくこうなるだろう」という思い込みがバラバラなことがよくあります。
長男は「自分が継ぐものだと思っていた」、次女は「売って現金化したい」、三男は「誰も住まないなら空き家のままでいい」
こういったすれ違いが顕在化するのは、多くの場合「親が亡くなってから」です。
そのときは感情的になりやすく、一番揉めやすい。
事前に話し合っておくことで、揉める前に方向性を確認できる。
これが精神的にも経済的にも、家族全員にとってメリットになります。

お盆の帰省中、何を話せばいいか。議題の提案
「いきなり実家の将来を話し合う」というのは、実際には切り出しにくいですよね。
そこで、話しやすい切り口から始める順番を提案します。
ステップ①:「家の状態」を一緒に見てまわる(30分)
難しい話の前に、まず家の中と外をみんなで見てまわるところから始めてみてください。
「このシミ、前からあったっけ?」
「この柱、ひび入ってる」
「お風呂の床タイル、古くなったね」
家の状態について話しながら歩くだけで、自然と「この家どうするんだろうね」という話題に入りやすくなります。
点検のポイントとしては、屋根の状態(色褪せ・苔)、外壁のひび・コーキングのはがれ、床の傾き・沈み、水回りの老朽化あたりに着目してください。
ステップ②:親に「意思」を聞く(30分〜1時間)
家の状態が共有できたら、次は親本人に話を聞く場を作りましょう。
切り出し方の例
「最近、この家のこと、どう思ってる?」
「もし何かあったとき、この家どうしたらいいか、考えてることある?」
「施設とか、将来のことは何か考えてる?」
「急に何を言い出すんだ」と思われないよう、「みんなで家のことを考えておこうと思って」という前置きをすることが大切です。
問い詰める雰囲気ではなく、「一緒に考えたい」という姿勢で話しかけてください。
親が「まだそんなことは考えたくない」という場合も、それ自体が重要な情報です。
無理に引き出す必要はありません。
「分かった、でもいつでも話せるようにしておこうね」と留めておくだけでも前進です。
ステップ③:兄弟姉妹だけで方向性を話す(30分〜1時間)
親が休んでいる時間などを使って、兄弟姉妹だけで「率直な話」をする時間を設けましょう。
確認しておきたいこと:
- 「もし親が施設に入ることになったら、この家どうする?」
- 「誰かがここに住む可能性はある?」
- 「売却するなら、どのくらいの時期を目安に考えたい?」
- 「固定資産税や維持費は、今後どう分担する?」
- 「名義はどうなっているか、確認してある?」
全部決めなくていいです。
「方向性をなんとなく共有する」だけでも、今日の話し合いは成功です。
「何も決めなかった」でもいい。でも「話した」という事実を作る
お盆の帰省中に実家の将来を完全に決める必要はありません。
それより大切なのは「家族の間で、この話題がタブーではない」という空気を作ることです。
一度話し合いの場を持つだけで、次からグッと話しやすくなります。
「あのときみんなで見てまわったときに言ってた話だけど」という前置きで、また次の帰省時に続きを話せる。
そういう「継続的な話し合い」が、最終的な問題解決につながります。

帰省したら「実家の状態チェックリスト」
帰省時に、家族みんなで確認しておきたいポイントをリストにしました。
外回り
- 屋根の色褪せ・苔・破損はないか
- 外壁にひび・欠け・コーキングのはがれはないか
- 雨樋(あまどい)の詰まり・変形はないか
- 庭木・植栽が管理できているか
室内
- 天井・壁にシミ・カビ・変色はないか
- 床が沈む・傾く箇所はないか
- 建具(ドア・窓・引き戸)の動きに不具合はないか
- 水回り(台所・浴室・トイレ)の劣化具合
書類・手続き
- 不動産の登記名義は現在の所有者のままになっているか
- 固定資産税の通知が届いているか・支払い状況
- 権利証(登記識別情報)はどこにあるか
このリストを持って実家の中を一緒に歩くだけで、「この家の状態」と「今後必要な手続き」が自然と話題になります。

話し合いが難しければ、専門家を間に入れることも選択肢
「兄弟が多くて話し合いがまとまらない」
「親が頑なに話を拒む」
「どこから手をつければいいか分からない」
という場合は、専門家を間に入れることを検討してください。
空き家アドバイザー・司法書士・税理士など、専門家が入ることで「感情的な対立」を「問題解決の場」に切り替えやすくなります。
清新ハウスでは、相続・実家じまい・空き家活用に関するワンストップ相談に対応しています。
「何から始めればいいか分からない」という状態でもOKです。
まずは話を聞かせてください。

まとめ
お盆の帰省と実家の将来について、覚えておいてほしいことです。
- 「また来年話そう」を繰り返していると、選択肢がどんどん狭まる
- 親が元気なうちに「意思確認」ができるのは、今だけかもしれない
- お盆は家族全員が集まれる数少ないタイミング。この機会を活かす
- 「全部決める」必要はない。「話し合いの場を作る」ことが今日のゴール
- 外回りと室内を一緒に見てまわることが、自然な話し合いのきっかけになる
- 難しければ専門家を間に入れることも有効な手段
今年のお盆帰省が、実家の将来を動かす最初の一歩になりますように。
帰省先から帰る前に、ぜひ一度「実家の将来、どうする?」という話をしてみてください。
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