「今、家を建てるのは損ですか?」
最近、お客様からこの質問を受けることが増えました。
住宅を新築建てたい方にとっては、今まさに一番気になることではないでしょうか。
ナフサショック。
聞き慣れない言葉ですが、今年の春から住宅業界を揺るがしている問題です。
2026年2月末の中東情勢緊迫化をきっかけにホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となり、石油由来の原料「ナフサ」の供給が急激に細りました。
その影響で、断熱材や塗料・シンナー、そしてお風呂・トイレといった住宅設備が軒並み値上がりし、一時はTOTO・LIXIL・パナソニックなどの大手メーカーが受注停止・制限をかける事態にまで発展しました。
断熱材は約40〜50%、塗料は最大約80%の値上げが通告されていると聞けば、誰だって怖くなります。
私でも怖いです。
だから「今は待つべきでは?」と思う気持ちは、まったくもって自然なことです。
ただ、私はここで一度立ち止まって、冷静に考えてほしいことがあります。

「待てば下がる」は本当か?
結論から言うと、待っても劇的には下がらない可能性のほうが高いです。
理由は単純で、今回のナフサショックは「一時的な需給の乱れ」ではなく、構造的な問題を含んでいるからです。
中東情勢が落ち着いたとしても、世界的な脱炭素の流れの中で化石燃料由来の建材コストが以前の水準に戻ることは考えにくい。
加えて、職人不足・物流コスト・人件費の上昇は、ナフサショックとは無関係に続いています。
「今は不安だから待つ」→「待っている間にも価格は上がる」→「もっと不安になる」
このループに入ってしまうと、いつまでたっても家を建てるタイミングが来ません。
私がこれまで20年以上この仕事をしてきた中で、「あの時建てておけばよかった」という声は数え切れないほど聞いてきました。
「もっと待てばよかった」という声は、実は驚くほど少ないのです。
新潟という地域で、私が感じていること
東京や大阪の住宅情報と、新潟の住宅事情は少し違います。
都心部では不動産価格の高騰が続いていますが、新潟の地方都市は土地の価格がまだ現実的な水準にあります。
つまり、建材が上がっている今でも、トータルの住宅コストで言えば都市部と比べてまだ選択肢がある。
それに、新潟は冬の寒さと湿気という特有の気候条件があるため、断熱性能を削った家は単なる「コスト削減」ではなく「暮らしの質の低下」に直結します。
今回値上がりしている断熱材は、新潟の住宅においては「あれば便利」ではなく「なければ困る」素材です。
だからこそ、安易に断熱スペックを落として価格を抑える設計はしたくない、というのが私の正直な気持ちです。

住宅会社の社長として、やれることをやる
2026年4月中旬に主要4社が受注停止・制限を実施したが、その後TOTOやLIXIL、クリナップは5月までに受注を再開し、パナソニックも6月後半の完全正常化を見込んでいるという状況の中で、私たちができることは何か。
まず、早期発注と建材の先行確保です。
着工前に主要材料の仕入れをできるだけ前倒しにする。
これは今の相場環境では特に有効な手段です。
次に、2026年度も「住宅省エネ2026キャンペーン」をはじめ国や自治体の助成制度が多数設けられており、条件によっては100万円単位の補助金が下りるケースもあるという事実を、お客様にきちんと伝えること。
値上がり分をそのままお客様に押し付けるのではなく、使える制度は全部使って、少しでも実質負担を減らすのが私たちの仕事です。
そして、設計の工夫で「必要なコストと不要なコスト」を見極めること。
原価が上がっているからこそ、どこにお金をかけるべきかの取捨選択が以前より大切になっています。
無理に豪華にする必要はない。
でも、新潟の気候に必要な断熱・気密・耐雪性能は絶対に譲れない。
そのラインをしっかり持って設計しています。

「不安」と向き合いながら、一歩踏み出す
家を建てることは、人生で最大級の決断です。
不安を感じるのは当然であり、感じない人のほうがおかしい。
ただ、「不安だから動かない」のと「不安を理解した上で動く」のとでは、10年後の暮らしに大きな差が出ます。
私がお客様にいつも伝えていることは「情報が足りないから不安になる」ということです。
今何が起きていて、どう影響するのか、対策は何があるのかを知ってしまえば、不安の8割は解消されます。
残りの2割は、家を建てる覚悟と楽しさに変わります。
ナフサショックの今だからこそ、なんとなく情報を眺めるのではなく、ちゃんと現場を知っている住宅会社の人間と話してください。
私たちは新潟で、皆さんの家づくりの相談に正直に向き合います。
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