最近、「定期借地権付きマンション」の話題をよく聞くようになりました。
「土地を買わないから価格が安い」
「好立地なのにリーズナブル」
そういう切り口でニュースに出てくることが増えています。
実際、相談に来られた方から「定期借地権付きマンションを検討しているんですが、どうですか?」と聞かれることがあります。
ずばり、
メリットは本物ですが、デメリットも本物です。
「安いから」という理由だけで飛びつくと、後から後悔するケースがあります。
今回は「定期借地権付きマンション」とは何か?
普通のマンション(土地付き)と何が違うのか、そして買う前に何を確認すべきかを整理します。
そもそも「借地権」とは何か?基本から整理
「借地権付きマンション」と聞いて、ピンとくる方とそうでない方がいます。
まず「借地権」の基本から話します。
借地権とは
他人の土地を借りて、その上に建物を建てたり所有したりする権利のことです。
借地借家法に基づく権利で、地主(土地の所有者)から「土地を使っていいですよ」という許可を得て、建物を建てたり所有したりします。
普通のマンションは「土地と建物のセット」を購入します。
でも借地権付きマンションの場合、「建物(の区分所有権)」を購入して、「土地」は地主から借りる形になります。
だから、土地の代金が価格に含まれない分、同じエリア・同じ立地の通常マンションより価格が安くなります。
「普通借地権」と「定期借地権」は別物
借地権には2種類あります。
普通借地権:契約期間が終わっても、原則として借り続けられる権利です。地主が「返してほしい」と言っても、正当な理由がなければ更新を拒否できません。借主の権利が強い。
定期借地権:契約期間が終わったら、原則として土地を返さなければなりません。更新がなく、期間が来たら必ず土地を地主に返す、これが「定期」の意味です。
今回の主題は「定期借地権付きマンション」、つまり「期間が来たら土地を返す」前提のマンションです。

定期借地権の成立要件。書面が必須
定期借地権は「口約束ではなく公正証書等の書面で契約することが必要」という成立要件があります(借地借家法22条)。
公正証書とは、公証人が作成する公的な書類です。
「あとで「そんな約束をしていない」という言い訳ができないようにする」ために必要な形式です。
定期借地権は更新がなく・期間終了後に必ず返すという、借主にとって不利な条件のため、それを「分かった上で合意した」という証拠が必要になります。
「定期借地権付きマンションです」と言われたら「公正証書で契約されていますか?」と確認することが最初の確認ポイントです。
定期借地権付きマンションの期間。何年後に返すのか
定期借地権の期間は、存続期間50年以上と定められています(借地借家法22条)。
「50年以上」ということは、50年で終わる場合も・70年・100年という場合もあります。
これが重要で、「残存期間がどのくらいあるか」によって、マンションの価値・使いやすさが大きく変わります。
新規分譲時:残存期間が50年以上あるので、今の購入者は「50年以上は住める」という前提です。
中古で購入する場合:すでに何年か経過していれば、残存期間はその分短くなっています。残存期間が20年・30年の定期借地権付きマンションを購入する場合、「あと20年・30年で土地を返さないといけない」ということです。
住宅ローンの返済期間と残存期間の関係も重要です。
残存期間より長い住宅ローンを組もうとしても、金融機関が融資に慎重になることがあります。

定期借地権付きマンションのメリット。「安い」は本物か?
メリット①:同エリアの通常マンションより価格が安い
土地代が含まれない分、通常マンションより購入価格が下がります。
「好立地だが価格が高くて手が届かない」というエリアでも、定期借地権付きであれば購入できるケースがあります。
都心の一等地・駅直結などの好立地物件に定期借地権付きマンションが登場することがある理由はここにあります。
メリット②:地主に一定の収入が保証される(地主側の視点)
地主にとって、土地を定期借地権で提供することで地代収入が長期間安定します。
また期間終了後には土地が戻ってくることが保証されているため、「永遠に土地が戻らない」という不安がない。
地主が定期借地権で提供することを選ぶ理由はここにあります。
メリット③:管理が整った好立地に住める
好立地の土地を持っている地主が「売らないが定期借地権で提供する」という選択をする場合、通常の不動産市場には出てこない好立地に住める可能性があります。
定期借地権付きマンションのデメリット。「返す」現実を直視する。
デメリット①:期間終了後に建物を解体して土地を返す必要がある
最大の特徴であり、最大のデメリットです。
期間終了(50年後など)には、マンション全体を解体して更地にして地主に返す必要があります。
この解体費用は誰が負担するのか?
基本的にはマンションの区分所有者全体で負担することになります。
これが「解体積立金」として毎月積み立てられることが多いですが、解体費用の見積もりが甘かった場合、期間終了間際に「足りない」という問題が起きる可能性があります。
解体積立金の額と積立計画が適切かを確認することが重要です。
デメリット②:残存期間が短くなるほど資産価値が下がる
通常のマンションは「土地込みの資産」として価値を持ちますが、定期借地権付きマンションは「期間が来たら返す前提の資産」です。
残存期間が短くなるほど、売却価格は下がります。
「20年後に売ろう」と思っていても、残存期間が少なくなった時点での売却は難しくなる可能性があります。(これはかなり慎重に検討すべきポイントです)
デメリット③:住宅ローンが通りにくいケースがある
金融機関によっては、定期借地権付きマンションへの融資に慎重なところがあります。
担保評価が低くなるため、同じ価格の通常マンションより融資額が少なくなる・融資期間が短くなるという場合があります。
購入前に、金融機関への融資相談を先にやっておくことをおすすめします。
デメリット④:管理組合の合意形成が必要
定期借地権付きマンションは「解体」という共通の終点があります。
期間終了に向けた準備・解体費用の積立・実際の解体工事の業者選定など、管理組合全体で合意が必要な問題が通常のマンションより多い。
管理組合がきちんと機能しているか・住民の意識が揃っているかが、定期借地権付きマンションの長期的な維持に大きく影響します。
デメリット⑤:地代が必要(毎月のコストとして計算が必要)
土地を借りているため、毎月「地代」を地主に支払います。
管理費・修繕積立金・解体積立金に加えて地代が発生します。
「価格が安い」と思っても、月々のランニングコストとして地代が加わることを計算に入れてください。

普通借地権付きマンションとの違い
「定期借地権付き」と「普通借地権付き」のマンションが両方ある、ということを知っておいてください。
普通借地権付きマンションの場合、契約期間終了後も更新できる権利があります。
地主が「返してほしい」と言っても、正当な理由がなければ断れます。
期間終了後も住み続けられる可能性が高い。
一方で「解体して返す」という強制力がないため、マンションが老朽化した後の処理が問題になることがあります。
地主・借主の合意がないと解体・建て替えが難しい。
「期間終了後も住み続けたい」という場合は普通借地権の方が借主に有利。
「期間終了が明確で、その間の運営がしっかりしている」という点では定期借地権の方が明確な約束があります。
「定期借地権付きマンション」を買う前の確認リスト
購入を検討している方が確認すべきポイントをリスト化します。
契約・権利関係の確認
- 定期借地権の存続期間は何年か(残存期間はあと何年か)
- 公正証書等の書面で契約されているか
- 契約の更新・再契約の可否(定期借地権は原則不可)
費用面の確認
- 月々の地代はいくらか
- 解体積立金の月額はいくらか(解体費用の総額見積もりと積立計画が適切か)
- 管理費・修繕積立金も合わせた月々の総コスト
融資の確認
- 金融機関が融資に応じるか(複数の金融機関に確認)
- 融資可能額・融資期間(残存期間内に返済できるか)
管理組合の確認
- 管理組合が機能しているか(総会への出席率・議事録等)
- 解体に向けた長期修繕計画・積立計画の状況
出口戦略の確認
- 売却したい場合の流動性(過去の売買事例があるか)
- 残存期間が短くなった場合の想定売却価格

新潟での定期借地権付きマンションの状況
新潟市内でも定期借地権付きの物件が存在します。
主に好立地・駅周辺・商業地に近いエリアで見られます。
新潟の場合、マンション市場全体が首都圏ほど活発ではないため、定期借地権付きマンションの流動性(売りやすさ)が首都圏より低くなる傾向があります。
「首都圏で定期借地権付きマンションが成功している」という話が、そのまま新潟には当てはまらないことがあります。
購入する前に「このエリアでの流動性がどうか」を不動産業者に確認してください。
また、定期借地権付きマンションの「解体積立金」は将来の大きな出費です。
新潟の建物は除雪・凍結等による傷みが速いエリアがあるため、解体費用の見積もりが他の地域より高くなる可能性も念頭に置いてください。
まとめ
定期借地権付きマンションについて、整理します。
「好立地で安い」という魅力は本物です。
ただし「期間終了後に土地を返す」という現実・解体費用の積立・毎月の地代・融資の難しさ・残存期間による価値低下、これらのデメリットを理解した上で判断する必要があります。
「安いから」という理由だけで飛びつくのは危ない。
でも「定期借地権は怖い」と頭ごなしに否定するのも、それはそれで機会を逃すことになる。
「残存期間が何年あるか」
「解体積立が適切にされているか」
「月々のコスト総額はいくらか」
「融資は通るか」
この4点を確認してから判断してください。
購入前に不動産の宅建士などの専門家・弁護士・FPに相談することを強くおすすめします。
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