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犬将軍日記

2026/08/24

「この土地、新しい家が建てられません」実家の再建築不可が発覚したとき、何ができるのか?

「実家を建て替えようとしたら、”この土地には新しい建物が建てられません”と言われた」

これ、相談として持ち込まれたとき、一番テンションが下がる話のひとつです。

なぜなら、簡単に解決できないことが多いからです。

でも正直に言います。「再建築不可」と分かっても、諦める必要はないケースもあります。

「新しく家は建てられないが、今ある建物を活かしてフルリノベーションすることはできる」

「セットバックによって将来的に再建築可能にできる」

「再建築不可のまま売却する方法もある」

選択肢はあります。

今回は「再建築不可物件」とは何か、なぜそうなるのか、そして「実際にどんな解決策があるのか」を、建築士の立場からしっかり話します。

「この土地、新しい家が建てられません」実家の再建築不可が発覚したとき、何ができるのか。

「再建築不可」とは何か。なぜそうなるのか

建築基準法の「接道義務」

建物を建てるためには、敷地が「幅員4m以上の道路に2m以上接している」という条件(接道義務)を満たす必要があります(建築基準法第43条)。

この接道義務を満たさない土地には、建物の新築・建て替えができません。

これが「再建築不可物件」と呼ばれる状態です。

なぜ接道義務が設けられているのか

火災や災害が起きたとき、消防車・救急車が現場に近づけるための「緊急車両の進入路の確保」が主な目的です。

幅員4m未満の細い道しかアクセスできない場所では、緊急時に対応できないと判断されています。

なぜ再建築不可物件が存在するのか

1950年(昭和25年)の建築基準法施行以前に建てられた建物の中には、当時の基準では合法だったが、現在の基準を満たしていない物件が数多くあります。

特に旧市街地・昭和初期に形成された住宅地では、狭い路地に面した建物が多く残っています。

相続した実家が昭和25年以前の建物だった場合、または建築当時は道路の幅員が今より広かったが後から狭まったケース(道路沿いに塀や構造物が設置されたなど)でも、再建築不可になる場合があります。

「この土地、新しい家が建てられません」実家の再建築不可が発覚したとき、何ができるのか。

「43条但し書き(ただしがき)」という抜け道

接道義務を満たさない土地でも、例外的に建築許可を得られる制度があります。

それが「建築基準法第43条第2項但し書き(43条但し書き)」による許可です。

簡単に言うと「道路に接していないが、安全上・防火上・衛生上問題がないと行政が認めた場合は、許可によって建築できる」という規定です。

適用されやすいケース

  • 幅員4m未満でも、古くから周囲が認識している通路(農道・里道等)に面している
  • 特定行政庁(市区町村)が安全上問題ないと判断した

ただし「43条但し書き」は「絶対に通る」ものではなく、行政の個別判断によります。

申請してみないと結果が分からないという側面もあります。

建て替えを検討する前に、まず所轄の建築指導課(新潟市の場合)に「この土地で建築可能かどうか」を事前相談することをおすすめします。

事前相談は無料でできます。

「2項道路」とセットバック。将来的に再建築可能にする方法

再建築不可物件の多くが接している「狭い道」が、実は「2項道路」として指定されているケースがあります。

「2項道路」とは

建築基準法が制定された1950年以前から存在していた幅員4m未満の道路を「2項道路(みなし道路)」と呼びます。

現在は幅員4mに満たない道路ですが、「将来的に道路の中心線から2m後退させること(セットバック)を条件に建築を認める」というルールが適用されます。

「セットバック」とは

道路の中心線から2m後退した線まで建物を建てないようにして、将来的に道路幅を4mに拡大することを「セットバック(道路後退)」と言います。

具体的には

  • 道路の中心線を基準に、両側の土地がそれぞれ2mずつ後退する
  • 現在の道路幅が2.4mであれば、中心線から両側に2mずつ→将来の道路幅4mが実現する
  • セットバックした部分は「建築できない土地」として扱われる(固定資産税は非課税になることが多い)

セットバックのメリット

  • セットバックを実施した後に建物を建て替えることができるようになる
  • 将来的に「再建築可能な土地」として売却できるため、資産価値が上がる
  • セットバックした部分は道路として整備されるため、近隣の安全性向上にもなる

注意点

  • セットバックをした分だけ「使える敷地面積」が減る
  • 建物の建て替えをするとき(将来のタイミング)にセットバックが必要なため、すぐに建て替えができるわけではない
  • 隣地所有者も同様にセットバックしてくれないと、道路幅が片側しか広がらない

「この土地、新しい家が建てられません」実家の再建築不可が発覚したとき、何ができるのか。

「再建築不可のまま活用する」という現実的な選択肢

「セットバックをすれば将来建て替えできる」と言っても、それはあくまで将来の話。

今すぐ何かしたいという方のための現実的な解決策が「既存建物のフルリノベーション」です。

再建築不可でも「リノベーション」は原則できる

重要なポイントを先に言います。建物の「新築・建て替え」はできませんが、「修繕・改修・リノベーション」は原則として可能です。

ただし「大規模の修繕・模様替え(主要構造部の1/2超を修繕する工事)」については建築確認申請が必要となり、再建築不可の土地では申請が通らないケースがあります。

このあたりは工事の規模・内容によって判断が変わるため、設計者・建築士に事前確認が必要です。

フルリノベーションで「実質的な新築同様」を実現する

「主要構造部(柱・梁・壁・基礎)を残しながら内外装・設備をすべて取り替える」というフルリノベーションであれば、再建築不可物件でも実施できる場合があります。

メリット:

  • 外観・内装・水回り・断熱・耐震補強をすべて刷新できる
  • 新築同様の快適性・安全性を実現できる
  • 「新築」に比べてコストを抑えられることが多い

注意点:

  • 構造の状態が悪い場合(柱・梁の腐朽・シロアリ被害が深刻)は、残せる構造が少なくなり費用が増大する
  • 工事前に必ず建築士がインスペクションを行い、残せる骨格を確認する

「この土地、新しい家が建てられません」実家の再建築不可が発覚したとき、何ができるのか。

「再建築不可のまま売る」という選択肢

「活用も難しい・リノベも予算がない・とにかく処分したい」という場合は、「再建築不可のまま売却する」という選択肢もあります。

再建築不可物件の売却は可能か

結論:売却は可能です。ただし、通常の再建築可能な物件と比べて価格が大きく下がります。

一般的に、再建築不可物件の価格は同じエリアの再建築可能な物件の50〜70%程度が目安と言われていますが、もっと安くなる場合もあります。

買い手のターゲット

  • 投資家(安く仕入れてリノベーションして貸す)
  • 隣地の所有者(自分の土地と合筆して接道義務を解消したい)
  • DIY好きのリノベーション希望者

隣地所有者への売却が最もシンプルな解決策になることがあります。

「隣の人がこの土地を買ってくれれば、隣地と合わせて接道義務を満たせる」というケースでは、隣地所有者にとっても価値のある取引になります。

「この土地、新しい家が建てられません」実家の再建築不可が発覚したとき、何ができるのか。

隣地との「合筆・通路の確保」で再建築可能にする方法

再建築不可の解決策として、隣地との関係を使った方法もあります。

① 隣地を一部購入して接道幅を確保する

自分の土地が道路に接していないか、接道幅が2m未満の場合、隣地の一部を購入または借用することで、接道義務を満たせる可能性があります。

② 隣地と合筆する

隣地と自分の土地を合筆(ひとつの土地として登記する)ことで、接道義務を満たすことができる場合があります。

いずれも「隣地所有者との交渉」が前提になります。関係が良好な場合は実現可能性が高まりますが、隣地が空き家・相続未登記の場合は複雑になることもあります。

新潟の「再建築不可物件」で特に多いパターン

新潟に特有のことも付け加えておきます。

古い市街地(中央区・旧市街地等)に多い

新潟市内の旧市街地・昭和初期に形成された住宅地では、路地状の細い道に面した建物が多く残っています。

「裏長屋」「下町」と呼ばれるような場所に多く、相続後に再建築不可と発覚するケースが新潟でも増えています。

農地・農村部の旧道

農村部では、農道・里道(赤道・青道)に面した建物が多くあります。

これらの道は建築基準法上の「道路」として認定されていない場合があり、再建築不可になることがあります。

水路の廃止跡

新潟は水路が多い地域です。

廃止された水路跡に道が作られているケースもあり、こうした「水路転用道路」が建築基準法上の道路として認定されていない場合、接道義務を満たさないことがあります。

「この土地、新しい家が建てられません」実家の再建築不可が発覚したとき、何ができるのか。

「再建築不可かどうか」を調べる方法

「うちの実家、再建築不可かもしれない」と思った方のために、調べ方を説明します。

① 市区町村の建築指導課に相談する

最も確実な方法は、物件の所在地を管轄する市区町村(新潟市なら建築指導課)に直接相談することです。地番・住所を伝えれば、担当者が道路の種類・幅員・接道の状況を調べてくれます。

② 法務局の公図・地積測量図を取得する

法務局で「公図(土地の形状・道路との関係を示した地図)」と「地積測量図(実測による土地の情報)」を取得することで、道路との接道状況が分かる場合があります。

③ 不動産会社・建築士に相談する

これらの調査を一緒に進めてくれる不動産会社や建築士に相談することも有効です。

清新ハウスでは、こうした相談にも対応しています。

まとめ

再建築不可物件について、覚えておいてほしいポイントです。

  • 再建築不可とは「幅員4m以上の道路に2m以上接していない(接道義務を満たさない)」ために、新築・建て替えができない土地
  • 43条但し書きにより、行政の個別許可で建築できる場合もある
  • 2項道路に接している場合は「セットバック(道路後退)」を行うことで将来的に再建築可能になる
  • 再建築不可でも「フルリノベーション(主要構造部を残した大規模改修)」は原則可能
  • 「再建築不可のまま売却」も可能だが、価格は再建築可能物件の50〜70%程度が目安
  • 隣地との合筆・通路確保で接道義務を解消できる場合もある
  • 新潟の旧市街地・農村部・水路跡地に特有のパターンが多い
  • まず市区町村の建築指導課への事前相談を

「再建築不可と言われて終わり」じゃないです。

状況によって複数の選択肢があります。

「どれが自分のケースに合うか」を専門家と一緒に考えることが、最初の一歩です。


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