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犬将軍日記

2026/05/06

【大相続時代】「デジタル遺言」解禁がもたらす住まいの未来。空き家問題を未然に防ぐ家族のルール

 先月、パソコンやスマートフォンで作成する「デジタル遺言」を有効とする民法改正案が閣議決定されました。

多くの方にとって「遺言」や「相続」は、まだ先の話、あるいは自分には関係ないと感じるかもしれません。

しかし、日本の国民の2割近くが75歳以上という「大相続時代」において、これは決して他人事ではありません。

日々、住まいづくりや空き家の活用・再生に取り組む建築会社として、このニュースは非常に大きな意味を持つと感じています。

なぜなら、相続の準備不足こそが、現代の深刻な「空き家問題」を生み出す最大の要因だからです。

今回は、デジタル遺言の仕組みとともに、大切な実家を負動産にしないためのポイントを建築のプロの視点から解説します。

【大相続時代】「デジタル遺言」解禁がもたらす住まいの未来。空き家問題を未然に防ぐ家族のルール

「うちには財産がないから」が一番危ない?相続の現実

「遺言書を書くほどの財産はない」と考える方は多く、実際に約80%もの人が遺言書を作成していません。

しかし、家庭裁判所に持ち込まれる相続トラブルのうち、約35%は遺産総額が1000万円以下のごく普通の家庭で起きています。

実は、現金が少なく「実家の土地と建物」だけがあるケースの方が、物理的に綺麗に分割することが難しく、揉めやすい傾向にあります。

遺言書がない場合、誰が家を引き継ぐのか、あるいは売却するのかを決めるため、相続人全員の同意が必要となり、これがトラブルの火種となるのです。

お客様から相談を受け、私もこのような場面にいくつも遭遇してきました。

 放置される実家。「老老相続」と「空き家問題」の連鎖

遺言書がないことで発生するのは、親族間の揉め事だけではありません。

社会問題として近年急増しているのが「老老相続」です。

例えば、相続人である兄弟もすでに高齢で、そのうちの1人が認知症を患っていたとします。

この場合、ご本人の同意が得られないため遺産分割協議が成立せず、高額な費用を払って成年後見人を立てる必要が生じ、手続きが実質的にストップしてしまいます。

さらに、手続きが長年放置された結果「誰のものか分からない土地」となり、その面積は日本全国で九州ほどの広さに達しています。

この面積規模は驚きです。

所有者が不明になれば、家は管理されずに「空き家」として朽ちていくしかありません。

私は、思い出の詰まった住まいが、相続の手間から放置され、地域を悩ませる空き家になってしまう悲しいケースを数多く見てきました。

【大相続時代】「デジタル遺言」解禁がもたらす住まいの未来。空き家問題を未然に防ぐ家族のルール

「デジタル遺言」は何を変えるのか?

こうした社会問題を防ぎ、誰もが遺言を残しやすい環境を作るために導入されるのが「デジタル遺言」です。

これまで、手軽な「自筆証書遺言」は全て手書きする必要があり、手間がかかる上に、紛失や書き間違いによる無効リスクがありました。

一方、新しいデジタル遺言は、パソコンやスマホで手軽に作成・修正が可能です。

安全性も担保されており、マイナンバーカードのICチップとパスワードによる電子署名を用いて本人確認を行います。

作成したデータは法務局で安全に保管されるため紛失の心配がなく、相続発生後に家庭裁判所で行う面倒な「検認」手続きも不要になります。

なりすまし防止のため、法務局の担当者と対面やリモートで面談を行う仕組みも検討されています。

なお、AIによる偽造(ディープフェイク等)を見抜く技術がまだ不十分なため、今回は「動画での遺言」は見送られました。

【大相続時代】「デジタル遺言」解禁がもたらす住まいの未来。空き家問題を未然に防ぐ家族のルール

住まいの未来を守るために、今できること

デジタル遺言の解禁は、単なるIT化ではなく、「大切な住まいと家族を守るためのハードルが下がった」という国からの大きなメッセージです。

家は、ご家族の最も大切な資産です。

将来、誰がそこに住むのか、リノベーションして活用するのか、あるいは売却するのか。

その意思を明確に残しておくことが、残された家族への最大の思いやりであり、実家を「空き家」という負の遺産にしないための確実な防衛策です。

地域の住まいをトータルでサポートする私たちも、建築やリフォーム、そしてワンストップでの空き家問題解決のプロフェッショナルとして、不動産と建築の両面から最適なアドバイスを行っています。

デジタル遺言という新しい選択肢のニュースを一つのきっかけとして、ぜひご家族で「これからの実家と住まい」について話し合ってみてはいかがでしょうか。

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